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天然光合成を模倣した有機太陽電池の動作機構の解明

関西学院大、吉林大(中国)、長浜バイオ大、立命館大の研究グループは、クロロフィル色素(Chl)誘導体を用いて天然光合成を模倣した有機太陽電池の動作機構の解明とヒドロキノン酸化還元媒体を利用した光電変換性能の向上に成功しました。本学からはメディカルバイオサイエンス学科の佐々木真一教授が参加しています。

Chl誘導体を用いた有機太陽電池は、高い光起電力性能を持っており、注目されています。Chl誘導体の原料となる葉緑素は、天然に豊富に存在し、その生分解性を考慮すると、環境への負荷の少ない将来の応用が期待されています。しかしながら、Chl誘導体の光励起ダイナミクスは未だに解明されておらず、Chl誘導体を用いた太陽電池の動作原理は推定の域を超えていませんでした。そこで、本研究ではサブナノ秒時間分解吸収分光法を用いてChl誘導体の溶液状態と薄膜状態における励起種とキャリア種を実験的に同定しました。また、その際に用いた酸化還元媒体であるヒドロキノンをChl誘導体薄膜にドープすることで、キャリア寿命が増大することを見出し、Chl誘導体を用いた有機太陽電池の光電変換性能の向上に結び付けました。

本研究成果は、これまで未解明であった有機太陽電池の動作機構を解明することで、性能向上の鍵となるプロセスを特定し、実際に性能向上に結び付けることができることを示しており、今後の有機太陽電池の開発のための明確な設計指針を提示しています。
本研究成果は、Nature Publishing Group が出版する国際学術誌『Communications Chemistry』のオンライン版に2021年8月11日付で掲載されました。

詳しくは共同プレスリリースをご覧下さい。