×

カスミサンショウウオを守ろう! 学習会に約100名が参加

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 030.jpgのサムネール画像

 2011年1月22日(土)長浜バイオ大学において、田村山生き物ネットワーク(会長・齊藤修長浜バイオ大学教授)の第1回学習会が開かれ、地元住民ら約100名が参加しました。会場には藤井勇治市長も駆けつけ、地域の自然保護については行政もしっかり取り組んでいきたいと挨拶をしました。
 学習会では、齊藤会長、下西康嗣相談役(長浜バイオ大学学長)がネットワーク設立の経過、意義などを説明し、それぞれの報告に移りました。
 まず、長浜南小学校水生生物クラブの児童がカスミサンショウウオの生息調査の報告をし、続いて、長浜バイオ大学4回生の水戸直さんが生態調査と遺伝子解析の研究結果を発表し、田村山のカスミサンショウウオは近縁の大津、米原のカスミサンショウウオとは独立した集団であり、保全のため交雑を防ぐ取り組みも必要だと報告しました。
 また、カスミサンショウウオの保護活動では先輩格である岐阜県世界淡水魚園水族館「アクア・トトぎふ」の田上氏が、岐阜県での取り組みを紹介し、人の生活圏と接して生息しているカスミサンショウウオの保護の難しさを実例をもとに説明しました。
 最後に、相談役の仁連孝昭・滋賀県立大副学長が、人と生物が共存する姿を田村山周辺から創り出せたらすばらしい。カスミサンショウウオの保護を核としたまちづくりによって、新しい開発のモデルを創り出していくことが、他にない価値のある地域となっていく道となる、と活動に期待を寄せました。
 報告の後は、参加者の意見交換があり、地元住民から活発な意見や提案が出されました。

 学習会を終えて、調査・研究報告をした水戸直さん(長浜バイオ大学4回生)に聞きました。
 田村山周辺のカスミサンショウウオに関心を持ってくださる方がこんなにたくさんおられることがわかり、たいへん心強く思います。私の報告を聞いてこの地域の生き物について興味とそして危機感を持っていただけたなら、今後協力して保全活動に取り組んでいけるのではないかと非常に期待をしています。
 生息地周辺にお住まいの方々の善意によって調査・研究を進めてこられたことに感謝しています。

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 002.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 003.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 006.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 011.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 015.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 020.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 021.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 024.jpgのサムネール画像

 

2011_01_22 田村山生き物ネットワーク学習会 027.jpgのサムネール画像

2011年1月23日 読売新聞より
カスミサンショウウオ保護 児童ら調査結果報告
 長浜市南部の田村山に生息する両生類「カスミサンショウウオ」の保護活動をしている「田村山生き物ネットワーク」(会長=齊藤修・長浜バイオ大教授)が22日、同大学で学習会を開催。地元住民ら約100人が、学生の研究報告や地元の小学生の調査発表などに耳を傾けた。
 カスミサンショウウオは環境省のレッドリストで絶滅の危険性が増大しているとされる「絶滅危惧Ⅱ類」に指定されている。田村山では6年前、齊藤教授が水路で卵を見つけ、観察を続けてきた。
 学習会ではまず、昨年6月から水路の環境を調べてきた長浜南小・水生生物クラブの男子児童3人が観察結果を発表。「他の小川にいるザリガニが、この水路にはいない」「木の陰になって直射日光が当たらず、夏も水温が上がりにくい」などと紹介した。
 続いて、同大学バイオサイエンス学科4年、水戸直さん(23)が齊藤教授のゼミでの研究結果を報告した。
 カスミサンショウウオは米原市内でも見つかっており、水戸さんらは田村山や大津市の個体と遺伝子を比較。遺伝子配列は米原と田村山で似ており、米原の個体の1割が大津市の個体とほぼ同じだったといい、水戸さんは「大津から米原経由で田村山に来た可能性がある」との見方を示した。

2011年1月23日 中日新聞より
希少種保護へ理解深め カスミサンショウウオを学ぶ
 長浜市南部の田村山周辺に生息するカスミサンショウウオの保護活動をする住民グループ「田村山生き物ネットワーク」は22日、同市の長浜バイオ大学で学習会を開催。地元住民ら100人が、調査研究の成果や他県の保護例の紹介に熱心に耳を傾けた。
 カスミサンショウウオは、県版レッドリストで絶滅が危惧される上位3番目の「希少種」に分類される。県内では大津、米原、長浜市や日野町などでわずかに生息している。
 長浜市では昨年春、生息地の水路の水枯れで、ふ化した幼体が全滅。これを確認した長浜バイオ大の齊藤修教授らが呼び掛け、同年11月にグループを結成、保護に動きだした。
 学習会では、長浜バイオ大4年の水戸直さんが、県内の生息状況や調査結果などを報告。各地で生息する個体のミトコンドリアDNAの調査について「米原の1匹は大津の群れとほぼ一致するが、長浜の群れは他地域と一致せず、独自に生息してきたことが推測される」と説明。岐阜県世界淡水魚園水族館職員による岐阜市での保護活動紹介もあった。
 県立大の仁連孝昭教授は、地域づくりの観点から「人と生物が共存する環境をつくり出す努力を続ければ、住みよい、すばらしい里山が実現する」と活動の広がりに期待を寄せた。

2011年1月24日 滋賀夕刊より
カスミサンショウウオ学習会 「豊かな環境と共存を」
 長浜市南部の田村山に生息する希少水生生物カスミサンショウウオの保護を目指す「田村山生き物ネットワーク」(会長=齊藤修・長浜バイオ大教授)は22日、バイオ大で学習会を開き、齊藤教授が保護活動への協力を呼びかけた。
 学習会には地元住民をはじめ、藤井勇治市長、川島隆二県議、市幹部ら約100人が出席し、感心の高さをうかがわせた。
 下西康嗣学長が生物学者レイチェル・カーソンの著書「沈黙の春」を取り上げ、化学物質の生態系に与える影響、保護への協力を訴えると、藤井市長も「人間のせいで年間4万種の生物が絶滅している。行政も一緒になって取り組みたい」と意欲を示した。
 長浜南小水生生物クラブの3人が観察記録を発表し、バイオ大の学生が2年前に水路の水が干上がって幼生が絶滅したことを報告。「この状態が数年続くと卵を産む個体がいなくなり、田村山から絶滅する」と指摘した。
 県立大の仁連孝昭教授は「田村地域を市街化区域に入れて発展させる計画があるが、これからは豊かな環境との共存が必要。カスミサンショウウオを核とした新しいまちづくりのモデルを皆で作り出すのが大切」と訴えた。

2011年2月15日 読売新聞 しが県民情報より
希少な生物守る  田村山生き物ネットワーク 〔長浜〕
 絶滅が危惧されるカスミサンショウウオを守ろうと活動しているのが長浜市の「田村山生き物ネットワーク」だ。2010年11月の結成以来、生息調査や学習会などを行い、住民たちに「貴重な生き物や豊かな自然環境に関心を持って」と呼びかけている。

 カスミサンショウウオは環境省レッドリストで絶滅危惧種Ⅱ類(絶滅の危険が増大)に指定されている両生類。同ネット会長の長浜バイオ大学教授・齊藤修さんが05年、同市南部の田村山(標高138メートル)の水路で卵を見つけ、観察を続けていたが、09年に水路の水が枯れ、孵化した幼生が死んでしまった。
 それを受けて10年、住民たちが「今年こそ幼生が育つように」と生息場所に水を運んだ。さらに齊藤さんが「保護に乗り出すには待ったなしの状況」と住民に呼びかけ、田村、寺田両町の自治会代表者ら17人を役員とする同ネットを設立した。
 今年1月下旬、同大学でカスミサンショウウオに関する学習会を開いた。約100人が参加し、地元小学生の水路調査の結果発表、同大学生の研究報告、岐阜県の水族館職員による保護活動報告に耳を傾けた。同ネットメンバーの伊藤忠夫さん(70)(長浜市寺田町)は「よい勉強になりました。町ぐるみで保護に努めたい」と話し、会場に置かれた水槽内の個体を見つめていた。
 カスミサンショウウオは2月中旬から3月末に水辺に産卵。孵化した幼生は4,5か月かけて成長する。その後の生態はよくわかっていない。齊藤さんは「5月頃に水路で幼生の観察会を行う予定です。希少種の存在を知らせることで、ほかの地域でも生息が確認されるかも知れないし、保護への関心が高まるはず」と期待する。「水路の水を確保するため、井戸を掘るなどの対策も取りたい」と言う。
 事務局長の松居繁隆さん(66)(同市弥高町)は「希少な生物の保護は、豊かな自然環境を守ることに通じます」と話し、観察会などへの案内を受け取るメンバーを広く募集している。問い合わせは「サンブロッサム」(0749-63-1620)内の事務局へ。