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本学初の附属研究所、ゲノム編集研究所を開設

長浜バイオ大学は、本学では初となる附属研究所として「ゲノム編集研究所」を開設し、開所式を10月1日(火)11時30分より長浜バイオインキュベーションセンターで行います。

ゲノム編集研究所開設の経緯と目的

生物の遺伝情報を効率的で自在に操作することを可能にするゲノム編集技術は、高い付加価値や新規形質をもつ動植物の作成などによる食糧生産や資源生産への応用に、また、疾患研究や医療への応用では難治性の病気治療や再生医療による新たな治療、新しい医薬品の開発などに大きく貢献するものと期待されています。一方で、黎明期のゲノム編集の技術は確立されつつありますが、さまざまな生物種への適応、各分野の基礎研究や応用研究への適応、さらにはより効率的で有用なゲノム編集技術の開発などについては、これからの研究の進展が待たれている状況です。

こうした中で、倫理的な基盤に立ってゲノム編集に関しての先端的研究を行い、その研究成果を社会に発信していくことは、バイオサイエンス分野の最先端を担う本学の重要な責務と言えます。このような背景で開設に至ったのが、ゲノム編集研究所です。研究所では、ゲノム編集技術を用いた基礎研究と応用研究、ゲノム編集技術を用いた研究成果の社会への発信、ゲノム編集などを用いた研究の受託、講演会や研究会の開催、研究成果の技術移転や導入、内外の研究機関との連携を進めていくことにしています。

ゲノム編集研究所の機構と体制

長浜バイオ大学ゲノム編集研究所(所長:山本博章特任教授)は、動物部門と植物部門の2部門で構成され、研究員は当面、大学の教員との兼任研究員となります。

研究所の所在地は、長浜バイオインキュベーションセンター内の研究室と長浜バイオ大学の研究室になります。

資料:研究員の研究テーマ

<動物部門>

齊藤  修(アニマルバイオサイエンス学科 教授)
[専門分野]神経細胞学:両生類など
水中に棲む魚類が持つ温度を感じる仕組みはどのようなもので、その後環境が大きく異なる陸上動物に進化する過程でどんな変化を獲得していったのかを研究しています。まずメダカをモデルに、温度を感じるセンサーを見つけ出し、その機能を明らかにし、更にゲノム編集により、そのセンサーが無くなったら、あるいは機能変化を導入したら、メダカの温度の感じ方がどう変化するか研究を進めています。

中村 肇伸(アニマルバイオサイエンス学科 教授)
[専門分野]生殖細胞学:哺乳類など
ゲノム編集技術を用いて全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子を破壊したマウスの作製・解析を行っています。現在までに、胚性遺伝子の活性化に必須の遺伝子、母性RNAの分解に重要な遺伝子、最初の卵割に必要な遺伝子などを明らかにすることに成功しています。

竹花 佑介(アニマルバイオサイエンス学科 准教授)
[専門分野]発生生物学:魚類など
メダカの近縁種を使って、個体のオス・メスが決まる仕組みを研究しています。例えば、ある「オス決定遺伝子」の有無で性別が決定されているとすれば、その遺伝子がゲノム編集技術によって取り除かれたら、メスに性転換することが予想されます。このような方法で、性決定遺伝子の機能を解明しようとしています。

<植物部門>

蔡  晃植(フロンティアバイオサイエンス学科 教授)
[専門分野]植物生理学:植物全般
植物による病原菌認識と免疫反応誘導の分子機構を調べるため、これまでの生理生化学的研究で明らかになった免疫反応誘導に関与する可能性のある遺伝子を、ゲノム編集技術で機能欠損させます。そして、このゲノム編集植物における病原菌認識と免疫反応誘導を調べることで、病原菌認識と免疫反応誘導における各遺伝子の機能を明らかにします。

今村  綾(フロンティアバイオサイエンス学科 講師)
[専門分野]植物遺伝学:再分化系構築
イネやウキクサを用いて「環境ストレス応答と植物ホルモンのはたらき」、「デンプン蓄積の制御」という現象に着目し、注目する遺伝子の機能を生化学および分子遺伝学を駆使してその分子メカニズム解明に取り組んでいます。さらに、アイスプラントの再分化系の構築を行い、ゲノム編集技術を用いた機能性向上アイスプラントの作出を目指します。