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タンパク質と水と共溶媒の「三角関係」を解く方法を考案

本学の今村比呂志 助教(フロンティアバイオサイエンス学科)と岡山大学大学院自然科学研究科の中田乃愛 元大学院生(令和5年3月修士課程修了)、兵庫県立大学大学院情報科学研究科の岡本隆一 特任講師、岡山大学異分野基礎科学研究所の墨智成 准教授および甲賀研一郎 教授、千葉大学大学院理学研究院の森田剛 准教授は、尿素やアルコールによるタンパク質の変性の分子メカニズムを、分子シミュレーションを活用したデータ解析により明らかにしました。

尿素はタンパク質の分離・抽出において必要な変性剤として用いられ、アルコールはタンパク質の働きのコントロールに活用されています。水に加えることで効果を発揮するこれらの添加物は共溶媒と呼ばれ、古くより利用されてきました。しかし、共溶媒効果の分子メカニズムは複雑で十分な理解に至っていません。今回の研究では、鍵となるタンパク質、水、共溶媒の三者の相互作用の「三角関係」を解く方法を考案しました。

その結果、尿素はタンパク質の壊れた構造を好んでそれとの直接相互作用により吸着し、変性を促進する一方、2,2,2-トリフルオロエタノール(アルコールの一種)はαヘリックス構造に好んで直接相互作用することで、その周囲に集まりαヘリックス構造の安定化を導くことがわかりました。また水はいつも共溶媒と協力しながら、変性を誘導していることも発見されました。

本研究は2023年8月25日、タンパク質科学会誌「Protein Science」にオンライン掲載されました。

論文名「Molecular mechanism of the common and opposing co-solvent effects of fluorinated alcohol and urea on a coiled coil protein」

詳しくは共同プレスリリースをご覧下さい。