×

2021年度長浜バイオ大学入学式 学長式辞

長浜への桜の便りは例年より早く届き、満開の中で本日の入学式を迎えることになりました。本日ここに、日本全国から優秀で意欲にあふれた若者がここ長浜に集い、2021年度4月の長浜バイオ大学入学式を挙行できますことは誠に喜びに堪えないところであります。本日、めでたく長浜バイオ大学に入学されたバイオサイエンス学部生は、フロンティアバイオサイエンス学科67名、臨床検査学コース22名、メディカルバイオサイエンス学科 55名、アニマルバイオサイエンス学科46名の総計185名であり、本学大学院におきましては、バイオサイエンス研究科博士課程前期課程47名、博士課程後期課程1名となります。また、バイオサイエンス学部に入学された学生の中には海外からの留学生も含まれており、意欲にあふれた優秀な若者が、日本全国、世界各地から長浜バイオ大学に集ってくださったことに感謝しております。私は、大学進学に向けて、あるいは、大学院進学に向けて一生懸命取り組んできた新入生の皆様、ならびにご家族・ご関係者の皆様に対し、本学教職員、在校生を代表して、心よりのお祝いと歓迎のご挨拶を申し上げます。

2021年度の入学式は新型コロナウイルス感染拡大の防止と、皆様の健康を守るため、保護者、関係者の皆様、ご来賓の方々の出席をお断りし、消毒とマスク着用や座席を離しての設置、短時間の入学式の挙行などの措置を講じて挙行しております。大学での学びと皆様のキャンパス生活をスタートする重要な入学式をこのように変更せざるを得なかったのは、断腸の思いでありますが、これも感染拡大の防止のために人類が一致して取り組まなければいけない措置だとご理解いただきたいと思います。
長浜バイオ大学は、世界トップレベルのバイオサイエンス研究を行うこと、高い研究を基盤とした質の高い教育を行うこと、地域の中核大学になることを目的として2003年に開学しました。開学以来、長浜バイオ大学は時代の要求に合わせて変貌し、フロンティアバイオサイエンス学科、メディカルバイオサイエンス学科、アニマルバイオサイエンス学科、臨床検査学プログラムで構成されるバイオサイエンスが学部と大学院修士課程と博士課程を持つ大学院バイオサイエンス研究科で構成されるバイオサイエンスの総合大学として発展することができました。長浜バイオ大学で行われている研究水準は非常に高く、昨年度に生命科学分野において最も権威のある論文とされている「ネイチャー」への教員あたりの掲載率が昨年度全国で1位になったことや、リクルートカレッジマネジメントにおいて先進的な大学トップ15に選ばれたことからもその水準の高さは証明されております。

また、本学で行われている教育の質の高さを証明する事象としては、長浜バイオ大学の全ての学科で行われている教育プログラムが、JABEE認定されていることがあげられます。JABEE認定を受けた大学は、そこで行われている教育活動の質が国際的にも満足すべきレベルにあることと、その教育成果が技術者として活動するために必要な最低限度の知識や能力の養成に成功していることが担保されます。そのため、JABEEプログラムを修了した学生は、国際的に見ても十分に高いレベルの技術と知識を取得した学生であることが認められ、国家資格の中では司法書士と同レベルであると認定される技術士の受験資格を持つ、「技術士補」という国家資格を取得する権利を得ます。本日、バイオサイエンス学部に入学した皆様には臨床検査学コースを除いてこのJABEEプログラムに参加出来る資格を有しております。是非、JABEEプログラムにもチャレンジして自身のキャリア形成に役立ててもらいたいと思います。

さて、バイオサイエンス学部に新たに入学された皆様は、これからは生徒ではなく学生と呼ばれ、大学での学びとキャンパスライフを開始することになります。学生の大学生活では多くの自由が保障されており、大学でどのように学ぶか、または学ばないかという選択すらも本人に任されております。しかし、このような大学での自由は、学生個人の大きな責任の上に成り立つということを新入生の皆様は忘れないでください。自分を律し、努力を重ねて大学生活を送らないと、自分のキャリア形成において必要なものを身に付けられないばかりか、大学生活も中途でやめざるを得ない場合もあります。大学生活において自分を律し、努力をしていくというのは言葉で言うのは簡単ですが、やはり難しいものです。この困難を克服する手助けとなるのは、学生ひとりひとりが人生における大きな夢や、将来こういうことをやってみたいという願いや望み、あこがれなどを持つことです。このような夢、望み、願い、あこがれを大学生活で探し、持ちつづけることで、努力することが苦にならなくなります。

iPS細胞の開発に成功し、2012年度のノーベル生理学・医学賞の受賞者となられた山中伸弥先生の夢はいつか脊椎損傷による麻痺を治療するというものであり、その望みを叶えるために整形外科医になられたそうです。山中先生はアメリカに留学され、どういう組織にでも分化できる万能細胞というものがご自分の夢を実現できるものであると感じたため、多くの苦難を努力で乗り越えて研究に没頭されたそうです。山中先生はこれからの大学院生達にも夢を持ってもらいたいのと、夢を見せるのも大学教員の仕事だという思いから、iPS細胞という概念を考えられたそうです。この概念は、多くの学生達に夢を与えることに成功し、夢をもった学生は多くの遺伝子の発現ベクターを作製し、それを導入し、観察するという地道な研究を苦にせず、努力を続け、iPS細胞の開発に力を注ぎました。

長浜バイオ大学は、皆様の夢の実現をサポートする教育システムと設備、世界レベルの教授陣、JABEE認定制度、新入生の大学生活をサポートするピアサポ制度などをもって、皆様をお迎えしております。また、新型コロナウイルス感染症で多くの大学が講義や実習を動画で行っている中でも、文部科学省が制定している新型コロナウイルス感染症の拡大防止策を遵守した上で、ほとんどの講義と実習を対面で行い皆様の教育目標達成を担保していきます。新入生の皆様は、このようなサポートのもとで思う存分キャンパス生活を満喫し、夢を探し、夢を育て、夢を実現してください。

また、本日大学院に入学された皆様にもひとこと話したいことがあります。大学院での学びは、学部の時とは異なり、答えが見つかっていない問題の探求を通した自分磨きとなります。そのために、大学院では、問題を整理しその解決法を考え、それを実践し、その結果を正確に理解すると共に、他の人と論理的な議論を行うことが必要となります。さらに、この議論の中から問題点が見つかったら、それを解決するための方策を考え、それを実践するというプロセスを繰り返すことになります。この様な学習方式は、企業や大学などでの業務を行うときに必要とされるPDCAサイクルと同じだと思います。すなわち、大学院での研究活動を能動的に進めることにより自然とPDCAサイクルを意識した仕事の進め方も身につきます。PDCAの概念は、現在の会社や事業所においては基本的な概念であるため、大学院での研究を能動的に進めた学生は、将来バイオサイエンス分野以外の職に就いたとしても、非常に有能で仕事が出来る人材として評価されることになっていくでしょう。能動的な研究と学びを実践することにより、新しい社会のリーダーとして育ってくれることを切に願っております。

本年度は、新型コロナウイルス感染症による社会情勢の変化や経済状態の悪化の影響でバイオサイエンス学部に入学する学生が例年より少なくなっております。しかし、本年度入学された学部生の中には、本学への強い志望意志と信念をもって入学してくれた学生や国立大学に合格しながらも本学を選択し入学してくれた学生、地元志向が強まる中で全国津々浦々からこの長浜の地に集ってくれた学生が多くいます。長浜バイオ大学の全教職員は今年度入学された全ての皆様が夢を探し、夢を叶え、高いキャリア形成ができるように全力でサポートします。また、経済的に苦しい社会情勢の中でも本学への入学を許してくださいました保護者の方々に心より御礼を申し上げると共に、保護者の方々の期待に応えられるよう教学、研究、学生支援の面で全力を尽くしていくことを誓いながら、私からの式辞とさせていただきます。

2021年4月1日  長浜バイオ大学 学長 蔡 晃植