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軍事研究に対する法人と大学の姿勢

学校法人 関西文理総合学園(滋賀県長浜市・理事長 若林浩文)は、7月25日に行われた理事会において、「軍事研究に対する本法人の姿勢」を決定いたしました。また、長浜バイオ大学学長蔡晃植が、「軍事研究や軍民両用技術研究に関する長浜バイオ大学の方針について」の声明を発表しましたので、あわせてご紹介いたします。

軍事研究に対する関西文理総合学園の姿勢

本法人は、1946年に創立された「京都人文学園」の精神を継承している法人です。

京都人文学園は、第2次世界大戦の最中、ファシズムに反対する文化誌「世界文化」を刊行していたフランス文学者新村猛氏の呼びかけによって創立された学園であります。新村猛氏は、本格的な新しい教育運動-「かつての非人道的な圧制のもとでは夢想にすぎなかったヒューマニズム教育」-を自ら手がけようと決意し、人間性の全面開花を目的とした民主主義教育は、「因習に束縛された従来の学校のたぐいによっては、決して十分に実現されない」(京都人文学園規約)より)。従って、「組織と精神を全くあらたにした私学」(同)を自らの手によって創立しなければならないというのが、彼の考えでありました。

そして、京都人文学園の基本像として

  1. 国家主義・軍国主義と戦争によって、真理を学ぶ機会を奪われた青年に学び舎を提供し、
  2. 人間性(ヒューマニズム)を何よりも尊び、人間的な文化の建設をめざす人文主義を掲げ、
  3. 日本の復興と民主主義の担い手にふさわしい、知的能力とヒューマニズムを兼ね備えたグローバルな〈行動する思考人〉を養成する。
としました。

この崇高な理念で京都人文学園は創設され、再び戦争が起こらない世界、それに加担しない理念が、本法人には継承されています。
それは、本法人の長浜バイオ大学の教育理念「本学は、前身である京都人文学園から受け継いだ、「平和とヒューマニズム」を何よりも尊び、豊かな人間性と科学的合理性を兼ね備えた『行動する思考人』の育成」として継承されています。

防衛装備庁は2015年度より「安全保障技術研究推進制度」と名付けた競争的資金制度を開始致しております。
本制度は、大学・研究機関・企業等の研究者に研究費を支給して委託をするもので、軍事利用目的の技術開発に繋がる恐れがあります。

京都人文学園の理念を継承する本法人として、日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」を尊重し、軍事研究に繋がる恐れのある研究依頼や資金提供については、受け付けませんし、研究費の申請もしないことを表明致します。

2017年 7月
学校法人 関西文理総合学園

軍事研究や軍民両用技術研究に関する長浜バイオ大学の方針について

長浜バイオ大学は、「平和とヒューマニズムを何よりも尊び、豊かな人間性と科学的合理性を兼ね備えた『行動する思考人』の育成」を教育理念としています。また、本学はトップレベルのバイオ研究を維持・発展させ、高い研究能力を基盤とした質の高い教育を行うとともに、地域社会や地域産業に貢献しうる研究を行う地域の中核大学となることを基本方針としています。

近年、防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」が始まり、本学の教職員が軍事利用研究活動や軍民両用技術研究活動に直面することになりました。このことから、軍事研究や軍民両用技術研究をテーマにした競争的資金への申請や、外部資金の受入に関する取り扱いを明確にしておく必要があると判断し、次のとおり軍事研究や軍民両用技術研究に関する方針を定めました。

  1. 日本学術会議の「軍事的安全保障研究に関する声明」を尊重し、軍事研究や軍民両用技術研究を行わない。
  2. 軍事的安全保障研究を目的とする防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」や、国内外の軍事を所管する公的機関からの研究資金への申請を認めない。また、他大学の申請に共同研究者として参画することも認めない。
  3. 企業等からの受託研究等について、その研究内容が軍事目的である場合には、研究費等を受け入れない。

2017年 7月
長浜バイオ大学
学長 蔡 晃植