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第103回長浜バイオ大学バイオセミナー

日 時:2014年6月24日(火)15時20分〜16時40分
場 所:命北館4F 中講義室6

テーマ:植物環境応答におけるぺルオキシソームの機能分化とその動態
講 師:基礎生物学研究所 高次細胞機構研究部門 名誉教授
     西村 幹夫 先生

【講演内容】
 高等植物のペルオキシソームは組織、生育環境条件により、その機能を分化させることが知られている。ぺルオキシソ−ムの形成を担う一群のタンパク質はペルオキシンと呼ばれているが、これらの欠損変異株は致死であることが知られており、ペルオキシソームが植物の生殖・生存に必須の役割を果たしていることを示している。
 シロイヌナズナのゲノム解析から300程度のペルオキシソーム局在候補遺伝子が同定され、その多くは機能未知であることからも、ペルオキシソームが脂肪酸分解や光呼吸等、従来知られている機能以上に、多くの機能を担っていることを示唆している。種子の子葉組織の発芽、緑化過程において、ペルオキシソ−ムは糖新生に関与するグリオキシソームから光呼吸に関わる緑葉ぺルオキシソームへ機能転換することが知られている。この機能転換に働く分子機構を明らかにするため、私達はペルオキシソームの形態、機能、局在に関する欠損株をシロイヌナズナから単離して解析を進めている。
 今回はペルオキシソーム機能転換に働くプロテアーゼとオートファジーの相互作用、更に、ペルオキシソームの可視化によって明らかにされたぺルオキシソームと他のオルガネラの相互作用を中心に、ペルオキシソームの形成及び分化の動態を紹介したい。