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ノベルジェンが牡蠣の短期肥育システムを本格稼働 ー 微細藻類技術で日本産カキの未来を拓く

長浜バイオ大学発のスタートアップ企業・株式会社ノベルジェンが、微細藻類培養技術を活用したカキの短期肥育システムの実証設備を完成させ、本格稼働を開始しました。この設備は、長浜市が設立したバイオ関連分野の創業支援施設「長浜バイオインキュベーションセンター」に入居するノベルジェンが、農林水産省中小企業イノベーション創出推進事業(フェーズ3基金事業)の一環として開発を進めてきたもの。日本産冷凍生食用カキの品質向上と輸出量増加を目指し、陸上での最適な環境制御により、カキを短期間で肥育する技術の実証が本格化します。

2月27日、実証設備の見学会が長浜地方卸売市場内で開催され、さらに地元企業・株式会社CLUB MAISONの協力のもと、びわこレストランROKUにて短期肥育したカキを使用した試食会が実施されました。ノベルジェンの小倉淳社長(長浜バイオ大学アニマルバイオサイエンス学科教授)は、「この実証設備の稼働にあたり、多くの支援をいただいた農林水産省、長浜バイオインキュベーションセンター、長浜バイオ大学、長浜市、設備施工関係者の皆様に深く感謝申し上げます」と謝辞を述べました。

この技術の特長は、微細藻類の自然界における増殖プロセスを人工的に発生・維持させる技術を用いて、陸上でも最適な水質や温度を維持しながらカキを短期間で肥育できる点にあります。脱炭素問題や日本の食料自給率の向上にも貢献する技術として期待されており、カキの貝殻を活用した二酸化炭素の固定・コンクリートへの炭素貯留の可能性にも言及しました。

現在、1トン規模の水槽2基を用い、一方に微細藻類を投入、もう一方は藻類なしという条件で対照実験を行っており、カキの肥育効果の差を検証中。2025年度内には、本短期肥育システムの事業化を目指しています。また、今回の試食会で提供されたカキを使った創作料理は、びわこレストランROKUの協力のもと振る舞われ、地元産業への貢献の可能性を感じさせる場となりました。

発表会には浅見市長をはじめ、多くの報道関係者が訪れ、関心の高さが伺えました。試食会では、CLUB MAISONによる料理のコンセプト紹介の後、カキを使った前菜やリゾットなどが提供され、来場者からも好評を博しました。

さらに、ノベルジェンは大阪万博のヘルスケアパビリオンにブースに4月21日~28日の間出展予定であり、最新の研究成果を広く発信していきます。