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細菌の前進・後退を決めるタンパク質の構造を解明! ~方向制御の人工ナノマシンの設計が可能に~

名古屋大学大学院理学研究科の本間 道夫教授、錦野 達郎博士後期課程2年、大阪大学蛋白質研究所の 宮ノ入 洋平准教授、長浜バイオ大学バイオサイエンス学部の 白井 剛教授および土方 敦司特任講師らの共同研究グループは、細菌が持つ運動器官であるべん毛注1)モーターを構成するタンパク質の一つFliG分子の構造動態を、核磁気共鳴法注2)および分子動力学計算法注3)を用いることで解明しました。

FliG分子は、車で例えるならクラッチを構成する部品のような役割をします。べん毛モーターは時計回りと反時計回りの両方向に回転し、回転方向を切り替える際にFliGの構造変化が生じると考えられています。本研究により、時計回り(CW)のときと反時計回り(CCW)のときとではFliGの構造が異なることが示され、FliGが細菌の前進と後退を決定するために重要な役割を担っていることが明らかになりました。

この知見をもとに、生物特有の回転方向制御機構が解き明かされれば、自在に分子モーターを制御する人工的なナノマシンを設計することができるようになり、医療や人工生命設計など、様々な分野に応用できることが期待されます。

本研究成果は、英国科学誌「Scientific Reports」において、2018年12月12日午前10時(英国時間)にオンライン公開されました。

プレスリリース「細菌の前進・後退を決めるタンパク質の構造を解明!」 [PDF]