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第164回バイオセミナーのご案内

第164回バイオセミナーは、岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所助教で進化生物学がご専門の濱田麻友子先生にご講演いただきます。
先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも、ご専門の研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時 2019年6月25日(火)15時20分~16時40分
会 場 命北館4F 中講義室5
演 者 濱田 麻友子先生(岡山大学理学部附属牛窓臨海実験所 助教)
演 題 「動物と藻類の共生の謎をゲノムから読み解く」
要 旨 藻類との共生は、様々な生物で見られる普遍的な現象である。特に固着性もしくは浮遊性で運動能力の低いサンゴやクラゲなどの刺胞動物では、多くの種で藻類との共生が観察され、これらの動物の生態的繁栄に寄与してきたと考えられる。このホストと共生藻の関係は相利共生で、共生藻はホストに光合成産物を与える一方、ホストは共生藻に栄養や安全な生活環境を提供していると考えられている。しかし、この共生システムへの適応の実態や進化の過程は未だ不明な点が多い。

私は動物と藻類の共生モデルとしてサンゴやヒドラなどの刺胞動物を用い、ホストと共生藻のエコシステムと進化を明らかにすることを目指してきた。グリーンヒドラとその共生クロレラのゲノム解析では、ヒドラークロレラ間の協調的な栄養のやりとりや、共生クロレラにおける代謝経路の一部の退化など、共生系で効率的に生きるための特殊な性質が明らかになった。また、このような特徴の中にはサンゴには見られない独自のものもあり、藻類共生の実態は動物やその生活環境によって多様であると考えられる。本セミナーでは、この興味深い生存戦略である動物―藻類共生システムの普遍性と多様性について紹介したい。