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第195回バイオセミナーのご案内(12/27)

第195回バイオセミナーは、広島大学両生類研究センターの発生生物学、両生類の変態がご専門の 中島 圭介先生にご講演いただきます。
先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時:2022年12月27日(火)15時20分~16時40分
会 場:命北館4階 中講義室6
演 者:中島 圭介 先生(広島大学両生類研究センター・助教)
演 題:「ゲノム編集による両生類変態の研究」
要 旨
 成長過程における形態や棲息環境・摂食行動の変化を変態と呼ぶ。カイメンを含む側生動物門からヒトを含む脊索動物門まで多くの門で変態を示す種が観察されることから、その普遍性が窺われる。変態を示す代表的動物である両生類では甲状腺ホルモンが変態誘導の必要十分条件である。甲状腺ホルモンのシグナル伝達は核内受容体を介して行われる。脊椎動物は二つの受容体αとβを持ち、どちらもリガンドが存在しない場合は標的遺伝子の発現を抑制し、存在下では発現促進を行う。
 ではなぜ2種類の受容体が存在するのであろうか?これまでにも、二つの受容体の役割の違いを示唆する研究はいくつかあったが、役割や機能の違いを明確に示した研究は存在しなかった。我々は各々の受容体遺伝子をゲノム編集により破壊し、二つの受容体の役割の差を明らかとした。さらにRNA-Seqによる網羅的解析によって変態期尾部退縮に深く関わると思われる遺伝子群を同定した。そして代表的な遺伝子の発現パターン比較から、これまで考えられていなかった受容体間の「機能的な差」を示唆するデータを得た。本演題ではこれらの未発表データを交え、変態の分子機構に関する最新研究を紹介したい。