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2014年5月20日 中日新聞
大事なのは着実な努力 長浜・健康フェス 田中雅美さん講演

 「心と体の健康づくり」をテーマにしたイベント「いきいき健康フェスティバル2014」が18日、長浜市の長浜バイオ大学であり、多くの家族連れでにぎわった。
 健康に関する講座やイベントを行うNPO法人「健康づくり0次クラブ」が主催。医師や大学教授による健康講座、骨密度測定や救命救急体験などができるブースなどを設けた。
 シドニー五輪女子競泳銅メダリストの田中雅美さんが講演。約二百人を前に、自身の五輪での体験なども踏まえ、「競技を続ける上で大事なことは、勝ちたいと思い、努力を続けること」などと話した。

2014年5月16日 科学新聞
酸化した哺乳類のDNA 子孫の遺伝子が変化する原因に 九大など共同で解明

 
九州大学大学院医学研究院の大野みずき助教、同大生体防御研究所ヌクレオチドプール研究センターの作見邦彦准教授らの研究グループは、理化学研究所バイオ
リソースセンターの権藤洋一チームリーダーら、長浜バイオ大学の池村淑道客員教授らとの共同研究で、DNA(8-オキソグアニン)が哺乳類の生殖細胞にお
ける自然突然変異の原因となることを明らかにすることに成功した。

 DNAは、正常な細胞の代謝過程、感染や疾病など生物的ストレス、あ
るいは放射線や化学物質などの環境ストレスによっても酸化されることは知られている。ただ、1世代あたり1億塩基に1個程度しか生じない生殖細胞の自然突
然変異を検出することはかなり難しい。作見准教授によると「これまでに明らかにしてきた『個体においてDNAの酸化が体細胞突然変異や発がんの原因にな
る』という事実を元に、8-オキソグアニンは生殖細胞自然突然変異の原因であるという仮説をたてました。しかし発生頻度が低く、しかも細胞ごとにDNAの
異なる部位で生じた変異を同定することは容易ではありません」という。
 研究グループは、酸化したDNA中に生じた8-オキソグアニンを除去、修
復できないように遺伝子を改変したマウスを用いて、DNA中に自然に蓄積した8-オキソグアニンに起因する突然変異を解析した。さらにこの遺伝子改変マウ
スを8世代まで交配を続けて、家系内の各世代で新たに生じた変異を蓄積させ、最も世代の進んだ個体のDNA配列を解析することで、発生した変異を効率的に
検出することを可能にした。
 これにより、このマウスの家系では、子孫に水頭症や特殊ながんの発生、毛色の変化など遺伝性の表現形質の変化が観測
された。また、生殖細胞突然変異が最も蓄積していると考えられる3匹のマウスを選択し、そのDNAのエクソン領域40.9Mbを次世代シークエンサーを用
いて解析した。その結果、このマウスでは1世代当たりの生殖細胞突然変異発生率が野生型マウスと比較して約18倍上昇していることが分かった。見つかった
変異の99%は、8-オキソグアニンに起因するG-Tトランスバージョンという種類の突然変異で、その約60%は遺伝子の機能に影響を与えるものだった。
 
作見准教授は「8-オキソグアニンに起因するを修復できない遺伝子改変マウスと次世代シークエンサー解析を組み合わせることで8-オキソグアニンに起因す
る生殖細胞突然変異がいつ、どこで発生したのかを示すことができました。今後、進化には必須ですが個体レベルでは有害なことが多い生殖細胞突然変異が哺乳
動物においてどのようにコントロールされているのかを明らかにしていきたいと考えています」としている。

2014年5月14日 近江毎夕新聞
黒壁が呼びかけ「地の酒」計画  農家、蔵元、大学連携で「至高の日本酒」

 
県内の特産品を販売する黒壁AMISUの呼びかけで、長浜市三田町の米農家と木之本町の酒造会社、長浜バイオ大学の三者が連携し、「至高の日本酒」を造る
計画が進んでいる。「長浜人の地の酒PROJECT」と名付け今年春から始めたもので、酒米の種子選択から土作り、稲刈り乾燥、米麹の仕込み作業、火入
れ、びん詰めまで、酒造りのすべての工程を三者が協力して進める。来年一月には「地の酒」銘で黒壁AMISUで発売予定。
 長浜バイオ大学で参加
するのは、長谷川慎・准教授の研究室の四年次生メンバーと、松島三兒・教授指導の「長浜魅力づくりプロジェクト」に参加する二年次生。研究室の学生は優良
酵母の選定や品質分析で将来の酒造りに貢献し、成果を卒業研究にまとめる。また魅力づくりプロジェクトの学生は、地酒を全国発信するためのイベント、プロ
モーションを立案する。
 四月末には長浜市三田町の農家「百匠(ひゃくしょう)屋」(清水大輔さん経営)で酒米「吟吹雪」の種子消毒、種まきを
行った。二十四日午前十時からは、「百匠屋」の水田で酒米の田植えイベントを行う。参加費は昼食込みで三千五百円。参加希望者は黒壁AMISUに置く申し
込み用紙をファックス(65-2333)するか、同店に持参する。用紙は黒壁ホームページからもダウンロードできる。定員二十人で締め切る。

2014年4月25日 中日新聞
夢実現の「魔法」伝授 長浜JC 湖北の小学校で授業

 長浜青年会議所が中心となって四月から始めた訪問授業「ドリームプロジェクト〜かがやけ!ぼくたち、わたしたちの夢」が二十四日、長浜市高月町の古保利小学校であった。
 四年生十三人が、講師役の長浜バイオ大学一年生四人の協力で、夢をかなえる志の大切さを学んだ。
 児童は、秀吉が長浜に城下町を築く大きな夢をかなえたという歴史アニメを見ながら、「夢を友達に話す」「夢がかなったときのことを想像する」など夢実現の四つの「魔法」を覚えた。
 アニメ鑑賞後は夢カードに将来の夢を書き、みんなの前で発表。広部大明君(九つ)は「誰よりも速く走れるようになってオリンピックに出る」とクラスの友達に語っていた。
 授業を受けた児童たちは「あきらめない気持ちが分かった」など前向きな感想を述べていた。
 訪問授業は二十二日に米原市の坂田小からスタート。湖北地域の小学三、四年生を対象に、会議所会員のほか、長浜バイオ大と滋賀文教短大の学生、市民団体メンバーなどが講師となり、夢と向き合う場をつくり、かなえるための心構えや前向きな姿勢を伝える。
 長浜青年会議所で訪問授業を担当する山岡健一さん(三七)は「自分の可能性を信じれば夢はかなう。あきらめずに、もうちょっと頑張ろうという気持ちを持ってほしい」と子どもたちにエールを送る。

2014年4月16日 日刊工業新聞
生殖細胞の自然突然変異 酸化DNA蓄積が原因 九大など

 
九州大学の大野みずき助教と作見邦彦准教授らのグループは、理化学研究所、長浜バイオ大学などと共同で、DNA分子の酸化が生殖細胞の自然突然変異の原因
になることをマウスによる実験で明らかにした。DNAは環境ストレスなどによって日常的に酸化されるが、通常は修復機構が働いている。これが蓄積した場
合、遺伝的な多様性を生み出すとともに、病気など原因にもなると考えられるという。成果は15日、英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。
 グループは、DNAを構成する塩基の一つの「グアニン」が酸化して生じる分子「8-オキソグアニン」について、修復機構が働かないように遺伝子を改変したマウスを作製。同マウスの交配を続け、同分子の蓄積が遺伝的な変異にどんな影響を与えるかを調べた。
 その結果、同マウスの家系では病気の発生や毛色の変化などが観察された。また、同マウスの生殖細胞突然変異発生率を解析すると、野生型に比べ最大で18倍に上昇することが分かった。

2014年4月2日 中日新聞
新入生「地域発展に寄与」 長浜バイオ大で入学式

 長浜市田村町の長浜バイオ大で1日、大学と大学院合同の入学式があった。学部入学生292人と大学院前・後期入学生33人が晴れ晴れとした表情で式に臨んだ。
 三輪正直学長は「知識と技術の習得だけでなく、自分で考えて行動し、多くの課題にチャレンジしてほしい」と新入生を激励した。
 学部生代表の有谿佳音さん(18)と大学院生代表の若園貴仁さん(22)が登壇。有谿さんは「バイオサイエンスを担う人材になります。地域の発展にも寄与していきたい」と学生生活に期待を膨らませ、若園さんは「目標に向かって地道に努力し、研究に取り組む」と誓った。

2014年3月16日 中日新聞
空高く社会人への決意 長浜バイオ大卒業式

 長浜市田村町の長浜バイオ大で15日、卒業式があり、学部卒業生281人と修了生39人が希望を胸に巣立った。
 式では、三輪正直学長が「これからが出発点。一人一人がユニークな存在と自覚し、強みを生かしてほしい」と話し、卒業生320人全員の名前を読み上げて送り出した。
 卒業生代表でバイオサイエンス学科の鈴木翔大さん(22)があいさつ。4年間の学生生活を振り返り、「大学で培った知識や思考力、学識は私を支える宝物。社会に還元できるように不断の努力を続けたい」と今後の活躍を誓った。
 式後は体育館前で同大恒例の角帽投げがあり、角帽を空高く放ち、社会人になる決意を新たにした。

2014年3月11日 滋賀夕刊
大賞受賞、市長に報告 田村山生き物ネットワーク

 希少種のカスミサンショウウオの保護活動に取り組む田村山生き物ネットワーク(会長=齊藤修・長浜バイオ大教授)のメンバーが10日、藤井勇治市長を表敬訪問し、先日受賞した滋賀県生物多様性大賞について報告した。
 
ネットワークは齊藤教授が田村山のふもとで、県の希少種に指定されているカスミサンショウウオを発見したのを機に地元住民、企業などで組織し、学習会や保
護活動に取り組んでいる。卵からふ化した幼生が渇水で絶滅しないように、昨年には寺田町の三田村等さんが私有地を提供し、保護池を整えた。その取り組み
が、県の生物多様性大賞に選ばれ、先週、県公館で表彰式が行われた。
 この日は齊藤教授のほか、三輪正直バイオ大学長、松居繁隆事務局長らが藤井
市長にこれまでの取り組みと受賞を報告。齊藤教授は「カスミサンショウウオは西日本にしか生息しておらず、隣の岐阜県では繁殖地が2カ所しか残っていな
い。県内では20カ所を見つけたが、今、手を打たないと数が減ってしまう」と保護の必要性を強調した。藤井市長は「大賞を励みにしていただいて、さらなる
活動の活発化に期待します」と話していた。

2014年3月11日 読売新聞
しが生物多様性大賞 湖南企業いきもの応援団/家棟川で生態回廊再生を目指すネットワーク/
田村山生き物ネットワーク

 滋賀経済同友会が県に提唱して創設され、生物多様性の保全に取り組む県内企業や学校をたたえる「しが生物多様性大賞」の初の受賞者が決まり、大津市の県公館で表彰式が開かれた。
 16件の応募から県外でもモデルになるかなどを基準に審査。「湖南企業いきもの応援団」「家棟川で生態回廊再生を目指すネットワーク」「田村山生き物ネットワーク」の3件を大賞、「オオバナミズキンバイ除去プロジェクト」を特別賞に選んだ。
 
「湖南企業―」は草津市や中小企業などで構成し、2010年から市内を流れる狼川で魚や虫の生息状況の調査に取り組む。「家棟川―」はビワマスがすめる環
境を目指し、大企業の事業所やNPO法人が野洲市を流れる家棟川の清掃や周辺の里山の植樹などを10年続けている。「田村山―」は10年から長浜市の田村
山周辺で活動。長浜バイオ大や地元の事業所でつくり、絶滅危惧種のカスミサンショウウオの保護のため、水路の補修や池の造成に当たっている。「オオバナ
―」は企業や学生ボランティアで13年から活動。繁殖力が強い外来種の水草オオバナミズキンバイの根絶に向け、勉強会や除去作業に取り組んでいる。
 4日の表彰式で、各団体に賞状と記念品を贈呈。滋賀経済同友会の山田督代表幹事が「生物多様性は、環境と経済の両立に欠かせない指標だ。県民のリーダーとなって頑張ってほしい」とあいさつした。

2014年3月5日 京都新聞
しが生物多様性大賞 3団体 初の表彰

 滋賀県と滋賀経済同友会が創設した「しが生物多様性大賞」の初の受賞者に、県内の河川や山林で生き物の調査などに取り組む3団体が決まり、大津市の県公館で4日、表彰式が行われた。
 
応募のあった16団体から選ばれた大賞は、湖南企業いきもの応援団(草津市)△家棟川で生態回廊再生を目指すネットワーク(野洲市)△田村山生き物ネット
ワーク(長浜市)。地域の企業や学校などが連携し、生態系の調査や在来種の保護、復活に取り組んでいる。特別賞にはオオバナミズキンバイ除去プロジェクト
(守山市)が決まった。
 式典で嘉田由紀子知事は「大賞の創設で、滋賀ならではの生物多様性への関心を広めたい」と話し、同友会の山田督代表幹事は「行きの長い運動にしていきたい」と決意を新たにしていた。

2014年3月5日 中日新聞
しが生物多様性大賞 カスミサンショウウオ保護活動など3件

 優れた地域環境保全活動をたたえる「しが生物多様性大賞」の初めての表彰式が4日、県公館であり、長浜市南部でカスミサンショウウオの保護活動をする関係者らが知事賞として表彰された。
 知事賞はほかに、草津市や県立琵琶湖博物館などと共同で地域企業が水辺の調査研究を進める活動と、野洲氏の家棟川をビワマスが住める環境にしようという活動。それぞれ代表者が嘉田由紀子知事から表彰状を受け取った。
 特別賞には守山市の赤野井湾で外来植物オオバナミズキンバイの除去を目指す活動が選ばれた。
 カスミサンショウウオ保護活動代表者の長浜バイオ大齊藤修教授(生化学)は「受賞を励みに活動に力を入れていきたい」と話した。
 賞は生物多様性に関する活動を広めようと県と滋賀経済同友会が本年度に創設。16件の応募があった。

2014年2月27日 滋賀夕刊
田村山ネットなど受賞 県・経済同友会の生物多様性大賞

 田村山に生息する希少生物カスミサンショウウオの保護活動に取り組む「田村山生き物ネットワーク」(会長=齊藤修・長浜バイオ大学教授)が、県と滋賀経済同友会が初めて募集した「しが生物多様性大賞」の大賞に輝いた。県が26日発表し、3月4日、県公館で表彰式を行う。
 多様な動植物との共生を目指す「生物多様性」への活動に、企業も率先して取り組む必要があることから、県と同友会が賞を設けた。企業と、NPOや地域、学校などが協力して取り組む活動を募り、県内から16組の応募があった。
 
田村山生き物ネットワークは、カスミサンショウウオの保護活動に取り組み、長浜バイオ大学や地域住民の活動を長住建設が支援している。雨不足による幼生の
絶滅や密猟の危機からカスミサンショウウオを保護するため、大学、地域住民、企業が一体となって学習会の開催や保護池の整備に取り組んでいる点が、2月上
旬の審査会で評価された。
 このほか、湖南地域の11企業が草津市や琵琶湖博物館と取り組んでいる河川での生き物調査、野洲市内の河川で行われているビワマス遡上復活への取り組みが大賞に輝いた。

2014年2月9日 中日新聞
地域イベントの成果報告 長浜バイオ大生が企画運営

 長浜バイオ大学の学生による「魅力発見発信プロジェクト」の発表会が8日、長浜市の曳山博物館であり、学生が企画運営した地域イベントの成果を報告した。
 
2年生の「長浜魅力づくりプロジェクト」の科目を履修している9人が、1月18、19日の両日に市内のバイオ大町家キャンパスで小学生の親子を対象に行っ
た科学実験や写真撮影講座などの活動を報告。「町家につながりの場をつくれ」という課題を与えられ、「つながりとは何か」を仲間同士で突き詰めながら、取
り組んだことを説明した。
 2日間で計61人を集めたイベントを振り返り、学生たちは「自分たちが大学で学んでいることを生かしながら、地域とどうつながり合うかを学ぶことができた」などと話していた。
 1年生4グループによる大学の魅力を3分間の動画でPRする発表などもあり、大学幹部や商店街役員らが審査、批評した。

2014年1月19日 京都新聞
科学実験 親子わくわく 長浜バイオ大 学生らイベント

 長浜バイオ大の学生たちが18日、人のつながりをテーマにした2日間の親子イベントを長浜市元浜町の同大学町家キャンパスで始め、科学実験などで地域交流を深めた。
 2年生の「長浜魅力づくりプロジェクト」科目の履修生9人が企画・運営を手掛けた。
 小学生向け科学教室は学生が先生となり、動物を大きさや走力の順に並べるクイズや、塩化ビニール管を紙でこすって静電気をためて蛍光管を光らせたり、触って電流を感じる実験もあり、子どもらは「ビリビリきた」と歓声を上げた。
 この間、保護者ら大人向けには写真家による長浜市街の写真撮影講座が開かれた。
 19日も科学教室と写真講座を午前10時、午後1時、3時の各3回催す。参加料は1人50円。

2013年12月22日 滋賀夕刊新聞
大垣銀と連携協定 長浜バイオ大

 長浜バイオ大学は17日、大垣共立銀行と産学連携協定を結んだ。
 大垣共立銀行は今年6月にアグリビジネスサポートデスクを開設し、農業ビジネス支援を強化している。連携により、バイオ大は銀行取引企業の技術相談にのり、銀行はバイオ大が行う技術移転活動を支援する。このほか、地域活性化活動や人材育成で相互協力する。
 なお、同銀行はこれまでに名古屋大学産学官連携推進本部、岐阜大、中部大などと連携協定を結んでいる。

2013年12月20日 中日新聞
産学連携で相互支援へ 長浜バイオ大 大垣共立銀と協定

 長浜市田村町の長浜バイオ大と岐阜県大垣市の大垣共立銀行が17日、バイオ大で産学連携に関する協定を締結した。長浜バイオ大の三輪正直学長と、大垣共立銀行の大橋良彦常務が協定書に署名した。
 農業ビジネスへの支援を強化する銀行側からの働き掛けで実現。銀行の取引先企業への技術相談や、企業との共同研究を通じた人材育成、大学が行う技術移転活動などで協力する。共同研究が実施されれば、学生が企業と接する機会も生まれ、学生にとってもメリットになる。
 バイオ大の金融機関との産学連携は、2006年の長浜信用金庫(長浜市)に次いで、2例目となる。

2013年12月18日 読売新聞
「近江と人と」 ― 実直な研究魂 伝えたい 長浜バイオ大学学長 三輪 正直 さん

 湖畔の静かな街並みに立つ近未来的なキャンパスが目をひく、長浜バイオ大(長浜市田村町)。日本初のバイオサイエンスの単科大として開学10周年を迎え、第2代学長として、さらに特色ある教育や研究プログラムづくりに励む。
 東大医学部を卒業したが、根っからの学究肌だ。動物実験を通じ、白血病を中心に、ウイルスによって引き起こされるがんの仕組みを、遺伝子のレベルから体全体に及んでいくまで、つぶさに解明してきた。
 筑波大で定年退官を迎えた際、同僚から「面白い大学がある」と勧められた。人間の全遺伝情報(ヒトゲノム)が全て解読されたのと同じ2003年に開設され、医学、農学、薬学、情報工学が連携して新しい研究領域を開き、人材を育てる――。それまで関西には縁遠かったが、理念に共感して即決した。「妻への報告は、長浜行きを決めた後でした」と笑う。
 大学は「地域とのつながり」を大切にしていた。琵琶湖固有種の「ビワマス」をおいしくする餌の研究や、薬の開発用に病気のモデルとなる実験用のメダカを作製する。県内の他大学や企業と積極的に連携する大学の特色に合わせ、自らもがん診断薬の開発などに打ち込んでいた。
 温和で、周囲をまとめる力を見込まれ、11年に学長に推された。意外な要請だったが、「地域に根差した小規模校だからこそ、先生も学生も一緒になれる」と引き受けた。
 最大の使命は、来年度からの新カリキュラムを定着、発展させることだ。日進月歩のバイオの世界で、高度な知識や技術を習得させつつ、どうやって主体的に行動できるように育てるのか、模索しながら多忙な日々を送る。
学生と雑談、息抜き
 息抜きは、学生との雑談。昼になると、きまって学生食堂にふらりと現れる。「何の研究してるの?」「海外に行ったことある?」。ざっくばらんに会話を楽しむ姿は、学長というより小中学校の校長先生のイメージに近い。就任から2年余、1200人ほどの学生とはほとんど顔なじみで、すっかり日常の光景になった。
 「自分に忠実に」をモットーに、実直に研究者人生を歩んできた。借りものの考えに頼らず、自立した人間となって巣立ってほしい――。孫ほど年齢の違う若者たちの未来を思う柔和な顔には、静かな闘志を感じさせた。

2013年12月17日 滋賀夕刊新聞
大垣銀と連携協定 長浜バイオ大

 長浜バイオ大学は17日、大垣共立銀行と産学連携協定を結んだ。
 大垣共立銀行は今年6月にアグリビジネスサポートデスクを開設し、農業ビジネス支援を強化している。連携により、バイオ大は銀行取引企業の技術相談にのり、銀行はバイオ大が行う技術移転活動を支援する。このほか、地域活性化活動や人材育成で相互協力する。
 なお、同銀行はこれまでに名古屋大学産学官連携推進本部、岐阜大、中部大などと連携協定を結んでいる。

2013年12月10日 中日新聞
田村山の希少生物守れ カスミサンショウウオの池整備 湖北の学生ら

 環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されているカスミサンショウウオの保護に取り組む「田村山生き物ネットワーク」が8日、長浜市田村町の長浜バイオ大で学習会、田村山近くで保護池の整備と記念植樹を実施した。約80人の参加者たちが希少生物の保護と環境保全について考えた。

 ネットワークは2010年、長浜バイオ大バイオサイエンス学部の齊藤修教授を中心に地元住民らが設立。学習会の開催やカスミサンショウウオの生息水路の水源確保、幼生保護などを行っている。
 学習会では、虎姫高校科学探求部、米原高校生物部、長浜バイオ大学院生がそれぞれの研究成果を発表した。虎姫高校は、カスミサンショウウオの生息地の水位が下がると通常より早く陸上生活を始めると仮定し実験。結果は逆で、水の低下が上陸を遅らせることが分かったという。
 参加者たちは学習会後に田村山麓に設置中の約20平方メートルの保護池に移動。池の中に石や砂利を敷き詰めたほか、池前の水路内にたまった土砂の除去やコナラの木5本を植樹した。カスミサンショウウオが溝に散乱する卵を池に移し、定着化を図る。
 虎姫高校1年生の澤村直輝君は「活動に参加できてうれしい。学んだことを次に生かしたい」と研究に強い意欲を見せていた。

2013年11月19日 中日新聞
長浜で生産者と消費者交流 湖北の郷土料理に舌鼓
ビワマスや焼きサバそうめん

 湖北地方の郷土料理を紹介する交流会「よばれやんせ湖北」が17日、長浜市の長浜バイオ大であり、県内外から百十人が参加。多くの人が生産者らと触れ合いながら、料理に舌鼓を打った。

 地産地消の促進と地産品の情報発信につなげようと、実行委が催し三回目。地元の二十三業者がブースを設けた。
 地産地消の取り組みと県産品の発信・育成について嘉田由紀子知事の基調講演があり、「湖北には伝統的な食材が数多い。地産地消は遠い食から近い食に消費者をつなげるもの」などと話した。
 参加者はビワマスや焼きサバそうめんのほか、赤かぶの漬物など、湖北の食材を生かしたさまざまな料理を食べながら懇談。米原市の山川博子さん(29)は「おいしいものがいっぱいあって、自分たちがぜいたくな場所に住んでいるんだとしみじみ思いました」と堪能していた。

2013年11月15日 日刊ゲンダイ 連載11 健康医療データの読み方
 平均寿命を参考に、老後の計画を立てている人も多いことでしょう。最新(2012年度)の数値によれば、男性は79.94歳、女性は86.41歳です。一般の人は自分の寿命はそれくらい、と考えて老後の備えをするわけです。
 しかし、そこには重大な落とし穴があります。平均寿命とは、次のような数字です。仮に同じ誕生日の人が1000人いたとしましょう。誕生と同時にこの1000人が人生レースのスタートを切るのです。
 人生は山あり谷あり、スタート直後になくなってしまう人もいれば、10代、20代で脱落してしまう人もいます。もちろん100歳を越えて生きる人もいます。平均寿命はそうした早世の人や長寿の人も全部まとめての数字です。だから平均寿命より長命の人も大勢いるのです。
 実際、この1000人が半分の500人になるのは、男性で83年後、女性では何と90年後です。
 しかも最も大勢の人が亡くなる時期は、男性で86歳、女性では91歳です。平均寿命と数年の差があるのです。夭逝・早世する人が平均を下げていることによるものです。ですから読者の皆さんは、平均寿命よりも長く生きられる可能性が高いといえます。
 平均寿命までに亡くなるのは、男女とも4割に過ぎません。老後の備えを考えるなら、男性では86歳、女性なら91歳ぐらいをめどにしておくべきです。
長浜バイオ大学・永田宏教授(医療情報学)

2013年10月21日 滋賀夕刊新聞
バイオと大学の将来考える
開学10周年シンポジウム

 長浜バイオ大学(三輪正直学長)の開学10周年記念シンポジウムが19日開かれ、200人余りが基調講演やパネル討論を通してバイオ産業の将来について考えた。
 「医薬品産業の現状を将来」「日本の未来をバイオで変える」などと題した基調講演のほか、田村山ふもとの希少種カスミサンショウウオの保護活動、養殖ビワマスの脂の乗りをよくする飼料開発、植物工場での野菜の生産など、大学と地域、企業との連携活動の報告があった。
 また、「長浜バイオ大学が果たすべき役割」と題した討論会では、人口が加速度的に増加している世界の食糧問題、エネルギー問題を解決するため、バイオ技術に求められる役割が大きいとし、人材育成の観点からもバイオ大への期待が高まっているとの意見がでていた。
 バイオ大は2003年に開学し、これまでに1648人の学部卒業生と、修士課程170人、博士課程10人の学生を輩出してきた。

「見聞録」
日本産業に変化と革新を     押谷洋司 (滋賀夕刊新聞発行人)

 19日に行われた長浜バイオ大学の開学10周年記念シンポジウムで、日経BP社の特命編集委員・宮田満氏の基調講演が印象に残った。
 GDP世界3位の日本は、今は経済大国だが、これからは途上国の追い上げによる国際競争がより厳しくなる。一方で、国内市場は人口減少で縮小する。宮田氏はそういった事情がありながら、今の日本人、特に豊かな環境に生まれた若者は変化を恐れて保守化していると心配している。
 パナソニックやシャープなど日本の製造業が「土壇場」にあるとして「ひとつのビジネスモデルはたかだか30年しかもたない」と指摘。「イノベーション」(革新)という言葉を多用し、新たな産業分野に挑戦する大切さを訴えた。
 そして、リーマンショック後の不況の中、企業は研究開発費の抑制を迫られており、今こそ大学の役割が求められているとし、大学の画期的な研究例をいくつか紹介した。
 香川大の何森健教授は自然界にはほとんど存在しない「希少糖」の大量生産技術の開発に成功した。そして、伊丹市の企業の参入で抗肥満効果を持つ甘味料の開発に結びついた。佐藤の9割程度の糖度があるのに、体重や体脂肪の減少効果、食欲抑制効果などがあるというこの甘味料は、大手飲料メーカーから引き合いがあるなど注目されている。肥満大国のアメリカでは、丹さん飲料の消費が8年連続で減少するなど肥満に対して敏感になっており、仮にこの希少糖を利用した甘味料が普及すれば、世界標準となる可能性を秘める。
 また、山形県鶴岡市にある慶應義塾大学の先端生命科学研究所では、山形県と鶴岡市から20年間で170億円もの寄付を受け、「メタボローム」(新陳代謝に関する研究)の解析技術を基盤とする研究に取り組み、次々とベンチャービジネスが誕生している。同市は成績優秀な高校生が東京、仙台などの大学に進学した後、地元に戻ってこないことから、高等教育機関に積極的な投資を行ってきた。
 その成果がメタボロームの研究と新ビジネスの創出に繋がった。中でも「スパイバー」とよばれるベンチャー企業はクモ糸の人工合成に成功し、世界的注目を浴びており、サンプルを世界の企業に有償提供するだけでビジネスが成立する気配という。
 以上が宮田氏のレポートだが、長浜でも養殖ビワマスの脂の乗りを良くする飼料開発や、植物工場の運営に、長浜バイオ大学の研究成果が生かされている。
 農業、エネルギー、製薬など、人類の発展にもはや不可欠となっているバイオ技術は、従来型の製造業が限界を迎えた日本産業の巻き返しの「種」でもある。これらのバイオ技術に精通した人材を養成する長浜バイオ大学の役割が今後もますます大きくなるであろうし、大学と民間企業、そして自治体が手を組み、新たな産業と雇用を創出することにも期待したい。
 

2013年9月28日 朝日新聞
近畿の底ぢから 大日本スクリーン製造
がん細胞をスキャン
写真製版の技で未来開く

 明治元年に創業した印刷所がルーツの大日本スクリーン製造(京都市上京区)は、伝統の写真製版技術を応用して、半導体の製造装置を開発し、国内外のものづくりを支える存在に成長した。今年から、細胞を計測する3Dスキャナーの販売も始め、ライフサイエンス分野にも参入を図る。

 7月から大日本スクリーン製造が販売を始めた新商品「高速3D細胞スキャナー」は、ミクロの細胞を短時間で立体的に計測し、数を割り出せるのがウリだ。
 細胞スキャナーを導入した、長浜バイオ大学(滋賀県長浜市)に隣接する産学連携のベンチャー企業「フロンティアファーマ」を見学した。
 培養したりょっ系40〜200マイクロメートルのがん細胞の塊を乗せたプレートを約1分半かけて読み取る。細胞の個数や面積を測定し、光の透過具から体積も推定できる。研究者は、細胞の増減を通じて、抗がん剤の効果を確認できる。
 これまで立体的ながん細胞の計測には、時間をかけて顕微鏡で目視するか、数千万円の高額な装置を使うなどしてきた。新たな細胞スキャナーは1台700万円と比較的安い。同大学で抗がん剤の創薬を研究し、スキャナー開発を助言した水上民夫教授(59)は「これで多くの抗がん剤を短時間で試すことができる」と太鼓判を押す。
 ライフサイエンス分野は、大日本スクリーン製造にとって新しい挑戦であると同時に、既存技術の展開でもある。滝本景介広報・IR室長(56)は「根幹には伝統のフォトリソグラフィー(写真製版技術)がある」と話す。
 1868(明治元)年、銅版画家の石田才次郎(雅号・旭山)が創業した「石田旭山印刷所」が同社のルーツだ。1934年、写真印刷の製版に必要で、当時は欧米からの輸入に頼っていたガラススクリーンの国産化に成功した。
 きめ細かな格子状の溝を刻んだガラス板に、写真画像の光を通過させ、印刷用の大小の網点に変換する機器だ。その研究部門が独立したのが大日本スクリーン製造だ。
 戦後、こうした写真製版技術を応用した新たな事業展開を進めた。55年、ガラスの加工技術を金属加工に生かして、テレビカメラ用の部品「金属メッシュ」を開発し、エレクトロニクス分野に参入した。その先に、いまでは同社の主力商品に育った半導体や液晶パネルの製造装置がある。
 3D細胞スキャナーのほか、同社は現在、有機ELや太陽電池、リチウムイオン電池に関連した新規事業に取り組んでいる。
 3代目社長を務めた石田明会長(71)は、「印刷事業から始まった当社のコア技術を応用して、これからも未来を切り開いていきたい」と展望する。

2013年9月17日 中日新聞
健康創生特区 国から指定書 医工連携推進

 総合特区法に基づいて県が申請していた「地域のものづくり力を活かした『滋賀健康創生』特区」が、13日付で国の指定を受けた。総務省で26日、西嶋栄治副知事が新藤義孝総務相から指定書を受け取った。
 指定を受けたのは大津、草津、守山、栗東、野洲の五市と県立大(彦根市)、長浜バイオ大、東北部工業技術センター(ともに長浜市)の三施設。
 県内の大学や民間企業は合同で、指先からのほぼ無痛で血液を採取できる機器や、少量の血液でこれまで以上に詳細な健康状態を把握できる血液検査機器などを開発している。ただ、薬事法や臨床検査技師法で、登録外の施設がこうした機器を使うことは禁じられていた。
 特区では機器開発に注力する一方で、法律の規制緩和を進めて薬局などでも検査を受けられるようにする。今後、県と国が細部を協議し、順次適用していく。
 県モノづくり振興課の担当者は「指定を機に大学と民間の医工連携が盛んな強みを生かして、予防医療への転換を図っていければ」と話した。

2013年8月30日 日刊電波新聞
微量物質を簡単に検出
金属メッシュデバイス 村田が開発 マイクロメートルオーダー

 村田製作所は29日、金属シートに空けた数マイクロメートルオーダーの穴で微量物質を検出したり、篩(ふるい)にかけることができる世界初の金属メッシュデバイスを開発した、と発表した。
 
検出したい対象物が金属メッシュデバイスに空けた1-数マイクロメートルの穴サイズより大きいと、検出物が穴を通過せずに金属メッシュに付着する。これを
利用して金属メッシュデバイスに簡易なテラヘルツの電磁波を照射(入射)し、金属メッシュデバイスから透過してくる電磁波の特性変化を検出器で検出するこ
とで、被検出物の有無、量(要検量線)が簡単に分かる。
 簡単、手軽、ラベルフリー、ハイスループット、サブ・ナノグラムレベルの検出感度を特徴に、リーダーの小型化(手のひらサイズ)・屋外使用などを進めながら、大学、製薬・創薬などの研究機関や医療現場などのニーズを捉え、15年初めの実用化を目指す。
 
同社は、ジャイロ加速度センサーで培ったMEMS技術とSAWフィルターなどの薄膜技術を応用し、4年かけて開発した。用途開発で京都大学の小川雄一博
士、生化学反応などで九州大学の三浦佳子博士、メッシュのメカニズム、動作原理などで大阪市立大学の菜嶋茂喜博士、バイオ検出などで長浜バイオ大学の長谷
川慎博士の協力を得て開発に成功した。
 現在、厚さ数マイクロメートル、最大10センチメートル角サイズの金属シートに1-数マイクロメートルの
穴を空けることができることからインクジェットの吐出液の検出(検出感度0.1マイクロリットル-)をはじめ、細胞・菌・花粉・ほこり、粉体などの検出
(同10個/100平方マイクロメートル)、抗体抗原反応の生化学反応やタンパク質といった分子結合の検出(同100ナノグラム/ミリリットル-)、透明
フィルム検出・フィルム厚測定などのフィルム検出(同2マイクロメートル厚-)、薄膜半導体検出・薄膜膜厚測定などの薄膜検出(同30ナノメートル厚-)
に使えることを確認している。
 今回の開発成果は、9月4-6日まで千葉・幕張メッセで開催されるアジア最大の分析・化学機器展「JASIS」の同社ブースで展示、紹介する。

2013年8月10日 朝日新聞
高齢者らの不自由、疑似体験
長浜バイオ大生、装具つけ街へ

 長浜市中心部で7日、長浜バイオ大学の1年生37人が体の不自由な高齢者や障害者の疑似体験をするため、重りの付いた装具などを身につけて歩いた。「ボランティア活動の意義と実践」の授業の一環で、障害者への理解を深め、支援のあり方を考えるきっかけにする狙いがあるという。
 学生たちは同市元浜町にある大学施設「町家キャンパス」に集まり、視界が狭くなるゴーグルをかけて耳栓をし、ひじとひざには動きを制限するサポーターを巻いて、手首や足首に重りを装着。街中に出て横断歩道を渡ったり、コンビニで買い物をしたりした。
 約20分間の体験で学生たちは「音が聞こえにくくて、車が近付いても気付かなかった」「硬貨の見分けがつかなかった」「自販機で違う商品を買ってしまった」などと話していた。
 学生たちは今後、長浜、米原、彦根の3市にある計11カ所の障害者施設を訪れ、5日間の実習をする予定。

2013年8月8日 京都新聞
障害者の生活 学生ら疑似体験
長浜バイオ大 器具で動き制限

 長浜バイオ大(長浜市)の学生が7日、同市元浜町の商店街で、体に器具を着けて障害者の生活を疑似体験した。
 授業「ボランティア活動の意義と実践」の一環。長浜市社会福祉協議会から器具提供を受けて初めて行い、1年生37人が参加した。
 同町にある同大学町家キャンパスで、、関節の動きを鈍くするバンドを膝や肘に巻いたほか、視界を狭めるゴーグルや耳栓を装着。数人のグループで商店街を散策したり、自動販売機を利用した。
 学生らは「バッグから財布を取り出すのが大変」「値段など数字を確認するのが難しい」などと述べ、障害者の日常を実感した。

2013年7月4日 京都新聞
子宮頸がん・神経芽腫 副作用減の治療薬に道
府立医大と長浜バイオ大 候補物質を開発

 子宮頸がんや、小児がんの一つである神経芽腫の治療薬の候補物質を、京都府立医科大の鈴木孝禎教授や長浜バイオ大の水上民夫教授らのグループが開発した。副作用の少ない抗がん剤として期待できるといい、ドイツ科学誌で近く発表する。

 子宮頸がんなどでは、遺伝子の働きを調節する酵素LSD1が過剰に生産され、がん細胞の増殖が進む。抗うつ剤のトラニルシプロミンがLSD1に結合して働きを阻害することが分かっているが神経伝達物質を調節する酵素MAOにも結合するため、単体では副作用の恐れがある。
 グループは、MAOには結合せず、LSD1だけに結びつく分子を設計、トラニルシプロミンと連結させた。子宮頸がんや神経芽腫の細胞で実験したところ、トラニルシプロミン単体の100分の1以下の少量で増殖を抑えることができた。
 鈴木教授は「動物実験で効果を確かめ、臨床応用に進みたい」と話している。

2013年3月22日 中日新聞
教育連携 より深く 長浜バイオ大と虎姫高 協定締結

 長浜市の長浜バイオ大と虎姫高校の高大連携事業協定の締結式が21日、同大であった。2009年から虎姫高生徒の一部が大学の講義を受けるなどしていた高大連携がより進むことになる。
 09年から11年まで年1回、虎姫高2年の理系生徒が生命科学分野の講義を受講していた。昨年は2年理系生徒と1年生全員が、講義を受講。ほかにも同校科学探求部のカスミサンショウウオ研究を同大が支援したりと、関係を深めていた。
 協定締結により、毎年継続的に高校生向け講座が開かれるほか、2年理系生徒だけだった講義が1年生全員に対象が広がる。講座の回数が増える可能性もある。
 締結式では、同大の三輪正直学長が「社会に貢献する学生の育成のためには、高校教育とのつながりが大切」と意義を強調。同校の西嶋博純校長は「生命科学に関する知見を深められるほか、進路選択にも役立つ」と話した。
 協定締結はこれで長浜バイオ大は近江兄弟社高と岐阜県立岐阜農林高に続き3校目、虎姫高は滋賀医科大に続き2大学目になる。

2013年3月22日 京都新聞
高大連携で交流深化 長浜バイオ大と虎姫高協定

 長浜バイオ大(長浜市)は21日、虎姫高(同市)と高大連携事業に関する協定を締結した。同大学が高校と協定を結ぶのは3校目。
 
同大学は、2009年度から虎姫高に年1回、講師を派遣して生命科学の講義を行っている。同高は本年度から文部科学省スーパーサイエンスハイスクール
(SSH)事業の指定校になっており、より関係を密にしようと協定を締結することになった。協定により、派遣の頻度が増え、生徒が同大学を訪れて施設を利
用できるようになるという。
 締結式では、長浜バイオ大の三輪正直学長と虎姫高の西嶋博純校長が協定書に署名した。西嶋校長は「素晴らしい教育環境を提供してもらえる。生徒が研究者と交流し、知見も広がる」と話した。

2013年3月17日 中日新聞
師の言葉胸に 長浜バイオ大卒業式

 長浜市の長浜バイオ大の卒業式が16日、同大であり、学部卒業生251人と大学院修了生36人が感謝を胸に社会に巣立った。
 
式では、三輪正直学長が「皆さんの体をつくっている46本の染色体は、70兆の組み合わせから誕生しており、皆さんは唯一無二の存在。社会でもユニークな
仕事をしてほしい」とあいさつ。卒業生を代表してバイオサイエンス学科の古川新さん(22)が「学んだ知識や経験、想像力を生かし、社会に貢献していきた
い」と決意を述べた。
 式後には、体育館前で保護者や在校生に囲まれて、卒業生と修了生が学生の象徴である角帽を青空に向かって投げ、社会へ出る覚悟を新たにした。

2013年3月15日 中日新聞より
昆虫から新抗酸化物質 化粧品や医薬品へ応用期待
長浜バイオ大 広島大と共同研究で発見

 長浜バイオ大(長浜市)と広島大の共同研究グループは、琵琶湖岸の樹木サイカチの種子に寄生する昆虫サイカチマメゾウムシの幼虫が強い抗酸化作用のある新しい脂質を体内で作り出していることを突き止めた。2月19日付の米科学誌ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ電子版に掲載された。
 長浜バイオ大バイオサイエンス学部分子生命科学コースの河合靖教授(49)は「アンチエイジング(老化防止)機能を持つ化粧品や医薬品、飲食物などへの応用が期待される」とする。
 中性脂肪でもある通常の脂質(トリアシルグリセロール)は、グリセリンに三つの脂肪酸が結合している。サイカチマメゾウムシの幼虫から得たエキスには、強い抗酸化能力を持つ脂質が含まれ、調べると脂肪酸のうちの一つがデヒドロアミノ酸に置き換わっていることが判明した。この新しい構成は、これまで世界で発表されたことはなく、「ドルサミンA」と名付けた。
 中心となった広島大大学院生物圏科学研究科の太田伸二教授(54)は2004年4月から8年間、バイオ大に在籍し、河合教授らと脂質の研究に取り組んだ。
 抗酸化能力のある脂質の解明は、バイオ大大学院の広瀬弥生さん(23)=修士課程2年=が10年12月、大学近くの琵琶湖岸のサイカチの木から採取した幼虫のエキスに新しい脂質を発見したことがきっかけ。
 11年夏ごろに脂質の構造が分かり、その後グループの研究で抗酸化作用のあることが確認された。
 河合教授は「人に対しての影響などを分析しながら、さらに研究を進めたい」と話している。

2013年3月14日 京都新聞より
昆虫から抗酸化物質 長浜バイオ大など発見
ビタミンE上回る作用 抗加齢に応用期待

 がんや老化の原因になるとされる活性酸素の働きを抑える抗酸化作用がある新しい脂質を広島大大学院の太田伸二教授らのグループが長浜バイオ大(長浜市)との共同研究で発見した。米科学誌「ジャーナル・オブ・ナチュラルプロダクツ」の電子版でこのほど発表した。
 太田教授らは、昆虫の強い生命力に着目し、サイカチマメゾウムシの幼虫の体液から抗酸化作用がある脂質を取り出した。化学構造を解析したところ新物質と分かり、「ドルサミンA」と名付けた。
 通常の脂質は3個の脂肪酸を結合させているのに対し、ドルサミンAは、うち1個が、アミノ酸の一種、デヒドロアミノ酸自体に同作用があることも確認した。
 共同研究した長浜バイオ大の河合靖教授によると、ドルサミンAは、皮膚などのアンチエイジング(抗加齢)に応用できるという。河合教授は「構造が単純なので、人工的に作り出せる。人への安全性がクリアできれば、化粧品や医薬品などに使えるのでないか」と話している。

2013年2月21日 朝日新聞
長浜バイオ大 企業から教員 タカラバイオと協定

 長浜バイオ大(長浜市田村町)は18日、学外の研究機関と連携して大学院教育を行う「連携大学院」の協定をタカラバイオ(本社・大津市、仲尾功一社長)と結んだ。来年4月から同社の研究者を教員として迎え、より高度で専門的な力を持つ人材の育成を図る。
 協定では、タカラバイオの研究者を客員教授や客員准教授として招き、大学や同社の研究施設を使って大学院生40人程度が指導を受けられるようにする。
 同社は、遺伝子治療、細胞医療といった先端医療技術の臨床開発、商業化を進めており、バイオ大では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)の培養技術や、ゲノム(全遺伝情報)の解析などで実践的な指導を求めている。
 バイオ大であった調印式で、三輪正直学長は「私大の大学院が、産業界の研究機関と連携大学院の協定を結ぶのは、かなり珍しい試みだと思う。今後、バイオの教育研究において、世界レベルを目指したい」述べた。

2013年2月19日 中日新聞
タカラバイオ(大津)と協定 長浜バイオ大 遺伝子技術教育で連携

 長浜の長浜バイオ大は18日、バイオ技術を用いた遺伝子医療事業を展開するタカラバイオ(大津市瀬田3)と連携大学院協定を締結した。来年4月には同社から客員教授を招くほか、学生がタカラバイオの研究所で指導を受ける。
 バイオ大大学院のバイオサイエンス研究科バイオサイエンス専攻の修士課程で、コンピュータで遺伝子を解析するゲノムテクノロジー分野について学ぶ学生が対象となる。
 山中伸弥京大教授のノーベル賞受賞で一躍注目された人工多能性幹細胞(iPS細胞)の培養、ゲノム解析などの技術や知識を持ち、産業界で活躍できる人材を育成するのが狙い。
 調印式では、三輪正直学長が「バイオ分野で世界レベルを目指せる学生を育てたい」とあいさつ。同社の仲尾功一社長は「IT技術とバイオ技術の知識を併せ持った人材の育成が急務。大学と連携し、ライフサイエンス分野を成熟させていきたい」と意欲を語った。

2013年2月19日 京都新聞
長浜バイオ大 タカラバイオと協定 研究者招き人材育成

 長浜バイオ大(長浜市)が、大学以外の研究機関と連携した大学院教育「連携大学院」の協定をタカラバイオ(本社・大津市)と結ぶことになり、18日、同大学で調印式か行われた。同社の研究者を教員として迎えることで、高度・専門化する大学院教育のレベルアップを図る。
 協定では、タカラバイオの研究者を客員教授や客員准教授として迎え、大学や同社の研究施設で大学院生が指導を受ける。
 タカラバイオは、遺伝子治療の商業化を目指すなどバイオ事業を多角的に展開しており、同大学は特にゲノム(全遺伝情報)の解析や人工多能性幹細胞(iPS細胞)の培養技術などの分野で実践的な指導を受けたいとしている。指導される大学院生は40人程度を見込んでいる。
 調印式で三輪正直学長は「最先端技術を学ぶ、またとないチャンスになる」と話し、タカラバイオの仲尾功一社長は「人材が不足しているバイオインフォマティクス(生物情報科学))の人材を育成できれば」と語った。

2013年2月19日 日刊工業新聞より
タカラバイオと教育研究で協定 長浜バイオ大

 【大津】長浜バイオ大学(滋賀県長浜市)とタカラバイオは18日、同大大学院の教育研究に関する協定を結んだ。バイオサイエンス研究科博士課程前期のゲノム(全遺伝情報)技術分野で、2014年4月からタカラバイオの研究者が客員教員となり、同社の研究施設や設備も活用して学生の研究指導を行う。
 タカラバイオはバイオ技術を生かしたゲノム解析受託サービスのほか、遺伝子治療や細胞治療の商業化に向けた事業などを手がける。長浜バイオ大学はバイオサイエンスの学問分野の高度化を受け、同社との連携でゲノム解析技術やiPS細胞(万能細胞)をはじめとする培養技術などに詳しい人材の育成を目指す。

2013年2月12日 近江毎夕新聞
タカラバイオと連携 長浜バイオ大学が「連携大学院」

 バイオテクノロジー関連の研究開発型企業、タカラバイオ株式会社(仲尾功一・代表取締役社長、本社=大津市瀬田)が、長浜バイオ大学(三輪正直・学長、長浜市田村町)の大学院教育で連携、協力することになり、18日午後3時から同大学で「連携大学院」の調印式がある。同大学が企業と教育研究で連携するのは初。
 連携大学院は、大学と企業の研究機関が協力して大学院教育を行う方式。高度な研究水準にある企業の研究者を大学が客員教授、客員准教授として迎え、企業の研究施設、設備を活用して大学院生の研究指導を行うという。ゲノム解析やiPS細胞の培養技術など、最先端のバイオテクノロジーを学び、バイオ産業界に貢献できる人材育成には、一線で研究を進める企業との連携が不可欠と判断して連携協定締結に至ったという。
 タカラバイオは宝酒造などの持株会社、宝ホールディングスの傘下企業。資本金91億2618万円、従業員1164人(昨年末現在)。遺伝子工学研究事業、医食品バイオ事業、遺伝子医療事業の3領域で事業展開し、平成12年には四日市市に大規模ゲノム解析センター「ドラゴンジェノミクスセンター」を開設しゲノム解析受託事業などに取り組んでいる。

2013年2月13日 中日新聞
湖北食材を使い4品考案 長浜バイオ大生 活動成果など発表

 長浜バイオ大の学生による「長浜まちづくり魅力発見発信プロジェクト」の発表会が12日、長浜市元浜町の曳山博物館であり、学生たちが発案し取り組んだ企画の成果を披露した。
 地元の魅力を考える授業の一環で、2年生8人が、今年1月下旬に湖北の食材を使ってオリジナルのランチメニューをつくり、市内の洋食店で販売した活動を報告した。
 学生たちは、地域の農家を尋ね、地元産の赤カブに着目。赤カブの煮汁で炊いた米とビワマスの入ったライスコロッケなど4品のメニューを考案し、地元の洋食店でつくってもらい、期間限定で販売した。
 発表会では、試行錯誤しながらメニューづくりに励んだことや、洋食店でのアンケート結果を伝えた。学生たちは「食材選びや、メニューを考える上で苦労もあったが、湖北の食の魅力を確認できていい機会になった」などと話した。
 1年生の5グループによる大学の魅力を伝えるビデオ発表もあり、大学幹部や地元の商店街の関係者らが審査し、批評した。

2013年1月30日 朝日新聞
タイの大学と学術交流協定 長浜バイオ大で調印式

 長浜バイオ大学(長浜市田村町)は28日、タイのカセサート大学と学術交流協定を結んだ。バイオ大であった調印式には、三輪正直学長とカセサート大のタニヤ・キャティワット工学部長が出席し、協定書を交換した。
 国立のカセサート大は1943年の設立で、工学、理学、農学、経済学、スポーツ科学などの学部を擁する総合大学。同大学の理学部と、バイオ大バイオサイエンス学部が2004年11月に学部間の協定を結び、教員の相互派遣などの学術交流を進めてきた。
 今回、カセサート大工学部との学生交換や、インターンシッププログラムに関する覚書を交わすと共に、他分野での交流を視野に、大学間でも協定を結んだ。
 覚書に基づき、3月にコンピュータ工学科の学生2人がバイオ大を訪れ、10週間にわたりコンピュータバイオサイエンス学部で生命情報科学を学ぶ予定。三輪学長は「両大学間での教員、学生の交流を通して、未来の建設に向けて貢献できる若い人材が育っていくことを期待している」と述べた。

2013年1月29日 滋賀夕刊新聞
タイ国立大と学術協定 長浜バイオ大、海外学生と交流

 長浜バイオ大学は28日、タイの国立カセサート大と学術交流協定を締結した。
 バイオ大は研究者同士の交流を機に、2004年にカセサート大理学部と学術交流協定を結び、教員の交流を行っている。この日、バイオ大で行われた協定調印式では、カセサート大工学部と学生交換、インターンシッププログラムに関する覚書を交わしたほか、他分野での交流を視野に入れ、大学間の協定も結んだ。
 調印式に出席した三輪正直学長は「グローバル社会のなかで世界との交流を一層深めていく必要がある。そのような環境の中で、学生諸君にも積極的に海外の学生との交流を進めて欲しい」と語り、タニア・キティワット工学部長は「今後いろいろな形のコラボレーションができる。教員、学生、研究の交流が活発になり、2国間のよい交流に貢献していけると思う」とあいさつした。
 カセサート大は同国で3番目に古い大学。農学部、工学部、経営学部、水産学部、人文学部などを擁する総合大学で、在籍者は5万人を超える。バイオ大との覚書に基づいて、3月からコンピュータ工学科の学生2人がバイオ大で10週間、バイオ生命情報科学を学ぶ。

2013年1月29日 近江毎夕新聞
タイの大学と交流協定 長浜バイオ大が学生交換なども

長浜バイオ大学(長浜市田村町)と、タイ王国のカセサート大学(バンコク市)が28日、学術交流協定などを締結した。この日、バイオ大学で調印式があり、三輪正直・バイオ大学長とカセサート大学のタニア・キティワット工学部長が大学間学術交流協定書に調印。池村淑道・バイオサイエンス学部長とタニア工学部長が学生交換、インターンシッププログラムに関する覚書を取り交わした。
 両大学は、研究者同士の交流から始まり、平成16年にカセサート大学理学部と学術交流協定を結び、教員の交流を行っていた。今回はカセサート大学工学部と2つ覚書を取り交わすとともに、他分野での交流を視野に、大学間の学術交流協定を結ぶことにした。
 今後、カセサート大学工学部コンピュータ工学科の学生有志が、長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科で10週間、生命情報科学(バイオインフォマティクス)を学ぶ予定。3月から学生2人がバイオ大にインターンシップ派遣される。
 カセサート大学は、昭和18年にタイで最初の農業大学として設立された国立の総合大学。5万人以上が学び規模、内容ともタイのトップクラスに位置する大学という。日本を始め海外の多くの大学と学術交流協定を結び、人材交流を図っている。

2013年1月29日 中日新聞
長浜バイオ大が交流協定を締結 タイ・カセサート大と

 長浜市田村町の単科大学・長浜バイオ大学は28日、タイ・カセサート大学と学術交流協定を結んだ。バイオ大で開いた調印式には三輪正直学長ら6人、カセサート大からタニヤ・キャティワット工学部長ら4人が出席した。
 バイオ大バイオサイエンス学部とカセサート大理学部は、2004年に学部間レベルで協定を結び、既に教員の相互派遣などで学術交流を進めている。
 今回は、新たに工学部と締結するとともに、他学部との交流も推進するため、大学間レベルで協定を結ぶことになった。
 まず、3月に工学部コンピュータ工学科から2人がバイオ大を訪れて10週間滞在し、コンピュータバイオサイエンス学科で生命情報科学を学ぶ。
 カセサート大は1943年に設立された国立大で文・理科系の13学部を擁する総合大学。
 三輪学長は「大学間で協定を結べたことは喜ばしい。いずれこちらからも希望者を募って学生を派遣する」と話している。

2013年1月29日 京都新聞
タイの大学と学術交流協定 長浜バイオ大 学生交流強化

 長浜バイオ大(長浜市)は28日、タイのカセサート大と学術交流協定を結んだ。学生交換など交流を進める。
 長浜バイオ大は2004年11月にカセサート大理学部と学部間の学術交流協定を締結。今回、大学間の協定も結び、交流を強化することになった。
 協定調印式は長浜バイオ大であり、三輪正直学長がカセサート大工学部のタニア・キャティワット学部長と調印書を交換。同時に同大工学部と学生交換とインターンシップの覚書も交わした。
 カセサート大は1943年に設立されたタイでもトップクラスの国立総合大学で、学生数は5万人。東京大や大阪大など20を超える日本の大学とも学術交流協定を結んでいる。
 3月からカセサート大の学生2人が10週間、長浜バイオ大コンピュータバイオサイエンス学科で学ぶ予定。三輪学長は「積極的に海外の大学に出て、世界をリードする学生を育成したい」と話した。


2013年1月19日 近江毎夕新聞

バイオ大生がランチ考案 赤カブ活用 洋屋で期間限定発売

 長浜バイオ大学のバイオサイエンス学部2回生8人が、地場産の赤丸カブやビワマスなどを食材に、試行錯誤の末にオリジナルのランチメニュー「カブかぶランチ」を完成させた。長浜市元浜町の黒壁十四号館「カフェレストラン洋屋」で19日から27日まで1食980円で期間限定販売されている。初日は午後零時半までに限定30食が売り切れる人気となった。
 ランチメニューの考案は地域の魅力発信をテーマにした選択授業で取り組まれたもので、昨年秋から野菜など地場産農作物の調査、レシピ作りに取り組んでいた。赤カブの色彩と味を活かしたコロッケなどセットメニューを数種完成させ、洋屋の店長、柏野清子さんらに提案。柏野さんや、プロの調理師の提案を入れて、当初の具材、サケフレークをビワマスに変更するなど試行錯誤を続けた。
 完成したメニューは、赤カブの汁で炊いた米とビワマス、湖北産ベーコンとチーズ入りのコロッケ、白カブスープ、赤カブなどの温野菜、赤カブゼリーの4品。
 洋屋の柏野店長は「発想がすばらしい。120点の評価をあげたい」と評している。平日は限定10食、土日曜日は同30食販売する。

2013年1月18日 京都新聞
赤カブのランチいかが 長浜バイオ大生考案 あすから限定販売

 長浜バイオ大(長浜市)の学生たちが、湖北地域特産の「赤カブ」を使ったランチメニューを考案した。同市中心部の黒壁スクエアにある「カフェレストラン洋屋」で19日から期間限定販売する。

特産に試作重ね
 考案したのは2年生8人で、全員県外出身者。地元の魅力発信を考える選択授業の一環で昨年10月、湖北の食材をアピールするメニュー作りに取り組むことになった。
 さまざまな野菜でメニューを考えていたところ、「赤カブなら鮮やかな赤色で客を引き付けられる」と着目。地元では酢漬けにして食べることが多い赤カブを県外出身者の斬新な発想で洋食に仕立て、試作を重ねて「カブかぶランチ」を完成させた。
 メニューは、赤カブの汁で炊いた米やビワマスが入ったコロッケ、白カブスープ、赤カブやカボチャの温野菜、赤カブゼリーの4品。カブの赤い色が見た目のアクセントになっている一方、カブ独特の香りを果物の甘みで和らげておいしく仕上げた。
 洋屋の柏野清子店長(37)は「赤カブの汁を使ったライスコロッケはプロにない発想」と高評価。学生らも「観光客に喜んでもらう味になった」(中西健太さん)、「漬物以外の食べ方をみんなに知ってもらえば」(廣麻綾さん)と自信を見せる。
 1食980円。27日まで1日10食(土日曜は30食)を出す。予約も可。洋屋TEL:0749-62-0230

2012年10月10日 中日新聞
日本語交え和やかに 長浜バイオ大 中国留学生を歓迎

 長浜バイオ大(長浜市)との大学間協定で、中国・東北大学(遼寧省)から留学する男子学生三人の歓迎の集いが、長浜バイオ大であり、参加した三輪正直学長らが歓迎と激励の言葉を掛け、学生寮で生活をともにする寮生らと自己紹介し合った。
 三人は、中国で国家重点大学に指定される東北大の生物医学情報エンジニアリング学院四年の張騫さん(20)、李力さん(21)、黄煉さん(19)。約一年、長浜バイオ大で先端医療機器の仕組みや脳波のコンピューター制御などを学ぶ。
 集いには、寮生約四十人とバイオ大教職員ら計約六十人が参加。三人の留学生は、バイオ大に留学中で日本語を理解できる学生を介して、自身の出身地の名所や名産の食べ物などを説明。「はじめまして」「どうぞ、よろしくお願いします」など日本語も交え、和やかに触れ合った。
 バイオ大は東北大と二〇〇八年十一月に学生交換協定を結び、〇九年十月から一年間二人を受け入れた。今回の三人は二例目の受け入れとなる。張さんは「長浜は自然豊かで美しく、静かな町で好感を持った。しっかり勉強に打ち込めそうです」と笑顔で話した。
 
 

2012年10月8日 京都新聞
中国留学生 和やか歓迎 長浜バイオ大

 長浜市の長浜バイオ大に学術交流などの協定を結んでいる中国・東北大から3年ぶりに交換留学生がやって来た。このほど歓迎会があり、学生寮の寮生や教職員ら計約60人がランチを一緒にとりながら和やかに歓迎した。

 交換留学生は3人で、いずれも英語が堪能な生物医学・情報エンジニアリングを学ぶ4年生。同大学には日本で唯一のコンピュータバイオサイエンス学科があり、私費の中国人留学生が院生を含め39人在学している。
 歓迎会で3人は、「どうぞよろしくお願いします」と日本語であいさつし、中国語で出身地の郷土料理などを説明した。陝西省延安市出身のチョウ・ケンさん(20)は「(長浜の印象を)きれいで静かで、日本が好き。心臓の3次元画像に興味がある」と話した。
 三輪正直学長は「日本の学生には、中国人留学生に接することで、外国に出て行こうという気概を持ってほしい」と期待していた。 

2012年8月6日 中日新聞

長浜バイオ大「TEAM CHAMBER」  理系の強みで貢献

 長浜市の長浜バイオ大の課外授業「長浜まちづくり魅力発見発信プロジェクト」から昨年生まれた団体。メンバーは受講生の3年生7人。地域の人と交流しながら、地域の活性化に取り組む。
 同市元浜町のパウビルで開かれた物産展「東北元気市場」で、子どもを対象に、東北にちなんだ花や果物の香りを付けたせっけん作り講座を催したり、小学校で職業体験の時間に、ムラサキキャベツを使った染色実験を教えるなど、理系の強みを生かして地域に貢献している。「長浜が活気づいたら自分たちも楽しくなる」と、今年4月から中心市街地の町家で開かれている地域住民らが参加するまちづくり会議にも出席している。メンバーはほとんどが県外出身者で「長浜の町衆文化に魅力を感じている」と話す。
 代表のバイオサイエンス学科3年牧野佑亮さん(20)は「今年は長浜ドームで巨大プラネタリウムを上演したい」と夢を膨らませている。

 
 2012年7月1日 中日新聞
遺伝子学ぶ目真剣 岐阜高で連携講座
 長浜バイオ大(滋賀県長浜市)から講師を招いての科学実習講座が30日、岐阜市大縄場の岐阜高校であり、理系の3年生32人が遺伝子科学の基礎を学んだ。
 理科教育の充実を目的に昨年から始まった連携事業で、講座は2回目。大学が用意した実験器具や試薬を使い、遺伝子の診断や組み換え技術の基礎とされるDNAの増幅や切断の実験をした。
 同大高大連携推進室の黒田智さんが、温度変化と酵素を利用してDNA量を増幅する技術を紹介。生徒たちは、専用のピペットなど慣れない器具や緻密な作業に戸惑いながらも、真剣な表情で取り組んでいた。

2012年6月28日 日本農業新聞
「農」通して成長したい 長浜バイオ大の女性サークル
 関西文理総合学園長浜バイオ大学の女子学生4人が、農業体験を通じて地域との交流を深めている。このほど滋賀県長浜市の中島広哉さん(40)の水田で田植えを手伝い、さらに、淡水魚のホンモロコを放流した。
 4人は通学時の水田風景に魅了され、農業を通じて地域との交流を深めようと、サークル「コメマドンナ」を5月に設立した。
 ホンモロコは、県の水産試験場の生後2,3日経過した体長約1センチの稚魚約16万匹を放流した。同サークル部長の大塚弘子さん(20)は「あっという間の放流だったが、田んぼに放したら勢いよく泳いでいった。いろんな体験を通して私たちも成長したい」と話す。放流した魚は中干し作業まで飼育された後、琵琶湖に放流される。

2012年6月25日 中日新聞
音楽祭に会場が沸く 長浜「まちなか本陣・夏の陣」

 長浜市元浜町の曳山博物館前の通りで24日、「長浜まちなか本陣・夏の陣」と銘打った多彩な催しがあり、来場者を楽しませた。
 特設ステージでは、長浜青年会議所による「やんすこんす音楽祭」が開かれた。長浜市を中心に10組のアマチュアバンドが出演。軽快な曲と絶妙なトークで会場を沸かせた。
 通りでは、長浜バイオ大学CELL部とマジックサークルの学生たちのテントに、若者や子どもたちが集まり、実験で科学の面白さを学んだり、見事な手品に歓声を上げたりしていた。
 会場には、飲食屋台も多数出て、来場者をもてなした。催しは、市内で開催中の歴史イベント「長浜・戦国大河ふるさと博」の盛り上げを兼ねて、同博実行委に参加する団体が協力して取り組んだ。
 同音楽祭は5月から湖北地域の観光スポットで順次開催。次回は30日午前11時半から、長浜市の余呉湖アジサイ園で開く。雨天時は国民宿舎余呉湖荘別館。

2012年6月14日(木) 京都新聞
タンパク質が母遺伝子保護 受精卵の「初期化」時 長浜バイオ大など解明 iPS培養応用期待

 
長浜バイオ大バイオサイエンス学部の中村肇伸講師と大阪大大学院生命機能研究科の仲野徹教授らの共同研究チームが、全ての細胞に分化できる受精卵における
リプログラミング(初期化)で、卵子に含まれるタンパク質「PGC7」が母親由来の遺伝子を変化させないようにする役割を果たしていることを突き止めた。
初期化の制御メカニズムの一部を解明する成果といい、iPS(人工多能性幹)細胞の培養効率の改善などにつながると期待できる。英科学誌「ネイチャー」電
子版でこのほど発表した。
 卵子と精子が結合してできる受精卵は、体を作る全ての細胞に分化できる初期化状態になる。受精卵では父親由来の遺伝子と母親由来の遺伝子の2個が別々に存在している。ヒストンというタンパク質に遺伝子が巻き付いた状態で、複合隊のクロマチンと呼ばれる。
 初期化では、父親由来のクロマチンの遺伝子だけが酵素によって状態が変化し、母親由来の遺伝子は変化しないことが知られている。母親由来の遺伝子が何らかの理由で変化した場合、受精卵が死んでしまう。効率よく受精卵を作るため、変化しないメカニズムの解明が課題だった。
 共同研究チームは、受精直後、初期化が起きた時、卵子のタンパク質PGC7と、母親由来のクロマチンが、分子がくっつく化学修飾に伴って結合し、遺伝子に変化をもたらす酵素をクロマチンに接合させなくしていることを、分子レベルで解明した。
 中村講師は「細胞を初期化する方法の開発や、不妊治療など生殖補助医療の応用につながる可能性がある」と話している。

平成24年(2012年)6月6日 近江毎夕新聞
遺伝子発現の仕組み一部解明 長浜バイオ大の中村講師らが成果

 生体
内で、次世代を担う生殖細胞が形成される際、様々な遺伝情報が消去・再構築される過程「リプログラミング」の仕組みを分子レベルで研究する、長浜バイオ大
学の中村肇伸(としのぶ)・アニマルバイオサイエンス学科講師(37)と、大阪大学大学院の仲野徹・生命機能研究科教授(55)の共同研究チームがこのほ
ど、卵細胞にある遺伝子「PGC7」が受精卵のリプログラミングに果たす機能の一部を解明し、このほど英国の科学誌「ネーチャー」電子版に発表した。
 
これまでの研究でPGC7」が、リプログラミングに大きく関わっていることがわかっていたが、研究チームは、同遺伝子がDNA(デオキシリボ核酸)と、
DNAを核内に収納する役割のたんぱく質「ヒストン」の双方に作用し、遺伝子の機能を変化させる「ゲノム(生物の全遺伝情報)修飾」を取り持っているこ
と、さらに同遺伝子が特定のヒストンの修飾に関与して、一部のたんぱく質機能を抑え、父親由来の遺伝情報と母親由来の遺伝情報をそれぞれ異なる形に修飾し
ていることを突き止めた。PGC7の遺伝子を欠損させたマウスの受精卵を追跡する実験でわかった。
 中村講師は、基礎研究の段階としながらも研究
成果が、哺乳生物が最初に発生した際の分子レベルのメカニズム、遺伝子がリプログラミングされる過程解明に大きく貢献するとしている。またリプログラミン
グが失敗すると受精卵の細胞分裂が正常に進まないとされることから、不妊の原因解明にもつながるとしている。

分子レベルで解明
 
細胞学、分子生物学などの分野では、ヒトゲノムの解読完了に伴い近年、DNAへの後天的な作用で形質変化(遺伝子変異)が生まれるメカニズムを研究する学
問分野「エピジェネティクス」が脚光を集めている。これまではDNAの塩基配列の変化が遺伝子変異の仕組みとされていたが、真核細胞内にあるDNAとたん
ぱく質の複合体「クロマチン」が後天的な遺伝子の発現、修復など、DNAが関わるあらゆる機能の制御に大きな役割を果たしていると考えられる。
 実際はヒストンとよばれるたんぱく質の周りにDNAの一部が酵素の触媒作用でメチル基と置換、統合する「メチル化」と、ヒストンの様々な「修飾」が必要という。
 中村講師らの研究は父親由来のDNAが、特定酵素の触媒作用でヒドロキシメチルに変換されるのに対し、母親由来のメチル化が変換を受けないメカニズムを解き明かしたもの。

2012年6月4日(月) 中日新聞
受精卵分化のリプログラミング 卵子の遺伝子 重要役割 長浜バイオ大など

 受精卵が体内の各器官の細胞に分化する際、精子と卵子の遺伝子の役割が消される現象「リプログラミング」について、卵子に含まれる遺伝子「PGC7」が重要な役割を果たしていることが、長浜バイオ大の中村肇伸講師(37)=生殖細胞学=と大阪大大学院仲野徹教授(55)=幹細胞学=の研究で分かった。英科学誌「ネイチャー」電子版に3日、発表した。
 リプログラミングがうまく機能しないと、受精後の細胞分化が正常に起こらないとされ、今回の研究が不妊の原因解明につながる可能性がある。
 同じ遺伝情報を持つ細胞がさまざまな細胞に分化する際、遺伝子自体は変化せず、別の分子が付着することで構造や活性が変化する。その際、精子と卵子がそれぞれの遺伝子の役割を消すリプログラミングが必要なことが分かっているが、分子レベルのメカニズムは解明されてなかった。
 共同チームは、卵子に含まれる遺伝子「PGC7」を欠損させたマウスで実験。その結果、卵子の遺伝子に別の分子が付着し、卵子のDNA構造が変わり、リプログラミングがうまくいかず受精卵が死滅した。
 受精直後の遺伝子とタンパク質の結合状態を調べるとPGC7がタンパク質「ヒストン」と結合することで、リプログラミングに必要のない分子が遺伝子に付着するのを防ぐ役割をしていることを突き止めた。
 再生医療の実現に期待がかかる人工多機能性幹細胞(iPS細胞)を作成する際も、細胞を「初期化」し、リプログラミングの過程が必要なため、効率の良い培養に応用できる可能性があるという。
 中村講師は、「受精卵から細胞が分化する神秘の解明に貢献できた」と話している。

不妊解明に役立つ
人工的な生殖細胞作製に詳しい京都大の斉藤通紀教授(発生生物学)の話
 リプログラミングされすぎても細胞の分化はうまくいかない。PGC7がリプログラミングに絶妙なバランス調整機能を果たしていることが分かった。PGC7がないことが不妊の原因の一つとも考えられ、不妊の原因解明に役立つ。

2012年6月4日(月) 東京新聞
卵子の遺伝子 重要な役目 受精卵の正常細胞分化
「リプログラミング」長浜バイオ大など解明 不妊原因解明に期待

 受精卵が体内の各器官の細胞に分化する際、精子と卵子の遺伝子の役割が消される現象「リプログラミング」について、卵子に含まれる遺伝子「PGC7」が重要な役割を果たしていることが、長浜バイオ大の中村肇伸講師(37)=生殖細胞学=と大阪大大学院仲野徹教授(55)=幹細胞学=の研究で分かった。英科学誌「ネイチャー」電子版に発表した。

  リプログラミングがうまく機能しないと、受精後の細胞分化が正常に起こらないとされ、今回の研究が不妊の原因解明につながる可能性がある。
 同
じ遺伝情報を持つ細胞がさまざまな細胞に分化する際、遺伝子自体は変化せず、別の分子が付着することで構造や活性が変化する。その際、精子と卵子がそれぞ
れの遺伝子の役割を消すリプログラミングが必要なことが分かっているが、分子レベルのメカニズムは解明されてなかった。
 共同チームは、卵子に含まれる遺伝子「PGC7」を欠損させたマウスで実験。その結果、卵子の遺伝子に別の分子が付着し、卵子のDNA構造が変わり、リプログラミングがうまくいかず受精卵が死滅した。
 受精直後の遺伝子とタンパク質の結合状態を調べるとPGC7がタンパク質「ヒストン」と結合することで、リプログラミングに必要のない分子が遺伝子に付着するのを防ぐ役割をしていることを突き止めた。
 再生医療の実現に期待がかかる人工多機能性幹細胞(iPS細胞)を作成する際も、細胞を「初期化」し、リプログラミングの過程が必要なため、効率の良い培養に応用できる可能性があるという。
 中村講師は、「受精卵から細胞が分化する神秘の解明に貢献できた」と話している。

絶妙なバランス調整
人工的な生殖細胞作製に詳しい京都大の斉藤通紀教授(発生生物学)の話
 リプログラミングされすぎても細胞の分化はうまくいかない。PGC7がリプログラミングに絶妙なバランス調整機能を果たしていることが分かった。PGC7がないことが不妊の原因の一つとも考えられ、不妊の原因解明に役立つ。

2012年5月18日 朝日新聞
放射線量下げる水溶液開発

 東近江市の金属加工液メーカー「スリー・イー」は17日、県庁で会見を開き、土壌に含まれる放射線セシウムの線量を下げる効果のある水溶液を開発したと発表した。噴霧して紫外線に当てると、線量が約7割下がった実験結果もあり、福谷泰雄社長(71)は福島第一原発事故で汚染された土地の除染に役立てたいとしている。
 「のぞみ」と命名された水溶液は、金属を切削する際に滑りをよくする金属加工液に、水草や稲わらから取れるセルロース分解液などを混ぜたもの。福谷さんは同社の金属加工液が放射線の一種のX線を遮蔽する効果があることを確認。チェルノブイリ原発事故の被災地で子どもにリンゴを食べさせてセシウムを体外へ排出させたという事例をヒントに、植物由来の成分を加えることにした。
 効果を検証するため、大阪大大学院の中島裕夫助教に実験を依頼。福島県飯舘村で採取した土壌に1日1回、水溶液を噴霧して紫外線を当てた。すると、放射性セシウムが発する放射線(ベータ線)の量が3日後に約3割低下した。別の実験では、44日間で3回、水溶液をかけた土壌のガンマ線が約7割低下したという。福谷さんは、「被災地で一日も早く使ってほしい」と期待を寄せる。
ただ、線量が低下する仕組みは不明のままで、共同開発者の大島淳・長浜バイオ大教授(55)は「仕組みが分かることで、もっと効率の良いものができる可能性がある。多くの研究者に使ってもらいたい、仕組みを解明してほしい」と話した。

 

2010年3月31日 毎日新聞

長浜バイオ大学 齊藤教授が発見
行政の調査・保護訴え

 長浜市南部地区の丘陸地に、滋賀県版レッドリストで「希少種」に指定されている「カスミサンショウウオ」の繁殖地があることが、長浜バイオ大の齊藤修教授(分子生物学)の調査で分かった。齊藤教授は行政による保護を訴えている。
 サンショウウオ研究は同教授にとっては専門外だが、以前、東京に住んでいたころから趣味で調査していた。04年に同大に着任して以来、同市南部の神田山公園やサイクリングターミナル周辺、八条山などで調査し、翌年5月、南部地区の里山の水路にサンショウウオの卵が産み付けられているのを発見。中学生の息子たちの自由研究のテーマとして取り上げ、一緒に生態研究をしてきた。
 サンショウウオはオオサンショウウオ(50〜150㌢)が有名だが、他の種は体長20㌢前後。2〜3月、水路などに10㌢程度のバナナ状の卵を産み付ける。寿命は15〜20年程度といわれているが、生態や環境との関連などは不明。産卵期以外は山などに隠れていて、普段はめったに人目につかないという。
 今年の調査では、現場の水路付近で100個前後の卵を確認。齊藤教授によると、生活排水が流れ込まず、少量のわき水があって水温25度を超えないことが生息条件という。
 繁殖地は開発が進む地域。齊藤教授は「他の生息地でも、知らない間に環境が破壊され絶滅していったところが多い」と話し、行政による実態調査のほか、生活排水や農薬の調査、水路の水源確保、さらに幼生の保護、人工飼育などを訴えている。 

 

2010年03月24日 毎夕新聞

285人が卒業 長浜バイオ大学

 学校法人関西文理総合学園が経営する長浜バイオ大学(下西康嗣校長)で二十日、第四期の卒業式が行われバイオサイエンス学部の二百四十人が巣立った。また同学部研究科博士課程前期課程を修了した修士四十四人、同後期課程を修了した博士一人が卒業した。修士は二期目、博士は今年度初。
 式では下西学長の式辞、吉田保理事長、森建司・バイオビジネス創出研究会代表理事らの祝辞、在校生送辞のあと、学部卒業生を代表して川端優実さん、博士課程前期課程修了生を代表して岩間美海子さんが答辞で、社会貢献への決意を披露した。恒例の「角帽投げ」のセレモニーもあった。
 なお、同大学によると今年度卒業生の就職率は学部で約八七%、大学院修了生で約九三%という。 

 2010年2月23日  読売新聞

南アフリカ原産野菜生産へ、滋賀・長浜の会社...バイオ大と協力
栄養価高く健康に良い

 
塩味のする野菜「アイスプラント」(滋賀県長浜市の長浜バイオインキュベーションセンターで) 植物工場用の照明装置を手がける「日本アドバンストアグリ」(滋賀県長浜市)は、3月中に長浜市内に工場を稼働させ、南アフリカ原産の野菜「アイスプラント」の生産に乗り出す。長浜バイオ大などと協力し、5月頃から市内の飲食店やスーパーなどで販売する予定。関係者は「長浜の新たな特産品に育てたい」と意気込んでいる。

 同社は、バイオ産業育成のため長浜市が2006年に建設した「長浜バイオインキュベーションセンター」に入居。照明装置の開発や工場野菜の栄養価を高める研究などを進めてきた。

 アイスプラントは、サボテンの一種の多肉植物。葉と茎の表面に氷の粒のような突起があり、根から吸い上げた塩分や栄養分を蓄えている。ほのかな塩味と、プチプチした独特の食感が特徴。センターによると、アイスプラントの栽培には土壌の塩分濃度の調整が必要だが、工場栽培だと手軽に調整できるうえ、安定供給が可能という。

 商品名はバイオ大の学生に公募し、「ツブリナ」に決めた。市内のレストランやホテルなどと料理のレシピ開発も進めており、当面は一日100株程度を生産。需要に応じて量を増やしていく計画。

 同社の辻昭久社長は「栄養価も高く、健康に良い野菜。ぜひ一度味わってほしい」と話している。

 

2010年2月12日 毎夕新聞

高栄養価の発芽大豆 シードライフテックが発売

 長浜バイオインキュベーションセンターに本社を置く、ベンチャー企業、(株)シードライフテック(落合孝次代表取締役)がこのほど、同社の発芽技術を応用した湖北産ダイズ食品「発芽大豆ミックス」を開発、製造した。十一日から十四日まで長浜市八幡中山町のフタバヤで先行販売し、販路拡大を目指している。
 シードライフテック社は、種子由来の成分研究や、種子発芽時の環境制御で高栄養の豆などを開発する会社。同社によると、ダイズの発芽時に、水分、温度、酸素濃度をコントロールすることで、うま味成分のグルタミン酸、抗ストレス作用のあるアミノ酸の一つGABA(ギャバ)などの栄養価が三〜五倍に増えるという。遺伝子操作などは行わず、薬品も使わないが、食味、歯ごたえは水煮ダイズよりはるかに良いのが特色。開発商品にはわずかに食塩を添加しているのみ。そのまま食すこと以外に、和風、洋風問わずほとんどの料理に利用可能という。
 現在は、バイオインキュベーションセンター内の設備のみで製造するため、日産五千〜一万袋が限界だが、将来は湖北地域の農家と契約し、増産を目指したいとしている。
 先行販売されたのは湖北産ダイズ、青ダイズ百十㌘入り真空パック。二百五十円。

 

「ツブリナ」販売へ 日本アドバンスドアグリ

 長浜インキュベーションセンターに本社を置くベンチャー企業、日本アドバンスドアグリ(株)=辻昭久代表取締役=はこのほど、南アフリカ原産の食用サボテン「アイスプラント」の植物工場栽培に成功した。商品名を「ツブリナ」(商標登録中)と名付け、今年三月から生産を本格化し、五月ごろに市場に投入する予定。
 商品名は今年一月に長浜バイオ大学内で学生を対象に募集。百五十人が寄せた五百八十五件の中から、二回生、網野翔さんの作品が選ばれた。粒々の食感と、葉(リーフ)、リピーターの意を含ませた造語という。
 アイスプラントは葉、茎の表面に透明の細胞がつくのが特色。ベータカロチンや、イノシトールなどの健康栄養素が多く含まれ、新たな健康野菜として注目されている。アドバンスドアグリでは独自の人工照明「HEFL照明」技術での栽培技術を開発していた。

2009年12月26日 朝日新聞

照明駆使、植物工場目指す

 「徹夜で実験やってて、朝7時ごろ家に帰りました。」
 全国初のバイオ系単科大学として2003年に開学した長浜バイオ大学(滋賀県長浜市)の蔡晃植教授の研究室では、そんな会話が常に飛び交う。
 「1日12時間は実験する」「向上心をより高く持て」。研究室の壁のあちこちに、学生が書いたスローガンが張ってある。所属する学生は22人。蔡教授は「実習の多さは日本一だという自負がある。学生のモチベーションは非常に高く、自ら研究に没頭している。体育会系クラブのようです」と話す。
 研究テーマは、食物の環境認識の仕組みを遺伝子・たんぱく質レベルで明らかにすること。植物が病原細菌の侵入を受けた際、侵された細胞を自ら殺す特性のメカニズムを解明した。さらに、注目を浴びているのが「植物工場」の研究だ。屋内施設で太陽光の代わりに照明をあて、空調などで植物の育成に必要な環境を人工的に制御する。季節や天候に左右されず農産物を計画的、安定的に生産・供給できる栽培技術を究めようとしている。しかし、照明や空調の費用がかさむのが悩みだった。
 そこで蔡教授は、大型液晶テレビに使えわれるバックライトを応用した照明技術「ハイブリット電極蛍光管(HEFL)を地元業者と開発。発熱が少なく、植物に近づけて光をあてられるため電気代が安く済むという。野菜の種類ごとに光の色を変えることによって、生育に変化がでることも発見した。この研究を生かせば、ビタミンやミネラルを多く含んだ「高機能野菜」の栽培が可能になるといい、近く実用化される予定だ。
 「こうした応用研究は、地道な基礎研究の成果なしにはありえない」という蔡教授のもと、学生たちは基礎研究に力を注ぐ。
 4年生の迹見勇樹さん(23)は植物病原細菌の毒素の働きについて研究している。「高校時代から生物の勉強が大好きで、大学ではバイオ技術の研究がしたかった。長浜バイオ大は1年生から実験が多い。没頭するとすぐに深夜になっていまうが、やりがいがある」と話す。将来の夢は生物学研究者になることだ。

 

2009年11月9日 毎夕新聞
バイオ大講師 恐怖小説家の顔も 池内さん 日本ホラー小説大賞受賞

 今年五月、新人ホラー小説家の登竜門「日本ホラー小説大賞」(角川書店など主催)の短編賞を受賞した作家、朱雀門出(すざくもん・いずる)さんが、生物の内分泌かく乱の原因研究などに取り組む長浜バイオ大学の講師、池内俊貴(としたか)さん(41)=大阪府出身、長浜市田村町在住=とわかり、話題となっている。このほど池内さんが大学に受賞を報告してわかった。
 池内さんは、北海道大学大学院博士課程修了。水産学博士で、専門研究のかたわら、秘密裡に怪談小説の専門誌「幽」などに作品を発表し続け、第十六回日本ホラー小説大賞短編部門に作品「今昔奇怪録」(出品時タイトル「寅淡語怪録」)を出品。応募四百四十八編のトップに輝き、賞金二百万円を受けた。すでに作品は角川ホラー文庫から発売され、ち密な構成力、人間心理の機微を描く卓抜の筆力で多くのファンを獲得しているという。
 「今昔怪奇録」は、町会館の片隅に置かれた事件記録を読み始めた夫婦の周辺で、不可解な事件が連続する―といった標題作をはじめ、五編を収録した。他の作品は、豪商の娘が次々と天然痘で亡くなったうえ、墓が何者かに荒らされ、死肉をむさぼる妖怪の仕業とのうわさが立つ「疱瘡婆」、人間をモルモットにした研究実験を、被験者、観察者など立場の異なる四人のモノローグで描いた「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」など。
 いずれの短編も、怪談の定石に従いつつ、独創の語り口で、実話風、歴史秘話風、実験小説風とプロットを変化させ、他に類を見ない完成度という。直接的な暴力、グロテスク、残酷描写は避け、人物描写などで底知れない恐怖を描き出す手法も人気の秘密らしい。
 長浜バイオ大学での池内さんの専門分野は「環境分子応答学」「内分泌学」など。環境ホルモンと呼ばれる内分泌物かく乱要因を、魚の生殖機能から研究する学者。
 大学に勤務しながら小説を書いて人気作家となった人は、ミステリー作家の森博嗣さん(52)らがいる。本は五百四十円。

 

2009年11月7日  滋賀夕刊

 「朱雀門出」のペンネームで活動する長浜バイオ大学講師の池内俊貴さん(41)が執筆した小説「今昔奇怪録」が第16回日本ホラー小説大賞の短編賞を受賞。文庫本として角川ホラー文庫から出版された。
 大賞には長編の部に235点、短編の部に448点が寄せられ、池内さんの作品を含む3点が入賞した。
 「今昔奇怪録」には、主人公の男性が町会館を清掃中に本棚で見つけた2冊の本を持ち帰ったところ、身の回りで奇怪な出来事が次々と起こる物語。「高田町」「十里町」「列見町」など、長浜の町名も登場する。
 大阪府高槻市出身の池内さんは、中学、高校時代から怪談やサスペンス、SF小説に親しみ、10年程前、雑誌に応募した怪談小説が入選したのを機に、本格的に執筆している。
 2003年のバイオ大学の開学に伴って愛知県内の研究施設から長浜に移り住み、環境生命科学コースの講師として活動。現在は、遺伝子組換え細胞を活用した水質汚染測定の研究に取り組み、その息抜きとして小説を書いている。
 池内さんは「今後も怪談をメインに書き続けたい」と話している。
 なお、文庫本には受賞作品をはじめ、大学研究室で起こる怪談など5編を収録。先月25日から全国の書店で発売している。540円。

京滋5大学を支援 文科省 教育プログラムで

2009年9月11日 京都新聞

 文部科学省は10日、大学、短期大、高等専門学校による学士力の確保や教育力向上の取り組みを支
援する本年度の「大学教育推進プログラム」に、95校96件を選んだと発表した。京滋からは京都工芸
繊維、京都府立、長浜バイオ、京都橘、同志社の5大学5件の取り組みが選ばれた。
 昨年度の「質の高い大学教育推進プログラム(教育GP)」を引き継いで実施する。
 府立大の「実践と交流を通じて高める食の専門家力」は、学生が少人数のグループで地域に入り、
学校や幼稚園、住民と連携し交流しながら、「生活習慣予防のための健康食」などの現代的な課題を
解決する食のアドバイスを行い、課題探求能力やコミュニケーション能力を養う。
 京都工繊大の「サスティナブルデザイン力育成プログラム」は、1200年継承された持続可能な生活
様式や都市文化における「京都の知恵」から学び、環境負荷の少ないものづくりや新しい生活価値を
提案し、地域の創造に生かす技術者、デザイナーを育成する。
 

環境テーマ湖国鼎談

2009年9月8日 朝日新聞

 琵琶湖を身近に感じながら環境を考える鼎談(ていだん)「環境世紀を拓(ひら)く」が7日、県
公館(大津市京町4丁目)で開かれた。嘉田由紀子知事と、歌手で国連環境計画(UNEP)親善大
使も務める加藤登紀子さん、長浜バイオ大バイオサイエンス学部初代学部長の郷通子さんが出席。そ
れぞれの経験談を交えながら、高度成長期の価値観を覆す若い世代への期待を語った。
 鼎談に先立ち、県が加藤さんを「滋賀ふるさと大使」に任命する式が開かれた。県出身ではないが
「琵琶湖周航の歌」をヒットさせ、00年からUNEP親善大使を務めるなど環境問題に造詣(ぞう
けい)が深いことから依頼したという。
 その後の話し合いでは嘉田知事が暖冬だった2年前、湖底の酸素量が減り固有種であるイサザが死
んでしまったことを紹介。「世界的な温暖化の問題が琵琶湖とつながった」と言い、「琵琶湖は地球
環境の小さな窓。太平洋、大西洋に危機が現れる予兆だと感じた。温暖化対策は小さな窓から始めな
ければいけない」と力を込めた。
 加藤さんは、近代化でモンゴルの永久凍土が溶けていることに危機感を募らせていると話した。ま
た郷さんは、スイスですでに30年前からビニール袋を「石油の無駄遣い」と指摘していた市民の感
覚の鋭さへの驚きを語った。
 最後に、地産地消や職住接近といった高度成長期とは違う価値観を持つ若い世代に触れ、嘉田知事
は「選択肢を多様にし、若い人の邪魔をしない仕組みづくりが私たちの世代の仕事」と語った。 


目輝かせGFP実験

2009年9月1日 中日新聞

 高校生にバイオテクノロジーへの関心を深めてもらおうと長浜市の長浜バイオ大学で「サマーバイ
オ塾」が開かれ、県内外から保護者を含め21人が参加した。
 昨年、ノーベル化学賞を受賞した下村脩さん(ボストン大名誉教授)がオワンクラゲの体内から発
見した緑色蛍光タンパク質(GFP)を使って実験。生徒たちは助教や学生らの指導で、培養地の大
腸菌の中からGFPを取り出し、暗やみで目立つ鮮やかな緑色の光に目を輝かせた。
 大阪府茨木市から参加した金光大阪高校3年の今若大さんは「夏休みに大学の講座を体験し、内容
に納得した上で受験できるのがいい」と話していた。


長浜バイオ大学夏休み科学実験教室 水上を走る不思議体験

2009年8月26日 「あいあい滋賀」

 長浜市田村町の長浜バイオ大学で、科学実験教室「理科のふしぎを感じよう1」が開かれた。小学
生約50人が、たたいても割れないシャボン玉や、水上を走ることが出来る「ダイラタンシー」=写真
=を試して「科学の不思議」を体験した。
 JSTイノベーションサテライト滋賀(科学技術振興機構)など主催で、同大CELL部の学生が
手伝った。ダイラタンシーは片栗粉と水を一定の割合でまぜたのもので、上で足を動かすと固体にな
って沈まず、じっとしていると液体になって沈んでしまう。子どもたちはタライの中のダイラタンシ
ーを「壁みたい。」と楽しんだ。西沢早苗さん(12)は「理科は、楽しくて身近なんだと思いました
。」
 酵母の働きや、ほっぺたから採取した自分の細胞を顕微鏡で観察する実験もした。平井茉奈末さん
は「自分の細胞が紫のつぶつぶだったなんてびっくり」と話した。

 

生ゴミ堆肥化、野菜栽培 長浜バイオ大学Nプロジェクト(長浜市)

2009年7月13日 中日新聞

「微生物の働きを体感し、大学から生ごみをなくそう」。こんな思いで日々、食堂から出る残飯を堆肥化し、大学近くの畑で野菜栽培に生かすユニークな活動に取り組んでいるのが、長浜バイオ大学(長浜市)の「Nプロジェクト」だ。
微生物を研究する環境生命科学コース向由起夫准教授が2005年、授業に出席した3回生に呼び掛け、有志で始めた。毎年3回生が対象で、5代目のことしは約30人が集った。活動の具体的な内容は学生が自ら決める。
食堂から出る生ごみは1日10リットル弱。大半はコンポスト処理するが、微生物が自然の速さで分解堆肥化するのを観察するため、一部は漬物バケツで処理するのが伝統だ。大学から5分の畑では、この堆肥でトマトやナス、枝豆を栽培。草取りから収穫まで学生が行う。「収穫した野菜を食べる時が幸せ」。メンバーの思いは共通だ。

 

(仮)長浜バイオクラスターネットワークの設立について

2009年5月14日 京都新聞

バイオ生かし、ビワマス特産化 長浜の産官学 14日に組織設立

滋賀県長浜市や長浜バイオ大、商工団体は、バイオ技術を生かした事業で地域の産業振興を図る組織「長浜バイオクラスターネットワーク」を、14日に設立する。初年度は、琵琶湖固有種の魚・ビワマスの特産品化や、農産物の加工品開発などに取り組む。 同市が、バイオ関連産業の集積を目指している産業団地「長浜サイエンスパーク」を拠点に、産学官連携による事業展開を本格化させる。第一弾として、地場産の農林水産資源を活用、長浜ブランドの新食材として消費拡大を目指す。
ビワマスは、県水産試験場が受精卵の染色体を操作して、マグロのトロのように脂ののった成魚に育てる養殖技術を開発した。天然ものの供給量は夏場に限定されるが、養殖ものを使うことによって通年の安定供給が見込めるという。
計画では、市内の飲食店や加工業者らとともに、メニュー開発や地域ブランド化、販路開拓を模索。「来年度には商品化し、知名度を高めたい」(市商工振興課)としている。 農産品では、昨秋からサイエンスパーク内の工場で操業を始めた食品メーカーと連携する。酵素分解技術を生かしてブドウなどの果実ペーストを原料にし、アイスクリームやドレッシングなどの加工品の開発を計画している。

2009年5月13日 近江毎夕新聞

バイオでネットワーク 産官学が新製品開発などで協力

湖国の農林水産資源とバイオ技術を結び、新たな特産品開発などを目指そうと、このほど長浜市と長浜バイオ大学、地元商工団体などが「(仮称)長浜バイオクラスターネットワーク」を結成する運びとなった。十四日午後二時から市内田村町の長浜バイオ大学で設立総会がある。
産官学連携で▽バイオ関連の技術情報集約▽企業間、企業と研究機関とのマッチング▽新規プロジェクト企画、推進▽開発品の販路開拓▽バイオビジネスの情報ネットワーク構築―などに取り組むもので、長浜バイオインキュベーションセンターに事務局を置き、市商工振興課が事務を担う。構成団体は長浜市と長浜バイオ大学、会員制の一般社団法人・バイオビジネス創出研究会、長浜商議所、浅井、びわの両商工会。
今年度は、琵琶湖の固有魚種ビワマスの特産品化、酵素分解技術を応用した果実の加工食品開発などを「長浜アグリバイオプロジェクト」として取り組む予定。 ビワマスは美味だが、安定的な漁獲が困難で、養殖技術も完全には確立されていない。長浜市などでは、県水産試験場の「三倍体養殖技術」と、同試験場、県立大などが共同開発した養殖用飼料を使い、安定的で高品質のビワマス養殖と販路開拓を目指したい考え。
また今年十月に長浜ドーム=田村町=で開かれる「びわ湖環境ビジネスメッセ」でのブース開設、京都のバイオクラスターとの連携などを模索する。

2009年5月12日 滋賀夕刊

湖魚・野菜、バイオで特産品化 湖北地域で5月から新プロジェクト

バイオ技術で「琵琶湖のトロ」と呼ばれるビワマスを養殖し、新たな湖北地域の特産品として売り出すプロジェクトが間もなくスタートする。
長浜市、バイオ大、長浜商工会議所、浅井・びわ両商工会が14日に「長浜バイオクラスターネットワーク」を設立。プロジェクトの第1弾として取り組む。
夏場に限定されているビワマスを、県水産試験場が養殖し、バイオ技術で脂ののった身を実現。天然ビワマスを補完する形で、通年で市場に提供する。
同ネットワークは旅館や飲食店、加工業者に呼びかけて商品開発に取り組み、養殖から市場までの流通まで総合的にプロデュースする。
県水産試験場では「ビワマスは脂が身に溶け込んで、トロのように美味しい。市場価値は十分にあるが、知名度と安定供給が課題で、プロジェクトに期待している」とし、市商工振興課も「来年度には商品化のメドをつけたい」と語っている。
このほか、長浜サイエンスパークに進出している食品加工メーカー「星野科学」の技術を生かして、湖北産の野菜や果物をペースト状に加工し、ソースやドレッシング、アイスクリームなどの商品化を目指している。
バイオ技術を生かした特産品作りに、湖北地域の農家、漁業者、飲食店の注目が集まりそうだ。

長浜サイエンスパーク 全区画進出決まる

2009年2月18日 中日新聞

化粧品のピアス 11年操業開始へ
バイオ産業の拠点にしようと、長浜市が企業誘致を進めてきた同市田村町の産業団地「長浜サイエンスパーク」の最終区画(約1万1500平方メートル)に、化粧品など製造販売のピアス(大阪市)グループの進出が決まった。
延べ床面積約3000平方メートルの化粧品製造工場を建設する予定で、従業員数は60人を予定。2011年1月の操業開始を計画する。
総面積8万5900平方メートルの長浜サイエンスパークは、市土地開発公社が事業主体となり整備。分譲が始まった2002年4月から企業誘致を進め、ビル管理大手イオンディライト(大阪市)など5社が決まっていた。6社のうち、ピアスグループを含む3社が土地を購入、4社が賃貸という。 (勝間田秀樹)

クズからバイオ燃料

2008年11月5日より

【エタノール生成 大島・バイオ大教授ら成功/穀物に代わる原料期待】 石油の代替エネルギーとして注目されるバイオエタノールをクズの葉や茎などから取り出すことに、長浜バイオ大の大島淳教授(遺伝子工学)らのグループが成功した。雑草として、刈り取られることが多いクズから、高濃度のアルコールが生成できるため、価格が急騰するトウモロコシなどの穀物に代わる原料になればと期待される。(高久潤) バイオエタノールは植物をアルコール発酵させてつくる。光合成で酸素をつくる植物を原料とするため、京都議定書では、燃焼させても二酸化炭素の排出量は「ゼロ」とみなされる。米国やブラジルなどでは、原料としてトウモロコシやコムギの栽培が盛んだが、近年の穀物価格の急騰の主要因とも指摘される。
大島教授らは、クズに含まれたでんぷんをエタノールに変えるため、すりつぶしたクズの茎や葉、根にグルコース(ブドウ糖)や酵母、こうじ菌を添加。これを72時間、約30度で温めて発酵させたところ、濃度11.38%のエタノールができたという。大島教授は「トウモロコシでも濃度は8%ぐらい。クズで高濃度のものが取り出せるのは驚きだ」と話す。現在、改良を進め、微量のグルコースを加えた葉や茎から5%ほどのエタノールを取り出すめども立っているという。
クズに着目したきっかけは、自然素材から金属加工液を製造する会社「タイヨウテック」(東近江市建部下野町)を経営する、共同開発者の福谷泰雄さん(68)の「失敗」だった。数年前に自社の製品を使った工場で、作業員が気分が悪くなって病院に運ばれる事故が起きたため、福谷さんらは加工液を分析。アルコールが検出されたという。最近、バイオエタノールの話題を耳にする機会が多く、「もしかしたら」と思い、今年5月に大島教授に共同研究を持ちかけたという。
クズはくず粉として使用されるほかは、雑草として刈り取られることが多い。大島教授は「クズは多年草のため、刈り取られても、すぐ生える。貯蔵施設をつくり、アルコールを安定的に生成できるようになれば、実用化は可能」とみる。大島教授らは、この生成方法を新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する今年度の「エコイノベーション推進事業」に申請。採用されれば、実用化に向けた調査に乗り出すという。

新学科届出が受理されました

2008年8月30日 京都新聞

学部新設など 36大学を受理

文部科学省は二十九日、公私立大が既存の組織を改編し、二〇〇九年度に新設する学部や学科、大学院研究科などのうち、六月分として受理した延べ三十六校の届け出を発表した。 内訳は私立大の学部設置が四校、学科設置が二十二校、私立短大の学科設置が一校、私立大大学院の研究科設置が四校、専攻設置が三校、公立大大学院の専攻設置が二校。

新設届け出一覧

二〇〇九年度開設予定の大学の学部等設置届け出一覧。(数字は定員、Mは修士課程または博士課程前期、Dは博士課程または博士課程後期、京滋関係分)
【私立大の学部新設】
平安女学院大(子ども学部子ども学科90、3年時編入10=大阪府高槻市)
【私立短大の学科新設】
滋賀文化短大(ライフデザイン学科100=東近江市)2009年4月からびわこ学院大短期大学部に名称変更
【私立大の学科新設】
長浜バイオ大(バイオサインエス学部アニマルバイオサイエンス学科50、同コンピュータバイオサイエンス学科40=長浜市)▽京都産業大(法学部法政策学科170=京都市)
【私立大大学院の研究科新設】
龍谷大大学院(実践真宗学研究科実践真宗学専攻M30=京都市)

「戦略的大学連携支援事業」に選定されました。

文部科学省の平成20年度「戦略的大学連携支援事業」に、滋賀医科大学と本学の「びわこバイオ医療大学間連携戦略」の取組が十九日、選定されました。
「戦略的大学連携支援事業」は、国公私立大学間の積極的な連携を推進し、各大学における教育研究資源を有効活用することにより、当該地域の知の拠点として、教育研究水準のさらなる高度化、個性・特色の明確化、大学運営基盤の強化等を図ることを目的として、平成20年度から新規に開始された事業です。(文部科学省HPより抜粋)

2008年8月20日 京都新聞 

文部科学省は19日、人材育成や教育プログラムの開発で連携する大学、短大を支援する事業に、京都府立医科大など4校による生命科学系の共同大学院の設置など54件を選んだと発表した。
期間は3年間で、1件につき年間5000万円または1億円を限度に補助する。
京都、滋賀関係では5件が選ばれた。府立医、府立、京都工芸繊維、京都薬科の各大学は、生命科学系の共同大学院の設置を目指す。共同大学院は、各大学が連名で学位を与えることができ、既存の施設の活用を検討する。府立医科大は「専門分野が異なる各大学の特性を生かし、市民の健康に貢献する人材の育成や研究を行いたい」としている。
他の4件は▽佛教大や京都工繊大、大谷大など18校による教員の教育能力を高めるための共通プログラムの開発▽龍谷大や府立大など5校による京都府内のNPO法人などの人材研修プログラム開発▽京都産業大や京都学園大など10校によるインターネットなどの教育システムを生かした教養教育の大学間連携▽滋賀医科大、長浜バイオ大の2校による医療大学間連携。

新地場産業の"卵"続々 バイオベンチャー企業支援施設が3年目

2008年6月8日 中日新聞

バイオ関連のベンチャー企業が集まる長浜市の長浜バイオインキュベーションセンター(NBIC)が開設3年目を迎えた。世界的技術を生み出したり、大きな賞に輝いたりと何かとにぎやかだ。存在感が高まりつつある現状を報告する。
JR田村駅前、長浜バイオ大に隣接して開設されたのは2006年4月。今春には2社が入居し、全17室が初めて満室になった。
意外にも半数は県外に籍を置く非地元企業。新幹線が通る米原駅に近い立地条件や、バイオに特化した全国でも数少ない施設という強みを生かしたPRの成果だという。入居企業が有する技術も多彩だ。ウジ虫を使った治療で注目を浴びるのはバイオセラピーメディカル(海平和男社長)。特種なウジが壊死(えし)した組織だけを吸収する性質を利用し、糖尿病や床擦れなどの傷の治療に役立てる。ベンチャー企業の技術力や新規性などを評価する「東京都ベンチャー技術大賞」で昨年、大賞に輝いた。「シードライフテック」(落合孝次社長)は、抗肥満の効果があるとされるポリフェノールの一種を大量生成する世界初の技術を確立。琵琶湖の水質浄化など壮大なプランに取り組む企業もある。
「将来性ある技術で、いよいよ外に打って出ていく段階」と話すのは、経営や人材交流などさまざまな面で入居企業をサポートする武内啓一インキュベーションマネージャー(IM)。
これまではベンチャー企業の悩みの種である資金確保や人脈づくりなど、足元固めに終始した。「最初はバイオってなんぞや?と思っていた人たちの理解が広まった」と武内IM。地元の有力者と組んで商品生産するケースも出てきた。
長浜商工会議所の田中聖文専務理事も「新しい地場産業が生まれるかもしれない」と期待を込める。
NBICに入居できるのは原則5年。その間に「一人前になって退居し、近くにビルや工場を建てて地元に貢献」というのが理想のサイクルだ。
インキュベーションは英語で孵化(ふか)を意味する。技術をビジネスとして軌道に乗せ、卵の殻を破れるか。NBICの真価が問われる。

四川大地震 留学生が寄金

2008年5月31日 毎夕新聞

彦根市日中友好協会と滋賀大、県立大、聖泉大、長浜バイオ大の留学生がこのほど、中国・四川大地震の被災者のために実施した街頭募金41万4713円を日本赤十字社に送金した。
5団体は19,24,25の3日間で延べ約50人の中国人留学生らを動員。JR彦根、長浜両駅で募金を呼び掛け、中には1万円札を差し出す男性や小遣いを出し合う女子高生もいたという。参加した留学生は「多くの人の温かい心に触れ、多くの援助金を送ることができました。」と話した。今後も各大学で募金をする。

中部飼料が入居 長浜バイオインキュベオションセンター

2008年5月31日 毎夕新聞

長浜市田村町の長浜バイオインキュベーションセンターの空き室一室にこのほど、愛知県知多市の飼料メーカー、中部飼料株式会社(平野宏取締役社長)の入居が決まった。同社の申し込みを受け、学識経験者ら七人で組織するセンター入居資格審査委員会(委員長=小笠原一誠・滋賀医科大学教授)が先月二十八日に審査。長浜市が二十九日付で入居を認めた。
中部飼料は、東証、名証一部上場企業で、家畜、養魚などの飼料販売で国内業界三位(五月現在)。資本金二十六億九千五百二十一万円(三月末現在)、三月期の売上高は単独約千百八十六億円、連結約千二百六十一億円。インキュベーションセンターでは、飼料価格の高騰を背景に、未活用の有機資源を飼料化する研究や、雑草の繁茂を抑制する有機質肥料の研究に取り組むという。

液晶TVバックライトで野菜栽培

2008年5月27日 中日新聞

長浜市のバイオベンチャー「日本アドバンストアグリ」は26日、液晶テレビのバックライト(背面の光源)用の蛍光灯を改良した野菜の栽培装置を開発したと発表した。従来の蛍光灯に比べ、消費電力を20%程度削減できるという。今夏、販売を始める。
装置は蛍光灯を並べたパネル。屋内工場などで、野菜の光合成に必要な光を照らす。ガラス管に電気を通す特殊な膜を張り、点灯時に電圧を加える「インバーター」を1つにしたことで消費電力を低減。蛍光灯の過熱も抑えられるようにした。
パネルは栽培面積に応じ蛍光灯を必要な本数にできる。蛍光灯は、長さ42センチから1・2メートルまで製造できる。価格は1・2メートルの蛍光灯2本を1つにした装置で約2万5000円。
同社は、この装置を使い自社工場(日野町)で栽培した葉レタスを2月から大手スーパー平和堂(彦根市)で販売。7月には千葉県で開かれる「農業・園芸生産技術展」に装置を出展する。

2008年05月27日 近江毎夕新聞

大型液晶テレビのバックライト「ハイブリット電極蛍光管(HEFL)」を使った植物栽培システムをこのほど、長浜バイオインキュベーションセンターに入居する日本アドバンストアグリ株式会社(辻昭久・代表取締役)が開発した。同社に一〇〇%出資する、照明機器・電子部品メーカー、ツジコー株式会社=本社・甲賀市水口町=とともに本格的な製品化に乗り出すという。
HEFLは、従来の蛍光灯や、LED(発光ダイオード)の水耕栽培と異なり、省スペース、省電力、長寿命で、水耕養液に工夫を凝らすことで、低コストで栄養化の高いホウレンソウなどが栽培できるという。日本アドバンストアグリが長浜バイオ大学、県農業技術振興センター、県東北部工業技術センターと共同で開発した。
新たな照明装置は、HEFLの消費電力削減や、明るさの向上などを実現するため、放物面の反射傘を蛍光管の背面に配し、低温度、高照度のHEFLの特性をさらにアップしたのが特徴。多段式の工場栽培などに有利という。

2008年5月29日 毎日新聞

長浜市田村町の長浜バイオインキュベーションセンターに入居している日本アドバンストアグリ社(辻昭久社長)が、液晶テレビのバックライトを用いた野菜育成照明システムを開発し、農家向けに販売を始めた。
同システムは、野菜水耕栽培の人工光源。バックライトは、従来の蛍光灯や発光ダイオードに比べ、省エネ効果があり、野菜栽培の大敵である発熱作用が格段に少なく、寿命が長い利点がある。
同社日野工場では現在、同システムでリーフレタスなどを栽培し、地元の大手スーパーで市販している。
長浜バイオ大の蔡晃植教授の調査によると、露地栽培に比べ、リーフレタスでビタミンEが約1・2倍、チンゲンサイではB2が1・3倍、Eが1・8倍となり、ミネラル分も多く含まれることが分かり、栽培日数も大幅に短縮できるという。
システムは2本のバックライトのセットで2万5000円。同社はシステム販売のほか、野菜を本格的に生産することにしており、10年度で約3億円の売り上げを目指す。
問い合わせは同社(0749・53・0101)。

中国人留学生が募金活動 大地震で支援呼び掛け

2008年5月25日 中日新聞

中国・四川大地震の被災者を支援しようと、長浜バイオ大の中国人留学生13人が24日、長浜市のJR長浜駅東口で、募金を呼び掛けた。25日午前にも実施する。
留学生たちは、手作りの募金箱を手に、パンダの着ぐるみ姿などで「お願いします」と援助を訴えた。駅の利用者らが、足を止めて募金していた。
参加した同大2年の楊玉興さん(22)は「被災地にいる友達が心配。少しでも役に立ちたい。皆さんに協力してもらいたい」と、一生懸命だった。集まった募金は、中国の大阪総領事館を通じて被災地に送る。