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第183回バイオセミナーのご案内

第183回バイオセミナーは「ながはま0次予防コホート事業」を実施されている京都大学大学院 医学研究科附属ゲノム医学センター センター長・教授の松田 文彦先生にご講演いただきます。コホート研究やその利用実績、今後の研究の展開などについて講演いただき、本学との共同研究の可能性を探ります。

先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時:2021年9月30日(木)15時00分~16時30分
会 場:命江館2階 大講義室1

演 者:京都大学大学院 医学研究科附属ゲノム医学センター センター長・教授 松田 文彦 先生(専門分野:疾患ゲノム疫学)
演 題:「ながはまコホートを用いたヒト生物学研究~文理融合・産官学連携プロジェクトの試み~」
要 旨:加齢性疾患の多くは患者数が多く病態が多様なことに加えて根治法がないため、予防が何よりも重要である。ヒトは遺伝的背景、環境・生活習慣が極めて多様で、マクロな指標のみを利用し集団の平均値を画一的に当てはめた古典疫学的な手法ではなく、時間経過の中で個人の体質の多様性や老化といった正常の生命活動とともに病気を理解する新たな研究スタイルが不可欠である。
 京都大学では、大きな集団の長期観察で得られる生活習慣、環境、活動・行動などの情報と最先端の分析・測定技術の融合で、ヒトの多様性や一生を生命分子の変化で記す「ヒト生物学」研究を推進してきた。さらに、ヒトをヒトたらしめている行動・活動や嗜好、社会性などの調査を、社会科学分野と共同で進めている。加えて、このような研究で得られる膨大な時系列でのデータからヒトの老化や病気と関わる情報を正確にかつ効率的に取り出すために、数学、情報学、社会科学などに加えて、高い専門的技術を有する企業と連携した学際的かつ産学連携の取り組みを進めている。
 本セミナーでは、ヒト生物学研究のモデルケースとして、京都大学が2005年から滋賀県長浜市で実施しているわが国初の本格的大規模ゲノムコホート事業である「ながはま0次予防コホート事業」の概要を紹介する。