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湖北福祉マップ製作実行委員会に参加した学生の報告

 8月30日のトピックスでお知らせしましたとおり、湖北福祉マップ製作実行委員会に本学から、バイオサイエンス学科2年生の木田和輝さんと吉田圭吾さん、アニマルバイオサイエンス学科2年生の田中将博さんの3名がボランティアとして参加しました。
 湖北福祉マップ製作実行委員会は、市民団体「ハートフル・プラザ」を中心に、湖北の学生ボランティアらで組織されています。
 しょうがい者への情報提供を目的とする福祉マップ製作は、しょうがい者と健常者が真に共生できる社会を作っていくために必要な一歩といえます。しょうがい者も参加して一緒に調査するなかで学生たちにも多くの気づきがありました。

湖北福祉マップ製作実行委員会に参加して
バイオサイエンス学科2年 木田和輝

 9月15日と16日の2日間、ボランティアスタッフとして湖北福祉マップ製作実行委員会に参加しました。人間力プロジェクト(注)を通してお話を受けて、自分たちと違う視点を体験することで普段は感じない新たな視点を持つ事が出来るのではないかと思い、参加させてもらいました。この活動を通して見たこと感じたことを報告したいと思います。

 湖北福祉マップの製作とは、長浜・米原両市の飲食店などをしょうがい者にとって利用しやすいかどうかという視点から紹介するマップを作製作成するための活動です。事前のミーティングで調査の項目が知らされました。調査表とメジャーとデジカメを持つ3人1組のグループに分かれ専用Tシャツとネームプレートを身に付けて調査しに行きました。調査項目は駐車場の有無、駐車場から店内までの段差の高さ、店内の構造、カウンターの高さ、椅子は可動式か、トイレの手すりの有無、店員の介助協力の有無、介助犬の同伴の有無など子細にわたります。飲食店だけではなく、ホテル、公民館などの公共施設、量販店、電気店、スーパーなども調査地として選び調査しました。

 私が初めて調査に行った所はどこにでもある居酒屋でした。入ってまず感じたのは、車椅子という視点を持ってあらためて居酒屋を見るとなんて不便なんだろうという事でした。カウンターの椅子を使うと通路の幅が狭くなるし、カウンター以外はテーブルがなく座敷しかありません。これでは車椅子で通りにくいのは誰が見てもわかります。トイレも小さく男女共同でしょうがい者用はありません。店主に話を聞いたところ、「来てくれる客は拒まないし、何かあれば出来る限り手伝うが、今後店をしょうがい者の方も使えるように変えるつもりはない。居酒屋に来てくれる客層と違うので。」という話しでした。冷たい言葉に聞こえますが、経営者の考えとしては間違っていません。これ以降の公共施設以外のほとんどがこの意見とほぼ同じ事を話していました。

 次はホテルの調査に行き、居酒屋との違いに驚きました。最初に段差がない、あっても横にスロープ、坂がある。トイレが男女に分かれ両方にベビーベッドがあり、しょうがい者用トイレもある。さらにオストメイト対応のトイレも付いている。オストメイト対応トイレとは簡単に説明すると、人工肛門を付けた人用のトイレで排泄物を吸い取る装置などが付いています。後にも先にも公共施設以外でオストメイト対応トイレを見たのはホテルだけでした。支配人に話を聞くと、しょうがい者の方に対する対応も、あらかじめ電話などで伝えて貰うと全部対応しますと話されていました。

 お寿司屋さんにも伺ったのですが、基本的にカウンターのみなので居酒屋と同様に狭かったです。店にしょうがい者の方が来て頂ければ対応するが、マップに載せないで欲しいとお店の人に頼まれ調査出来ませんでした。理由はたくさん来て頂いても対応出来ないからだそうです。

 大きな広場がある野外の公共施設はとても広いのにトイレが1つしかなかったり、主な通路は段差がないのに肝心なところで段差があったりドアが少ししか開かなかったりしました。自動販売機も車椅子用になっているのはまれでした。しかし、公共施設でしょうがい者用のトイレがない所はなかったです。これ以外にも食堂、喫茶店、焼き肉屋などにも調査しに行きましたが、しょうがい者用トイレがない所の方が多かったです。

 今回実際に訪問調査することで、バリアフリーへの理解が深まったと感じました。それは、視点を変えると普段の場所が全然違うように感じられ、これからの自分の物事の見方が変わっていくと思ったことからです。年代の違う、下は同世代、上は祖父母の世代の人たちと協力して1つの事をする経験はあまりないことなので新鮮で楽しかったです。その他、オストメイトの意味、店の人、町の人のバリアフリーに対しての反応、現状などが伝わって来て、まだまだバリアフリー社会は遠いんだなと思いました。しかし、話しを聞いていると経済的な理由でしょうがい者の方に対応出来ないと話す方々が多く、難しいですが市・県・国が補助金などの対策を打つことで社会は変わっていけるのかなと感じました。

 今回の調査結果をまとめて、後日Webページに掲載する予定です。

(注)長浜バイオ大学1年次前期授業「ライフデザイン」の延長のプロジェクト