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物理からのアプローチ──熊田 智也さん(計算構造生物学研究室4年次生)

「物理」の知識がバイオで生きる、
コンピュータを使いシミュレーション

熊田智也さんは、高校時代は全般的に理科が得意科目でしたが、中でも重力や光の屈折など身近なところで目に見える現象を学ぶ「物理」を高校の理科で選択。受験の際には工学系の大学も視野に入れていましたが、コンピュータを活用して最新の工学技術や生物学まで幅広い学びを得られる長浜バイオ大学に進学しました。

「高校時代に学んだ物理の知識は、とても役に立っています。大学の研究室では分子の物理的な動きをコンピュータで予測する分子動力学シミュレーションを活用する場面も多いのですが、機械の中でどんな計算が行われているのかを、しっかり頭の中に入れておくことが大切ですから」。

抗菌ペプチドの働きをコンピュータで再現

そんな熊田さんは現在、ヒトの体内に存在して病原菌をやっつける抗菌ペプチドの研究を依田隆夫先生の研究室で行っています。抗菌ペプチドは体内に細菌が侵入すると、Pro領域とよばれるところを離脱して抗菌作用を活性化します。さらに、一部の抗菌ペプチドでは、pro領域が折れ畳みを助けていることが知られています。

「そのような抗菌ペプチドを用い、まずはPro領域がつながった状態で、pro領域が抗菌ペプチドとどのように相互作用するのかをコンピュータでシミュレーションして調べています。分子の重さや分子間の引力を計算しながら、時間スケールで動画の再現ができるのが面白いですね」。

一部の抗菌ペプチドはがんやHIVにも効果を発揮するとされ、今後もし抗菌ペプチドの働きを正確に予測して人為的に操作できれば、新たな医薬品への応用も遠い夢ではありません。

「高度な計算や分析を行うコンピュータプログラミングはトライ&エラーの繰り返し。でも、1つずつエラーを消去していけば、必ず結果につながります。僕はこの大学でその楽しさを知りました」という熊田さん。卒業後は念願のIT職として活躍する予定となっています。

→計算構造生物学研究室を覗いてみる