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第169回バイオセミナーのご案内

第169回バイオセミナーは、大阪医科大学研究支援センター  中央検査部感染対策室の検査診断学、医用質量分析学がご専門の中西豊文先生にご講演いただきます。
先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時 2019年 10月29日(火)15時20分~16時40分
会 場 命北館4F 中講義室5
演 者 中西 豊文先生(大阪医科大学研究支援センター 中央検査部感染対策室・准教授)
演 題 「質量分析の検査診断学への応用とその将来像」
要 旨 ソフトイオン化技術の開発によってこれまで不可能であった生体高分子量化合物の質量分析(MS)法による直接解析が可能となり、「生命の神秘」の謎解きが飛躍的に進展した。MSの最初の医学応用は、1966年エール大学田中圭教授らのGC/MS法によるイソ吉草酸血症の診断に始まり、松田−松尾ら阪大理MSグループは構造変異(一塩基置換)タンパク質のアミノ酸配列同定法を世界に先駆け確立し、「分子病」の化学診断に応用され、現行の「プロテオミクス」へと繋がって行った。また、テキサス大Richard M.Caprioli教授はアトモル(10-18)レベルでのアミノ酸・タンパク質解析法を開発し、現在のナノスケールでのオミクス計測の原型となった。更に、病理組織診断法と分子内構造解析法を融合した新しいMS技術、「MSイメージング(IMS)」法を考案・開発し、組織内に発現・沈着した生理活性分子の検出およびその詳細構造解析と同時にその組織内局在を各種癌・アミロイド・心筋組織を用いて明らかにした。検査診断学へのMS応用は、大阪医大の清水章名誉教授らの功績が大きい。本セミナーでは、これまでの我々グループの「MSの臨床検査領域研究&検査への応用」に関する自験例と将来への展望について解説したい。