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山本章嗣教授らの共同研究が『Developmental Cell』 に論文掲載

 マウスの初期発生で胚組織のパターンが形成されるには、リソソームとよばれる細胞内小器官での分解が必要であることを明らかにした研究論文が米国科学雑誌「Developmental Cell」(6/11付)に掲載されました。
 この論文は、大阪大学、産業科学研究所の和田洋 准教授らを中心とする共同研究によるもので、本学アニマルバイオサイエンス学科 山本教授は電子顕微鏡によるマウス胚の微細構造解析と免疫電子顕微鏡的解析を分担しています。本研究は、エンドソーム・リソソーム系に異常を生ずるVam2ノックアウトマウスで胚の形態に異常が生じること、胚のパターン形成に重要な役割を演じているBMP-Smad 信号系を適切な時期に停止させることにエンドソーム・リソソーム系による分解が重要であることを明らかにしています。この一連の研究成果は、細胞内シグナル伝達の新たな調節メカニズム、つまり、胚発生において不要な情報を消去するメカニズムを細胞内分解との関連で明らかにしたもので、発生や分化のメカニズムに新たな視点をもたらしました。今後、創薬デザインや新規マーカー開発が期待されます。

Aoyama et al., (2012) Dev. Cell, 22 (6), 1163-1175.
Spatial Restriction of Bone Morphogenetic Protein Signaling in
Mouse Gastrula through the mVam2-Dependent Endocytic Pathway