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山本章嗣教授の参加した共同研究が『Nature』に論文掲載

 オートファジーによるミトコンドリアDNAの分解が心不全を防ぐ上で重要であることを明らかにした研究論文が英科学誌『Nature』(5/10付)に掲載されました。この論文は、大阪大学、循環器内科学、大津欣也准教授(現、英国キングス・カレッジ・ロンドン、教授)を中心とする共同研究によるもので山本教授は免疫電子顕微鏡的解析を分担しています。
 先進国において、心不全などの心疾患は、がん、脳血管疾患とともに死亡の主な原因の1つとなっています。高血圧などによる心臓への力学的負荷の増大は拡張型心筋症や心筋炎を引き起こし、心不全の原因となります。心臓への負荷の増大によって、ミトコンドリアが損傷を受け、傷害を持つミトコンドリアは、オートファジーよって分解され処理されます。
 本論文では、デオキシリボヌクレアーゼ(DNase)IIの心臓特異的欠失マウスを用いることにより、オートファジーによるミトコンドリアの分解過程でミトコンドリアDNAが充分に分解されないと、分解を逃れたミトコンドリアDNA がToll様受容体(TLR)9を介して炎症応答を引き起こし、心筋炎および拡張型心筋症を引き起こすことを明らかにしています。本研究は、心不全の新しいメカニズムを解明したものであり、この知見をもとに新しい心不全の治療法や治療薬が開発されることが期待されます。

Oka T. et al.(2012) Nature, 485(7397):251-255.
Mitochondrial DNA that escapes from autophagy causes inflammation and heart failure.

【教員の紹介】 山本 章嗣