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第136回バイオセミナーのご案内(10/25)

第136回バイオセミナーは、構造生物学がご専門の、福井県立大学生物資源学部の日竎隆雄(ひびたかお)先生にご講演いただきます。他大学の先生の研究内容を直接聞ける貴重な機会ですので、先生方、大学院生の皆さんをはじめ、学部学生の皆さんも研究分野を問わず多数ご参加ください。

日 時 2016年10月25日(火) 15:20~16:40

会 場 命北館4F 中講義室⑤

演 者 日竎 隆雄先生(福井県立大学 生物資源学部教授)

演 題 表面ループの構造変化を利用した酵素の高機能化

酵素では、ループの構造変化が基質の認識に重要な役割をしている例がしばしば認められる。γ- グルタミルシステイン合成酵素では、基質システイン認識に関わる誘導適合(induced fit)分子機構の解明が挙げられる(T. Hibi et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA (2004), 101(42), 15052-15057)。

リガンドの結合に伴いスイッチループ(240-249残基)のコンフォメーション変化が生じると、Tyr24とTyr300の側鎖が回転し、基質システインのCOOH 基と水素結合を形成、同時にSH 側鎖を認識するポケットが形成される。しかし、タンパク質の二次構造のうちループ構造は極めて多様であり、タンパク質の構造機能相関の中で最も理解が進んでいない部分でもある。ループの構造変化と機能の関係やその制御方法など詳細は不明であり、酵素分子設計への応用に向けて解決すべき課題は多い。

本講演では、尿酸酸化酵素ウリカーゼのインタフェースループ改変による高機能化の事例を紹介するとともに、さらに実用的な蛋白質の機能改変につなげるための取り組みについて述べたい。