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第186回バイオセミナーのご案内(3/4)

第186回バイオセミナーは、東北大学大学院生命科学研究科・助教で進化遺伝学がご専門の安齋賢先生にご講演いただきます。

安齋先生はメダカを材料にして、ZFNからCRISPR/Casまで、さまざまなゲノム編集技術の開発に携わってこられました。近年は、インドネシア・スラウェシ島で著しく多様化したメダカ科固有種群に着目して、その進化機構を研究されています。昨年にはウォウォールメダカの赤色婚姻色に関する論文をNature Communicationsに発表するなど、新進気鋭の若手研究者です。

先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時:2022年3月4日(金)15時20分~16時40分
会 場:命北館4階 中講義室6

演 者:安齋 賢 先生(東北大学大学院生命科学研究科・助教)
演 題:「ゲノム編集から探る性淘汰形質の進化メカニズム」
要 旨:オスが装飾的な形質は、様々な生物に広く見られる現象である。ダーウィンは性淘汰という考え方を提唱し、派手な装飾がメスの選好性やオス間闘争によって進化してきたと説明してきた。その後に行われた行動生態学実験はこの仮説を概ね支持してきたものの、それらの進化に関わる遺伝子を同定した例は少なく、遺伝メカニズムに関しては不明な点が多い。
 インドネシア・スラウェシのメダカ科固有種群は、オスが鮮やかで多様な体色を示し、実験生物である日本のメダカの様々な知見や実験技術が適用可能なことから、オス装飾形質の進化に関わる遺伝メカニズムの解明に適したモデルである。
 本セミナーでは、固有種群の1種ウォウォラエメダカに特有の赤色婚姻色に着目し、ゲノム解析による原因遺伝子csf1の同定と、ゲノム編集技術を用いた体色や配偶者選好性、捕食者の選好性に関する機能解析を行った実例について紹介したい。また、メス側の配偶者選好性の進化についての詳細な理解に向けて進めている、メダカへの神経科学ツールの導入とそれに関わる遺伝子改変技術についても併せて紹介したい。