×

オートファジーの研究で、大隅良典東工大栄誉教授がノーベル賞を受賞

2016年のノーベル医学生理学賞は、「オートファジー(自食作用)」のメカニズムと生体内での役割を解明した、東京工業大学の大隅良典栄誉教授に贈られることになりました。

本学の前バイオサイエンス学部長の山本章嗣教授は大隅先生の共同研究者として、電子顕微鏡を使っての超微細形態学の面から大隅先生の研究に貢献してきました。長浜バイオ大学としても今回の快挙に心よりお祝いを申し上げます。また、オートファジーを始めとするバイオの教育・研究に、本学としてもさらに邁進する決意です。

【大隅先生に師事した奈良篤樹本学講師のお祝いコメント】

大隅先生、ノーベル医学生理学賞の受賞、本当におめでとうございます。1999年に岡崎国立共同研究機構(現自然科学研究機構)基礎生物学研究所で、先生の研究室の門を叩いた時には、「オートファジー」は研究者の中でも余り知られていない研究分野でしたが、最近ではテレビ番組でオートファジーが取り上げられるなど、ある意味の研究の広がりに驚いています。この分野の研究がこれほど発展したことを、とても嬉しく思うとともに、大隅先生の功績の大きさを感じています。また、オートファジーの研究は、大隅先生を始めとする日本の研究者が中心となって進められたもので、その意味で「日本発」の研究と言えます。それが、今回の大隅先生の単独受賞に繋がったのではないかと思います。

大隅先生は私の博士論文の主査であり、2002年に博士号を授与されるまで、先生の研究室で研究に取り組みました。先生は気さくな方ですが、研究の話になると、漠然とした、それでいて意味のある重たい質問をされるので、私にとっては怖い存在でした。また、雑学を含めていろんなことを知っておられ、飲み会などで出てくるその知識の豊富さには感嘆したものでした。基礎生物学研究所は丘の上にあり、交通手段を持っていない私に、「隣駅に置いてある自転車を取りに行ってくれるのなら、その自転車を奈良君にあげるよ」と先生に言われたので、喜んで取りに行き、ありがたく頂戴したという思い出もあります。

抗がん剤が効かないがんが近年話題になっていますが、私は、その効かない理由の一つである、がん細胞が抗がん剤を排除するメカニズムを明らかにしたいと考えて研究しています。その排除に、オートファジーが一役買っていることが分かってきました。大隅先生の教えをもとに、この研究をさらに進めていきたいと決意しています。