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「水草からバイオエタノール」 テレビで紹介され反響呼ぶ

 本学バイオサイエンス学科大島淳教授が取り組んでいる「未利用植物資源によるバイオエタノールの開発」について、NHKニュース、KBS京都ラジオ、NHK「おはよう日本」で相次いで取り上げられました。

 7月25日のNHK「おはよう日本」では、琵琶湖の水草を利用してバイオエタノールを作るというプロジェクトが紹介されました。
 バイオエタノールの生産に関しては従来はサトウキビ、とうもろこしをその材料に使っていましたが生産コストの問題や食糧高騰の引き金になりかねない問題を含んでいます。そこで植物の生産コストがゼロに近い未利用植物資源を用いることが考えられすでに葛、蓬といった雑草や米ぬか、木材チップといった材料からバイオエタノールの生産に実験室レベルにおいて成功しています。
 また琵琶湖に繁茂している水草(オオカナダモ等)河川に生息している雑草を材料にして実験室レベルのミニスケールではあるがバイオエタノールの生成に成功しています。その鍵となるのは植物に大量に含まれるセルロースをいかに効率よく糖化できるかということでありました。この問題に対して、植物セルロースに対する物理的な破砕とアルカリ処理を伴う酸による加水分解法を用いることにより、セルロースの強固な分子構造を破壊しグルコースへの効率的な糖化が可能になりました。
 また発酵直後のバイオエタノールをミニ蒸留器にて純度80%以上のアルコールに精製し、この純度で十分なボイラーの燃料として重油の代替エネルギーとなることも実証しています。そして本システムによるバイオエタノールの生産後の残渣等は家畜のえさになることも判明し、廃棄物が全くでないバイオエタノール製造システムであることも実験室レベルの研究ではありますが実証されています。

バイオマスエタノールビジネスモデル創出プロジェクト

2011年7月5日 京都新聞より
水草⇒燃料 実用化めど  エタノール抽出費用6分の1
 酵素や大規模装置を使わずに従来の6分の1の費用で植物からエタノールを抽出する方法を東近江市の金属加工会社が発明し、4月に特許を取得した。琵琶湖の水草や河川の雑草から石油の代替燃料になるバイオエタノールを作る実証実験を国土交通省などと行い、実用化のめどが立ったため、本格実施に向け準備を進めている。
 同市建部下野町の「スリー・イー」が開発。金属加工に使う潤滑液を製造、販売しており、その際に偶然にエタノールが精製されたため2007年12月から研究していた。
 雑草や水草からバイオエタノールを精製する際、これまで大規模高圧装置か高価な酵素を用いて茎や葉に含まれるセルロースを糖化させる必要があった。このため費用面が実用化の課題だった。
 同社は、糖化させる前に行う酸処理の前工程で、アルカリ処理を施すことで酵素を使わずセルロースを糖化できることを発見した。さらにダイコンの搾り汁を使い糖化を活発化させる方法も開発し、全体量のうち水草は3〜4%、雑草は7%程度のエタノールを作れるようになった。同社によると従来は植物の葉や茎からバイオエタノール1㍑を精製する際には300〜400円かかったが、1㍑50円程度になるという。
 昨年9月から大津市内で国交省や滋賀県立大と、水草などからのバイオエタノール抽出実験を続けている。
 同社は、来年度にデモプラントを建設し、大手石油会社と提携して自動車の燃料として販売する構想や、製造業の工場でボイラーの燃料として使ってもらう計画があるという。福谷泰雄社長(71)は「使い道がない雑草や水草を自然エネルギーとして活用し、新しい社会作りに役立てたい」と話している。

2011年8月17日  関西広域機構 KIPPO NEWS より
"水草からバイオ燃料" 実用化へ
 琵琶湖の水草や河川の雑草から、石油の代替燃料となるバイオエタノールを生産する技術を東近江市の金属加工会社「スリー・イー」が開発した。国土交通省・滋賀県立大学・長浜バイオ大学などと実証実験を行い、実用化に向け取り組んでいる。
 同社は金属加工に使用する潤滑液を製造・販売しており、その過程で偶然エタノールが精製されたため2007年から研究を進めていた。
 これまでの精製方法では、大規模高圧装置か高価な酵素で茎や葉に含まれるセルロースを糖化する必要があり、費用面での課題が大きかった。
 同社は、糖化させる前工程の段階で酵素を使わないアルカリ処理を施すことで、セルロースを分解・糖化できることを発見。独自の技術で糖化を活性化させる方法も開発し、全体量のうち水草では3〜4%、雑草では7%程のエタノール精製が可能になった。精製費用は、バイオエタノール1ℓあたり50円程度になる見込みで、従来の約6分の1で済む。
 使い道がなかった水草や雑草が有益な自然エネルギーとして活用できる可能性に期待が寄せられている。
(英文)
Practical Use of a Biofuel made from Waterweeds
 Three E, a metal processing company in Higashiomi City, Shiga Prefecture, has developed a technology to make bioethanol, which can be used as an alternative fuel to petroleum, from waterweeds and weeds growing in and along Lake Biwa and rivers. The company has been engaged in demonstration experiments aiming at practical use of the technology, in cooperation with the Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism, the University of Shiga Prefecture and Nagahama Institute of Bio-Science and Technology. 
 Three E manufactures and sells lubricants used for metal processing. The company found by chance that ethanol can be refined in the process of producing a lubricant and started research on refining ethanol in 2007.
 Traditional refining methods require large-scale high-pressure devices or expensive enzymes to saccharify cellulose contained in stems and leaves. Therefore, these methods have a major cost problem.
 The company found that alkalization conducted in the stage before saccharification can dissolve and saccharify cellulose without enzymes. Utilizing its original technology, the company also developed a method to boost saccharification and succeeded in extracting 3-4% of ethanol contained in waterweeds and 7% in weeds. The cost is expected to be 50 yen to refine one liter of ethanol, a sixth of those of traditional methods.
 Waterweeds and weeds have, until now, been considered useless. However, they are now expected to be a useful natural energy.