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余呉の自然をもっと発信して、もっと繋がる〜地域振興へ電子顕微鏡の挑戦

    長浜バイオ大学 オルガネラ構造機能研究室(奈良篤樹准教授・バイオデータサイエンス学科)では、2024年度の環びわ湖大学・地域コンソーシアム(地域課題解決支援事業)に採択され、余呉の自然を題材に電子顕微鏡を活用した地域振興を行っています。
    今年度は、余呉小中学校6年生を対象に、小学校の裏山の森林から持ち帰ったサンプルを大学の電子顕微鏡で観察し、読み札を作成する取り組みを行いました。本プロジェクトは、持続可能な地域社会の形成を目指し、SDGsの「質の高い教育をみんなに」(目標4)、「住み続けられるまちづくりを」(目標11)、「陸の豊かさを守ろう」(目標15)などに寄与する取り組みです。
    第1回目は、長浜市地域おこし協力隊の支援のもと、地元の森林課題にも触れながら余呉小学校の裏山を散策。動物の骨や木の実など、電子顕微鏡で観察してみたい様々なサンプルを採取しました。この活動を通じて、子どもたちは地元の自然環境への関心を深めるとともに、自然資源の大切さについて学びました。
    第2回目は、いよいよ電子顕微鏡での観察です。長浜バイオ大学の研究室でグループごとに別れて電子顕微鏡で持ち帰ったサンプルを観察しました。観察したいサンプルをカットしプレート上に配置。電子顕微鏡の倍率を変える操作方法を教えてもらい、それぞれ操作しながら観察を進め、普段見ることのできないミクロの世界に驚きの声があがりました。また、別のグループでは、バイオ大学の学生さんによる電子顕微鏡クイズやすごろくで、楽しみながら知識を深める時間を過ごしました。
    第3回目は、余呉小中学校にて前回電子顕微鏡で撮影した画像を使って俳句を読み、読み札を作成する取り組みを実施。電子顕微鏡の画像はモノクロですが、奈良先生が独自に色付けしアート作品を創り上げました。気に入った作品を手に取り、絵札に貼り付けて思い思いの俳句を読みました。最後に、自身の俳句を発表し、互いに評価し合う句会を実施。作品の共有と新たな気づきが得られ、俳句を読むことの楽しさを実感することができました。
    さらに、本取り組みの成果を広く発信するため、国内最大級のアートの祭典「アートインナガハマ」において電子顕微鏡画像と俳句を展示したほか、「SDGs Aichi EXPO」での展示も実施しました。これらの活動を通じて、地域の自然の魅力や持続可能な取り組みを全国へ発信しています。
    今後も、豊かな余呉の自然資源と大学の先端研究設備のコラボレーションを通じて、新たな学びの場を創出し、地域社会の持続可能な発展に貢献していきます。