×

「長浜学びの実験室」通信(2021年5月)

長浜バイオ大学では長浜市・長浜市教育委員会と連携し、長浜市内の小学生から中学生に「理科実験の面白さ」を体験できる場として学内に「長浜学びの実験室」を設置しています。
2021年度の講座は4月から始まりましたが、新型コロナウイルス感染症に十分注意しながら行っています。4月に実施した講座については、こちらでご覧いただくことができます。
今回は、5月に実施した講座のうち、長浜市立虎姫学園7年生(中1)と9年生(中3)の講座について紹介します。

「長浜学びの実験室」で行っている理科実験とは

「長浜学びの実験室」では、小・中学校の理科の授業と連携し、その時期に学習している単元を補強したり発展させたりするような理科実験を行っています。児童・生徒がちょうど学習している内容の実験をするので、教科書に書かれている内容をより深く理解することができるようになっています。
また、「長浜学びの実験室」での実験はクラス単位で行い、時間は2時間を基本としています。

長浜市立虎姫学園について

子どもたちの健やかな成長を願う虎姫地域・保護者の皆様の熱い想いと温かいご支援、ご理解とご協力のもと、長浜市立虎姫小学校と長浜市立虎姫中学校が合併し、令和2(2020)年4月に開校した滋賀県で2校目の施設一体型小中一貫教育校(義務教育学校)です。

5月6日(木)・5月7日(金)実施 第7学年の講座「水の中の小さな生物(プランクトン)」

生徒は学校から長浜市のバスで大学の「長浜学びの実験室」へ移動します。
教室でそろって挨拶をした後、理科の先生から今日の実験について説明がありました。
そしていよいよ実験開始です。
最初は、実験材料(プランクトン)の採取です。
クラス全員がそろって大学近くのさいかち浜へ移動、プランクトンネットを使って琵琶湖の水からプランクトンを集めました。
それから、近くの小川で川底にたまった葉っぱを集めて、実験材料から採取しました。
そして教室へ戻り、少し休憩時間をはさんで顕微鏡による観察を行いました。
大学の宇佐美教授の指導で使い方を習ってから、観察開始です。
みんなが観察に使った顕微鏡は、双眼実体顕微鏡「SOREO SR-40」と教育用生物顕微鏡「CX23」です。どちらも大学の実験実習も使うことのある本格的なもので、「長浜学びの実験室」自慢の顕微鏡です。
生徒は、琵琶湖に生息するいろいろなプランクトンと出会うことができました。虎姫学園では、今年度から一人一台ずつiPadが配られ、情報端末を活用した授業が試みられており、この日もiPadを使って顕微鏡をのぞいて観察したプランクトンの写真を撮っていました。

5月24日(月)・5月25日(火)実施 第9学年の講座「遺伝子の本体(DNAの抽出)」

9年生はブロッコリーやバナナから生命の設計図「DNA」を取り出す実験と、これらが本当にDNAであるかを検証する実験を行いました。
最初にブロッコリーからDNA?を取り出す実験に取り組みます。各自に配布されたブロッコリーの花芽をすり鉢に入れ、すりこぎですりつぶします。これに、洗剤と食塩が入ったDNA抽出液を入れて、しばらく置いて、DNAを花芽から取り出します。ガーゼを使ってすりつぶしたブロッコリーとDNA抽出液を分けてから、エチルアルコールを静かに注いでDNA?を可視化させました。生徒は、出てきたDNA?の様子を各自のiPadで写真に撮ったり、竹串でDNA?を集めたりしました。
休憩をはさんでから、次はバナナからDNAを取り出す実験を行いました。こちらも全員がDNA?を取ることができました。
そして、ここからがバイオサイエンスに特化した長浜バイオ大学の「長浜学びの実験室」ならではの実験になります。
普通、中学校での実験ではDNAを取り出すところまでしか行いませんが、今回は大学生がするような実験を行ってDNAの存在を確かめました。この実験では、DNAがあると蛍光が出る薬品を利用します。
まず、取り出したそれぞれのDNA?を水に溶かし、その一部をマイクロピペットではかり取って薬品と混ぜます。そのあと、DNA観察装置を使ってDNAかどうかについて調べました。この実験から、ブロッコリーから取り出したものは蛍光がしっかりと観察されDNAがあることがわかりましたが、バナナには蛍光がほとんど観察されずDNAはほぼ無いことがわかりました。

5月に実施したもう1校の講座についてはこちらをご覧ください。

次回は6月実施の講座についてレポートします。


「長浜学びの実験室サポーター」のお願い

「長浜学びの実験室」では、長浜市と大学が連携して「理系人材育成事業」を展開する場として、小中学校用の理科実験施設を全国的にも例のない大学内に開設し、2021年春に開設6周年を迎えました。この実験室を利用した実験講座は、2020年度末で長浜市内の延べ105校の小中学校を対象に258講座、参加した児童・生徒は約6,600人を数え、受講された児童・生徒の9割以上が「講座に満足」と回答しています。近いうちにAIを導入した学習プランも視野に入れた事業として、持続的に理系人材の育成を目標としています。

次世代の人材を育成する事業は、息長く続けてこそ成果が生まれるものです。「長浜学びの実験室」もまた、長く継続しなければならないと考えています。それには、実験室を維持するための運営費用や実験機器の更新費用が必要となります。そこで、長浜学びの実験室に対して継続的な財政支援を行う「長浜学びの実験室サポーター」を2020年度から募っています。この趣旨をご理解いただき、「長浜学びの実験室サポーター」としてご寄付いただける方はこちらから大学までご連絡ください。詳細な資料をお送りいたします。