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研究活動

鮒ずしに含まれる脂溶性物質のダイエット効果や持久力向上効果を突き止める

アニマルバイオサイエンス学科の河内浩行先生の研究室は、滋賀県の特産品である鮒ずしが、脂質代謝の異常を改善するとともに、その中の特定メーカーの鮒ずしは代謝を改善し持久力の向上をもたらすことを突き止め、5月19日~21日に開催された第71回日本栄養・食糧学会大会で報告しました。鮒ずしには血圧を下げる効果があることが、これまでの研究で知られていましたが、今回の研究で抗肥満作用という新たな付加価値を見いだすとともに、骨格筋におけるエネルギー消費の上昇と持久力の向上作用をもたらす機能性食品でもあることを初めて明らかにしました。

研究室では、肥満改善のターゲットとして、体内で脂肪代謝を制御するPPARファミリーと呼ばれるリガンド依存性の核内転写因子を活性化させる脂溶性物質を、レポーターアッセイという方法で約30種類の鮒ずしの抽出物から探索しました。中田真帆さん(大学院博士課程前期課程2年)は、主に肝臓で脂肪を減らす働きをしているPPARαを、鮒ずし石油エーテル抽出物が活性化させることを見いだしました。この鮒ずし石油エーテル抽出物を、マウスを太らせる作用がある高脂肪食と一緒に2日に1回10週間に渡りマウスに経口投与した所、高脂肪食だけを与えたマウスと比較して体重の差はまだ見られなかったものの、肝臓中のPPARα標的遺伝子の発現量は有意に高くなっていることが分かりました。また、経口グルコース付加試験の結果、有意な耐糖能の改善効果も示しました。この結果、鮒ずしに含まれている脂溶性物質は、インスリン抵抗性および脂質代謝異常を改善する効果があることを明らかにしました。

田口絵美さん(大学院博士課程前期課程2年)は、主に骨格筋において脂肪酸酸化や熱産生亢進により抗肥満作用を示すPPARδ活性化能を約30種類の鮒ずし石油エーテル抽出物より探索し、特定の1社の鮒ずし石油エーテル抽出物で特にPPARδ活性化能が高いことを見出しました。同じようにマウスへの経口投与試験を行ったところ、骨格筋においてミトコンドリアのマーカーであるクエン酸合成酵素活性が高脂肪食だけを与えたマウスと比較して有意に上昇していることが分かりました。また、トレッドミルを使った試験では連続走行時間と総走行距離が飛躍的に延び、さらに、長時間の運動に使われる遅筋であるヒラメ筋中のPPARδ標的遺伝子の発現量も多くなっていることが分かりました。そのため、特定の鮒ずしに含まれている脂溶性物質は、エネルギー代謝と運動持久力を向上させる効果があることが明らかとなりました。

今後はそれぞれの脂溶性物質を特定し、その成分を活用したサプリメントの開発などが期待されます。田口さんは、「4年次生からこの研究を始め、やっとPPARδ活性化の効果をマウスで得ることができました。PPARαに比べなかなか結果が出ず修士論文が不安になっていた中で、今回の研究成果を研究室の中で一番喜んでいるのは私だと思います」と語っています。