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爬虫両棲類学会報に学生の報告が掲載

アニマルバイオサイエンス学科2年次生の河原豪さんと大村真弘さんの調査報告書が、「爬虫両棲類学会報(第2021巻第1号)」に掲載されました。「滋賀県大津市北部で発見したイモリ玉についての報告」で、この内容や経緯について、河原さんと大村さんにお話を伺いました。

「イモリ玉」とは、寒い時期にイモリが集団を作る、越冬方法のひとつとされていますが、日本のイモリに関する論文はないそうです。2021年1月に、河原さんと大村さんが偶然イモリ玉を発見。イモリが観察できる場所だと知って訪れたものの、イモリ玉は初めて見たそうです。翌日に道具を持って再び訪れ、調査を開始しました。気温、水温、水深の計測を行い、イモリ玉のアカハライモリ472匹を観察、約半数について特徴的な腹側の模様を撮影しました。1月から2月にかけて計4回の調査を行い、今後も継続して観察をする予定とのことです。

イモリ玉が形成される理由は実はよくわかっておらず(見られるのもレア)、河原さんと大村さんは「繁殖行動に関わっているのではないか」と推測しています。ちなみにイモリの性フェロモンはオスが「ソデフリン」、メスが「アイモリン」。これらの名はそれぞれ、万葉集所収の額田王「あかねさす紫野行き標野行き野守は見ずや君が袖振る」と、大海人皇子の返歌「紫草(むらさき)の匂へる妹(いも)を憎くあらば人妻ゆゑにわれ恋ひめやも」が由来です(歌の詠まれた舞台は、現在の東近江あたりの「蒲生野」)。おもしろいですね!

調査は季節を問わず、雪やみぞれが降る中の調査は寒いし、時間も手間もかかって大変だとのことですが、二人ともイモリの魅力について「同じ模様の個体がいない」「丈夫」「生育環境に規則性がある」など、いろいろ語ってくれました。

今回の学会報には、河原さん単独の報告「滋賀県甲賀市で確認されたヤマトサンショウウオ捕食被害例」も掲載されています。イモリだけでなく、他にも興味のあることがたくさんあり、積極的に投稿をしていきたいとのことでした。

左:大村さん、右:河原さん