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第102回長浜バイオ大学バイオセミナー

日 時:2014年6月10日(火)15時20分〜16時40分
場 所:命北館4F 中講義室6

 第102回バイオセミナーは、前回同様、滋賀医科大学でご活躍されているお二人の先生に30分ずつお話しいただくジョイント形式となります。縣先生はエピジェネティクス、転写因子、染色体等のご研究をされています。また、小島先生は、再生医療と遺伝子治療、糖尿病等のご研究をされています。

テーマ1:抗原受容体遺伝子組換えのエピジェネティックな制御機構
講 師:滋賀医科大学 生化学・分子生物学講座 分子生理化学部門 教授
       縣 保年 先生
【講演内容】
 私達は、細胞の分化がエピジェネティクスによってどのように制御されるのか興味を持ち、抗原受容体遺伝子の組換えをモデルとして研究を行っています。これまでに、転写の活性化に関与するヒストンのアセチル化によって、クロマチンがオープンになることや、機能的な組換えが片方の染色体に限っておこる対立遺伝子排除と呼ばれる現象において、E2Aという転写因子が鍵となることなどを明らかにして来ました。さらに、E2Aが染色体の高次構造を変化させることによっても組換えを誘導することを見出したことから、新しいエピジェネティックな制御機構として染色体の高次構造変化についてもお話をさせていただきたいと思います。

テーマ2:分子ZIP-CODEを用いた標的化DDSシステムの開発
講 師:滋賀医科大学 生化学・分子生物学講座 再生修復医学部門  教授
       小島 秀人 先生
【講演内容】
 個別化医療の実現を担う次世代型分子標的薬の開発が急がれています。低分子化合物や抗体製剤は、これまで治療困難とされてきた難病への新しい解決方法を示してきました。しかし、患者ひとりひとりの条件に応じた、よりきめの細かい医療の実現には、薬剤を目的臓器や細胞のみに選択輸送できる汎用性システムの開発が欠かせません。私たちはこのピンポイントで標的細胞のみへと輸送するための方法として、「バーコードや郵便番号のようなものがあれば」と、ファージディスプレーを利用した分子ZIP-CODEによる標的化システムを考えました。ここでは、遺伝子治療や分子イメージングにおける具体例をご紹介させていただき、話題提供とさせていただきます。