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本学で第15回ペプチドフォーラムが開催されました

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 2012年3月16日(金)、本学において、第15回ペプチドフォーラム「地球生命にとってのペプチドの重要性:ペプチドーム、クリプタイドからペプチド医薬食品への考察」(日本ペプチド学会主催、長浜バイオ大学共催)が、木曽良明本学客員教授および向井秀仁本学准教授を世話人として開かれました。
 本フォーラムは、まず木曽客員教授による挨拶ではじまり、続いて向井准教授による「クリプタイド:その存在意義と産業的応用」、吉川正明生産開発科学研究所研究室長による「タンパク質に潜在する生理活性ペプチド配列の多様性とその利用」、南野直人国立循環器病センター研究所薬理部長による「ペプチドーム解析とペプチドの潜在能力の探索」、および木曽客員教授による「ペプチド化学を基盤とする創薬」に関する講演があり、最後に向井准教授が閉会の挨拶を行いました。
 本フォーラムでは、新しい生理活性ペプチドの発見とその創薬および機能性食品への応用について、様々な視点に立った講演が行われました。全国の大学・公的研究所や製薬、化学、食品などの様々な企業から140名以上の参加者を得て活発な討論が行われました。
 またフォーラム終了後、命江館・食堂においてミキサーが開かれ、その際も演者を囲んで活発な討論が行われていました。さらに当日の講演内容については、日経バイオテク誌(2012年4月9日号)およびそのホームページ、メールニュースでも紹介されるなど、高い関心を集めました。

【教員の紹介】 木曽 良明  向井 秀仁

【関連トピックス】 第15回ペプチドフォーラムが本学で開催されます

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【報道記事】
2012年4月9日 日経バイオテクより
ペプチド創薬でフォーラム開催、クリプタイド、ペプチドーム解析などの成果を披露
 2012年3月16日、長浜バイオ大学で日本ペプチド学会主催のペプチドフォーラムが開催され、同大学の木曽良明客員教授、向井秀仁准教授、生産科学開発研究所の吉川正明室長、国立循環器病センター研究所の南野直人部長が講演を行った。
 向井准教授は「欧米製薬企業の前臨床、フェーズⅠにはぺプチド医薬が多い。ペプチドは分解されやすいという問題があるが、モデリング研究が進んだことや、徐放技術も発展してきた。ペプチドは、副作用、作用の面から考えて、低分子化合物よりも使いやすいことが注目されている理由だ」と語り、ペプチドとたんぱく質の違いについて「たんぱく質は立体構造を形成して機能するが、生理活性ペプチドは単体では溶液中で特定の立体構造を取らず、脂質や受容体などに結合して情報伝達する」と説明した。
 さらに、生体内でたんぱく質がプロテアーゼで分解される過程で生じる断片化ペプチドについて、「これまで多くがごみと思われてきたが、機能していないわけではなく、機能が解明されていないだけではないか」として、実際に好中球を活性化するペプチドとして、ミトコンドリアたんぱく質のシトクロムCオキシダーゼのアミノ酸配列の1部から成るmitocryptide-1、シトクロムbのアミノ酸配列の1部から成るmitocryptide-2の2つのペプチドを同定したことを報告。「細胞が傷害を受けて、ミトコンドリアたんぱく質が漏れ出すと、プロテアーゼで分解されてmitocryptide-1、-2のペプチドが生じ、好中球の浸潤を促して処理に当たらせているのではないか」と考察するとともに、このような内因性たんぱく質に隠された機能を有するペプチドのことを「クリプタイド」と名付け、その探索を進めていることを紹介した。
 具体的には、現在、バイオインフォマティクスを利用してたんぱく質のアミノ酸配列から機能性ペプチド(クリプタイド)を予測する手法の開発を進めていることを紹介。また、「同定した個々のクリプタイドではクリプタイド受容体に対する活性は低いものの、混合すると高い活性が得られた」とするデータを示し、従来考えられていたものとは異なるメカニズムでペプチドが機能性を発揮している可能性を示唆した。
 続いて講演した吉川室長は京都大学名誉教授で、食品中から幾つもの機能性ペプチドを同定してきた。吉川室長はこうした天然たんぱく質から派生した生理活性ペプチドについて紹介するとともに、「内因性ペプチドの機能性には生物学的目的性があるが、外因性ペプチドの機能性には合目的性が無く、偶然に機能性を有するのではないか」と指摘。一方で、外因性ペプチドは内因性ペプチドに比べてぺプチターゼに対する抵抗性を有し、経口投与が可能なものがあるといった特徴があると語り、食品分野の視点で機能性ペプチドの可能性を述べた。
 一方、南野部長は、「ペプチドは容易に分解されるので創薬は不適といわれるが、生体に内在する調節機構を活用することになるので、体に優しい創薬につながる可能性がある」と指摘。細胞に刺激を与えて分泌されるペプチドを全て捕捉して質量分析計で解析するという手法でペプチドーム解析を行い、有用なペプチドを同定しつつあることを紹介した。(以下、日経バイオテクONLINE)