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お化け赤血球内で分子間のエネルギーの受け渡しに成功

本学の今村比呂志 助教(フロンティアバイオサイエンス学科)は、立命館大学生命科学部 越山友美准教授らとの共同研究で、ゴースト(お化け)赤血球内での分子間のエネルギー移動とそのコントロールに成功したことを報告しました。

ゴースト(お化け)赤血球とは、通常の赤血球内の内容物を無くしてほとんど空の状態にした赤血球です。越山准教授は以前からこのゴースト赤血球内に機能分子を埋め込んで小さな化学工場とする研究を進めています。今回は内部に二種類の分子を配置し、光エネルギーをそれらの分子間で移動させることに成功しました。さらに、外部からゴースト赤血球を変形させて、エネルギーの移動の効率を上げられることも示しました。

今村助教はエネルギーの移動効率の実験結果をシミュレーションで再現、二種類の分子が赤血球内部でどのように配置しているかを明らかにしました。今後はこれらの知見をもとに分子の配置を工夫することができます。将来ゴースト赤血球が“小さな化学工場”として、通常は不可能な反応をコントロールするのに役立てられることが期待されます。

本成果は、Chemistry - A European Journal (URL:https://doi.org/10.1002/chem.202303749)に掲載されました。

論文名「Energy transfer on cytoskeleton of red blood cell ghosts and their efficiency control by KCl concentration-induced cell shrinkage」