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本学の大島淳教授、DNAインク鑑定の大幅時間短縮技術を開発

 本学バイオサイエンス学科の大島淳教授が、DNAインクを使った偽造鑑定の大幅時間短縮を可能にする技術を日本大学との共同研究で開発しました。

2010年7月8日 読売新聞より
 有価証券などの偽造防止策として注目される「DNAインク」を使った真贋鑑定の時間を大幅に短縮する技術を、長浜バイオ大(滋賀県長浜市)の大島淳教授(53)(遺伝子工学)が日本大との共同研究で開発した。従来は塩基配列の一致を確認するまで1日ほどかかるのがネックだったが、新技術では1,2分程度に短縮できるといい、普及に弾みがつきそうだ。
 DNAインクによる鑑定は、任意の塩基配列で合成したDNAを含ませたインクと検出用試薬を使い、双方の塩基配列が一致するかどうかで真贋を判別している。集積回路(IC)チップを埋め込む認証システムより応用が利くのがメリット。2000年シドニー五輪のチケットにも採用された。
 しかし、これまでの鑑定では印刷物を破り、薬品に漬けて調べなければならず、塩基配列を特定するまでに時間もかかるなど、実用性に問題があった。
 新技術では、DNAインクと試薬にあらかじめ特殊な蛍光物質を含ませているのが特色。印刷物に試薬を垂らして吸い取った後、検出器にかけて、塩基配列が一致した場合だけ、発光するよう工夫した。
 試薬も微量で済み、印刷物も破損しないため、現在、大手印鑑メーカーが製品化を目指している。技術を応用すれば、印刷物だけでなく、軽油などの液体や衣類など幅広い素材に活用できるという。従来の鑑定よりコストはかかるが、大島教授は「自動車の塗料に用いればひき逃げ事件の捜査にも利用できる。さらに研究を進めたい」と話している。