今回の研究で、私たちの身近な鑑賞魚のメダカが、実はヒトの病気の仕組みを知るための重要な鍵を握っていることも明らかになりました。
今回の発見:3つのポイント
- 観賞用メダカの故郷は「関西・瀬戸内」!
- 「色や形を決める遺伝子候補」を特定
- 真っ黒なメダカ「オロチ」が、ヒトの運動障害のナゾを解くヒントに
1. 観賞用メダカはどこから来たの?
江戸時代から日本人に親しまれてきたメダカですが、現在では愛好家によって数百もの品種が作られています。研究グループが86品種181匹の遺伝子を詳しく調べたところ、これらはすべて大阪、広島、高松など「関西・瀬戸内地域」に住む野生のメダカに近いことが分かりました。この地域のメダカが江戸時代に品種改良され、そこから今の多様なメダカたちが全国へ広がっていったと考えられます。2. どうしてあんなに色や形が違うの?
目が飛び出した「デメ」や、ヒレが長い「スワロー」など、メダカの見た目はとても個性的です。最新の解析手法(GWAS)を用いた結果、26種類の見た目の特徴に関連する遺伝子の場所を特定し、約3,300個の候補遺伝子を見つけ出しました。これにより、今後新しい品種を作ったり、動物の体がどうやって形作られるのかを解明したりする研究が大きく進むと期待されています。3. 「真っ黒なメダカ」と「ヒトの病気」の意外な関係
今回の最大の驚きは、体が真っ黒な品種「オロチ」の解析結果です。 調査の結果、「オロチ」の黒さは『adcy5』という遺伝子の変異が原因であることが判明しました。 実はこの遺伝子、ヒトでは「不随意運動症(自分の意志に関係なく体が動いてしまう病気)」の原因として知られています。遺伝子の一部が欠けることで逆に働きが強まり、メダカでは「黒くなる」という現象につながっていたのです。メダカの研究が、ヒトの病気のメカニズム理解にも大きく貢献しました。今後の展望
この研究成果は、魅力的な新しいメダカの品種づくりに役立つだけでなく、背骨を持つ動物(脊椎動物)に共通する「体の形や色が決まる仕組み」の解明につながります 。さらに、ヒトの遺伝性疾患の治療や予防の研究にも役立てられることが期待されています。【論文情報】
- 掲載誌: Molecular Biology and Evolution
- タイトル: Genomic consequences of domestication and the diversification of body coloration and morphology in ornamental medaka strains
- 公開日: 2026年1月31日(オンライン掲載)
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