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人類的課題に挑む最先端の研究:山本博章先生

様々な環境ストレスをやわらげる
色素細胞の可能性を追求

バイオサイエンス学科
山本 博章 先生

私たちの生物学的な個性の一つである皮膚や毛の色を決める色素細胞は、近年の研究で視覚や聴覚にも必須であることが明らかになりました。

私たちヒトの色素細胞は、変温動物とは違って、メラニン合成を行うメラニン色素細胞のみですが、その発生経路の違いで2種類に分類されます。一方は発生中の脳に由来する網膜色素上皮細胞で、視覚に必須の働きをし、他方は脊椎動物特異的な胚の細胞群である神経冠細胞に由来するメラノサイトで、聴覚に必須です。山本先生のグループは、脳の形成に不可欠な遺伝子Otx2が、発生中の眼において網膜色素上皮細胞と神経網膜細胞の分化にも重要な役割を果たしていることを発見しました。

また最近では、ハツカネズミの内耳色素細胞に酸化ストレスを軽減する遺伝子が大量に発現することを明らかにしました。先生は色素細胞が皮膚における紫外線防御だけでなく、すべてのストレスを吸収し、緩和するように進化してきたのではないかと科学的に「妄想」しているそうです。

山本 博章 先生