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第194回バイオセミナーのご案内(12/5)

第194回バイオセミナーのご講演者の今鉄男氏は、ウィーン大学 Oleg Simakov研究室 の Senior research Fellow です。専門分野は比較ゲノミクス、バイオインフォマティクスで、2020年4月から本学のゲノム機能科学研究室(大森義裕教授)にプロジェクト特任助教として所属し、2021年12月よりウィーン大学へ留学されています。
日本分子生物学会年会での研究成果発表のため帰国されており、今回の講演をお願いしました。
先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時:2022年12月5日(火)13時30分~15時00分
会 場:命北館4階 中講義室6
演 者:今 鉄男氏
    ウィーン大学 Oleg Simakov研究室(オーストリア)Senior research Fellow
演 題:「ヒドラの幹細胞ゲノムのダイナミクス」
要 旨:ヒドラは淡水産の刺胞動物で、再生能力が高く、老化しないことが特徴である。これらの特徴は、外胚葉性幹細胞、内胚葉性幹細胞、間質性幹細胞の3種類の幹細胞のはたらきによるものである。ヒドラのゲノムの半分以上の領域は、トランスポゾンにより構成されており、これによりヒドラは他の刺胞動物に比べてゲノムサイズが増大している。また、トランスポゾンの中には、再生の初期に活性化されるものがあり、幹細胞の活動が再生に関与する可能性が指摘されている。また、ヒドラは出芽による無性生殖を行うため、各幹細胞に固有の変異が蓄積していると考えられる。しかし、ヒドラのトランスポゾンの活性化による幹細胞ゲノムのダイナミクスは未解明である。そこで演者らは、複数のトランスジェニック系統を用いてFACSにより幹細胞を分取し、Nanopore PromethIONによる幹細胞の系列特異的な全ゲノム配列解析を実施した。解析の結果、3種類の幹細胞ゲノムには、それぞれ特異的な構造変異が存在することが明らかとなった。このようなゲノムダイナミクスが、ヒドラの再生力や老化耐性の遺伝学的基盤である可能性が示唆された。