「バイオの総合大学」として産業界・地域の大きな期待を受けて開学以来、世界に通用する最先端の研究実績を積み重ねてきました。
こうしたバイオの研究力を地域や社会の課題解決に生かす事例も多く生まれています。
地域や社会に生かす研究成果
ビワマスの脂のりを良くする飼料を開発
琵琶湖の固有種で〝琵琶湖の宝石 とよばれるビワマス。年々水揚げ量が減少している一方、養殖ものは天然の味には及ばないことが課題です。
河内浩行先生の研究室は、天然由来で安価に入手でき、脂肪細胞の増加を促すPPARγを活性化させる素材を突き止め、(株)びわ鮎センターと共同で飼料を開発。天然ものに劣らないビワマスができました。「ビワトロマス」として2018年3月には市場に出荷し、本格的なブランド化に乗り出そうとしています。
医療現場を革新する新型医療用接着剤「バイオグルー」
手術の縫合処理として、縫合糸の代わりに使用される医療用接着剤ですが、現在使用されているものには、感染症の恐れや毒性などの課題があります。
小倉淳先生らの研究チームは、海草に付着しながら生活するヒメイカ由来の新型の医療用接着剤の開発を進めています。生物由来のため無毒で、水中でも使用できるこの画期的な接着剤は「バイオグルー」と名付けられ、2017年度の「マリンテックグランプリ」での大日本印刷賞の受賞やファンドからの資金提供を受け、実用化に向けて進んでいます。
活発な企業との共同研究
企業との共同研究は活発に行われており、この10 年間を取っても50 件を超える共同研究が行われています。この数は1 学部単位では異例の多さで、この面でもまさに「バイオの総合大学」といえます。
最近の企業との共同研究テーマ例
- エピゲノム成立の分子メカニズム解明と制御
- 新しい作用メカニズムにより多種作物で利用可能な新型抵抗性誘導剤の開発
- 粒子分画能力を持つ金属メッシュを利用した細胞分離培養装置の開発
- 創薬等ライフサイエンス研究を促進する研究支援とデータサイエンス
- 超分子モデリングパイプラインの構築
- メッシュ状金属薄膜によるエアロゾル捕集および有毒物検出法の開発
- IgA モノクローナル抗体の腸炎治療薬としての応用の可能性検討
- 新規バイオ医薬(医薬候補ペプチド)探索・発見技術の高度化
- 新規システイン合成経路を利用したシステイン発酵生産法の開発
- 悪性胸膜中皮腫に対する新規治療法の開発および実用化に関する研究 他