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2022年度長浜バイオ大学入学式 学長式辞

 湖面を流れる風に混ざる桜の便りは、長浜バイオ大学の新たなスタート時期を告げております。本日、ここに日本全国から優秀で意欲にあふれた若者がここ長浜に集い、2022年度の長浜バイオ大学入学式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。本日、めでたく長浜バイオ大学に入学されたバイオサイエンス学部生は、フロンティアバイオサイエンス学科55名、臨床検査学コース22名、メディカルバイオサイエンス学科31名、アニマルバイオサイエンス学科53名の総計161名であり、本学大学院におきましては、バイオサイエンス研究科博士課程前期課程53名、博士課程後期課程1名となります。私は、大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命取り組んできた新入生の皆様、ならびにご家族・ご関係者の皆様に対し、本学教職員、在校生を代表して、心よりのお祝いと歓迎のご挨拶を申し上げます。本日の入学式は、新型コロナウイルス感染拡大の防止と、皆様の健康を守るため、保護者、関係者の皆様、ご来賓の方々の出席をお断りし、消毒とマスク着用や座席を離しての設置などの措置を講じて挙行しております。大学での学びとキャンパス生活をスタートする重要な入学式をこのように変更せざるを得なかったのは、苦渋の選択でありましたが、これも感染拡大防止のために人類が一致して取り組まなければならない措置だとご理解いただきたいと思います。

 長浜バイオ大学は、世界トップレベルのバイオサイエンス研究を行うこと、高い研究を基盤とした質の高い教育を行うこと、地域の中核大学になることを目的として2003年に開学しました。この間、長浜バイオ大学は時代の要求に合わせて進化していき、今日ではフロンティアバイオサイエンス学科、メディカルバイオサイエンス学科、アニマルバイオサイエンス学科、臨床検査学プログラムで構成されるバイオサイエンス学部と大学院修士課程と博士課程を持つ大学院バイオサイエンス研究科を有するバイオサイエンスの総合大学として発展することができました。長浜バイオ大学で行われている研究と教育は非常に高く、昨年度に生命科学分野において最も権威のある論文とされている「ネイチャー」への教員あたりの掲載率が昨年度全国で2位であったことや、リクルートカレッジマネージメントにおいて先進的な大学に選ばれたこと、日本語学校の教員が学生に勧めたい理系大学に選ばれたことからもその水準の高さは証明されております。

 本学で行われている教育の水準も非常に高く、本学の3学科で行われている教育プログラムはJABEEに認定されております。JABEEとは大学での教育活動が技術者として活動するために必要な最低限度の知識や能力の養成に成功していることを担保するものであり、JABEEプログラムを終了した学生は、卒業と同時に修習技術者となり、国家資格の中では司法書士と同レベルであると認定される技術士の受験資格を持つ、「技術士補」という国家資格を取得する権利を得ます。本学ではバイオサイエンスコース、アニマルバイオサイエンスコース、コンピュータバイオサイエンスコースがJABEEに認定されており、喜ばしいことに昨年度に中間審査を得て、3年間の認証の延長が認められました。本日本学バイオサイエンス学部に入学された皆様にも、このJABEEプログラムは用意されており、フロンティアバイオサイエンスでは先端生命科学コース、メディカルバイオサイエンスでは医療生命科学コース、アニマルバイオサイエンス学科では動物生命科学コースを選択することが可能となっております。入学生の皆様はJABEEプログラムにもチャレンジして自身のキャリア形成に役立ててもらいたいと思います。

 さて、本日から皆様は生徒から長浜バイオ大学で学ぶ学生となります。大学生には、多くの自由が保障されており、大学においてどのように学ぶか、または学ばないかという選択すらも本人に任されております。しかし、このような大学での自由は、学生個人の大きな責任の上にのみ成り立つということを忘れないでください。さらに、本日からは18歳以上が成人となることからも、これまで以上に大きな責任が新入生の皆様には課せられてきます。新入生の皆様が大学生としての、成人としての自由を謳歌し、その責任を果たしていくためには、大学において多くのことを学ぶことで自分を守るための強い武器を持つことが必要になります。特に、これまでの日常が非日常に一変してしまうことをまざまざと見せつけられた現在の国際情勢からも、自分を守る強い武器、すなわち深い知識と技術、高い教養を大学において身に付けることが重要となります。

 では、大学においてこのような力を習得するためにはどのようにすれば良いでしょうか。私は、皆様には自分自身の「好奇心」を大事にしてほしいと思います。特殊相対性理論や一般相対性理論、光の粒子と波動の二重性などを提唱した「20世紀最高の物理学者」と表されるアルベルト・アインシュタイン博士は「宇宙で最も力強いのは幅広い好奇心である。大切なのは、疑問を持ち続けることだ。」と述べています。「好奇心」があればその事柄について詳細に調べ、解決しようという気持ちがわいてきます。皆様のまわりは不思議なことで満ちあふれています。冬になると植物の葉はなぜ落葉するのか、月はなぜ丸いのか、古代から存在する琵琶湖には460本あまりの川から多く水と砂が流れ込んでいるが、どうして長い間に埋まらず現在も残っているのか。このように様々な事象を見て、聞いて、感じて、それを不思議に思うこと、これが「好奇心」です。iPhoneやMacintoshコンピュータなどで有名なアップル社を立ち上げたスティーブ・ジョブズは、オレゴン州のリードカレッジという生徒数1400人程度の単科大学で学びました。彼は、この大学でコンピュータではなく、アルファベットやその他の文字を美しく見せるための飾り文字に強い好奇心を抱いたそうです。この時の飾り文字に対する興味が、現代用いられているフォント、すなわち字体という概念を生むことになります。ジョブズは後に、「なぜ飾り文字を学び、これをコンピュータの字体として利用しようと思ったのか」という質問に対して「将来何の役に立つかわからなかったけど、その時は自分の好奇心と直感に従っただけだ。」と述べております。損得勘定だけでなく、自分の好奇心に従って行動することによって、勉学を続けようという原動力が生まれ、楽しみながら継続した勉学を行うことが可能になるでしょう。このような主体的で能動的な学びによって、皆様それぞれの夢が生まれ、将来の明確なビジョンも生まれてくるものです。

 この場には、長浜バイオ大学大学院バイオサイエンス研究科の博士後期課程、および博士前期課程に進学された将来の有能な科学者・技術者になっていく多くの大学院学生も集っております。大学院とは、一言で言えば自身の好奇心から生まれた疑問について答えを見つけ、それを実証していく場です。そのために、大学院では、問題を見つけ、その解決法を考え、それを実践し、その結果について論理的な議論を行い、実証することが必要となります。この様な学習・研究方式は、一般社会において仕事を進めていくうえでも重要なプロセスであるとされております。そのため、大学院での研究を能動的に進めることができた学生は、一般社会においてどのような職種にあっても、その仕事を効率的に進めることができることになります。大学院に進学される皆様は、能動的な研究と学びを実践することにより、新しい社会のリーダーとして育ってくれることを切に願っております。

 本日ここに集ったバイオサイエンス学部に入学される学生の皆さまにとっては、これから始まる大学での生活は、人生において、最も自由に学問や研究、芸術、スポーツなどに取り組み、一生の宝となる貴重な人間関係を構築することができる重要な機会となります。また、大学院に進学された皆様においては、教科書に掲載される知識を発見、解明していく期間であり、新たな学問の知の財産を人類の幸福のために生かす上での貴重な研究中心の生活になると思います。長浜バイオ大学では、学生の皆様がこの貴重な機関において最大限の成果が得られるように、4月以降の講義と実習、演習などを基本的には対面で行うこととしました。新入生の皆様が、新型コロナウイルス感染症に対する十分な対策をとった上で、貴重なキャンパスライフを満喫し、多くの成果を得ていくことを祈念して、私からの式辞とさせていただきます。
本日は入学、進学、誠におめでとうございます。

2022年4月1日  長浜バイオ大学 学長 蔡 晃植