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滋賀県立高校の生徒対象「大学連続講座」を開講しました

本学は2005(平成17)年に締結した滋賀県教育委員会との協定に基づき、毎年高校の夏休み期間を利用し「滋賀県立高等学校生徒を対象とする大学連続講座」を開講しています。

2023年度は7月28日(金)に「ゲノム編集技術を知ろう〜持続可能な社会を作る科学技術〜」と題して、蔡晃植教授(フロンティアバイオサイエンス学科)と中村肇伸教授(アニマルバイオサイエンス学科)が講座を行い、県内各地の高校から22名の生徒が受講しました。

蔡教授による「持続可能な社会をひらくゲノム編集技術」の講義では、バイオサイエンスの発展の歴史の中で、古典的な育種方法による品種改良の方法や植物の遺伝子組換えの方法、新型コロナウイルスのmRNAワクチンの仕組みを、ゲノム編集技術の確立に至るまでの具体的な実例を交えて説明しました。ゲノム編集技術は狙った部分に特定の遺伝子を入れることができる画期的技術で「芽が出ても安心なじゃがいも」「多収穫の稲」「変色しないマッシュルーム」「GABAを多く含むトマト」などが実現できることが紹介されました。持続可能な社会の構築にゲノム編集技術は欠かせない技術であり、この技術が新しい世界を作っていくことを願っていると蔡教授は締めくくりました。

中村肇伸教授からは、ゲノム編集についてさらに具体的な仕組みについて説明。ゲノム編集技術は、新たな治療技術の創出、創薬の加速、農作物の品種改良などによる食糧問題の解決、植物の光合成効率化、長寿命化などによる環境問題など、ゲノム編集技術が確立されたことでさまざまな分野への応用が可能であることが紹介されました。また、医療分野への応用として、細胞移植や臓器再生、遺伝子治療、病態再現、治療法開発などへの活用が期待できること、これまで数十年かかっていた研究が、ゲノム編集マウスにより大幅に加速されることなど、中村教授はゲノム編集が切り開く未来について熱く語りました。

受講した生徒のみなさんは刺激的な大学での講義を体験して、目を輝かせていました。ゲノム編集技術の実際の利用法では熱心にメモを取っている姿も多く見られました。