弊社は、ゲノム遺伝子配列解析用ソフトウェアを専門に開発するベンチャー企業です。このようなソフトを開発するには、分子生物学の知識と情報処理技術の両方が必要です。従来はこの両分野の専門教育を同時に実施する学科が存在せず、どちらか一方の分野出身の社員を、社内で初歩から教育しなければなりませんでした。専門教育を受けた専門家はとかく別の専門分野を軽視する傾向があり、分子生物知識と情報技術をバランスよく備えた開発技術者を育成するためには、大きな教育負担と長い時間が必要でした。
日本初のコンピュータバイオサイエンス学科の設置により、専門分野意識が確立する前の思考の柔軟な学生時代に、両方の専門分野をバランスよく習得できる教育環境として期待しています。
最近ゲノム情報を高速かつ安価に解読する次世代型技術が開発されていますが、この技術の活用により予防医学の推進、産業用微生物や作物の品種改良、食の安全・安心、環境保全、バイオ法を用いた化学品生産などの課題を解決することが求められています。
同様に、生物の代謝産物を網羅的に解析するメタボローム解析技術もこれらの課題解決に大いに役立つことが期待されています。当社(株式会社ジナリス)はこれら次世代型バイオIT技術の開発と事業化を推進していますが、バイオとITの融合領域のビジネスは今後大きく発展するので、貴大学のコンピュータバイオサイエンス学科への期待は極めて大きなものがあります。
私たちは「バイオ・インフォマティクス」という生物と情報科学の融合領域の仕事をする会社です。生物系を学んできた人にとってのコンピュータ、また逆に、パソコンが大好きな人にとっての生物というのはかなり遠い世界に感じるかもしれません。しかし、最近のニュースで耳にするように、DNA やタンパク質の解析ではコンピュータの技術が欠かせないものになっています。今後この分野の研究や産業がさらに成長するためには、生物とコンピュータの両側に親しんできている人の力が必須です。
今回、長浜バイオ大学に「コンピュータバイオサイエンス学科」が新設されたと伺いました。まさに時代のニーズを正確につかんだ学科だと感じます。将来、この分野で皆様と活躍できる日を楽しみにしております。
高品質で、容易に利用にできる医療システム需要が増大しています。弊社は、X線CT装置などの医療装置から出る画像をコンピュータで処理するソフトウェアを開発しています。「どこでも、誰でも」三次元医療画像を利用できる社会を造りたいと思っております。日本は、人口一人当たりのCT 装置普及台数が世界一、つまりCT 利用率は世界一です。そのような日本から、世界の先端を行く装置が開発されるのは当然なことです。
今後も世界をリードし続けるには、装置や、ソフトウェアを造る人、そして利用する人の育成が重要です。高齢化社会の進展で医療コストが増大し、益々、「高品質で、容易に利用にできる医療システム」の需要が高まっているからです。
そうした意味で、貴校の取り組みは、まさに時代の要請に合致したものであると感じております。世界をリードする人材育成の場になる事を願っております。