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アザラシの海洋適応に伴うタンパク質進化のしくみを解明

富山県立大学工学部医薬品工学科 磯貝泰弘教授、立命館大学生命科学部応用化学科 今村比呂志助教、岡山大学異分野基礎科学研究所 墨智成准教授、長浜バイオ大学バイオサイエンス学部 白井剛教授らの研究グループは、複数の祖先アザラシのミオグロビンを復元して合成することに成功しました。

哺乳類の潜水能力は、筋肉中で酸素を貯蔵する働きを持つミオグロビン(Mb)というタンパク質の量に依存し、潜水哺乳類の肉が陸生動物の肉よりも色が濃いのは、筋肉中のMb濃度が高いことによります。

潜水哺乳類であるクジラやアザラシは、約三千万〜五千万年前に陸上に生息していた四つ足動物から進化したものです。現存生物のゲノム情報解析と遺伝子工学を駆使することによって、絶滅した祖先アザラシのMbを復元することに成功しました。アザラシMbの進化プロセスを以前解明したクジラMbの進化と比較することで、潜水哺乳類Mbに共通する進化戦略とアザラシ独自の戦略が明らかになりました。

潜水哺乳類Mbが細胞中に高濃度で存在できるしくみを応用することで、高品質のバイオ医薬品の低コスト生産が期待できます。

本研究成果は、2021年8月20日に米国科学誌の「iScience」オンライン版で公開されました。

詳しくは共同プレスリリースをご覧下さい。