×

大学院生 小笠原裕太さんらの研究成果が米国科学誌に掲載

News Clip_ogasawara.Y.JPGのサムネール画像

 本学大学院バイオサイエンス研究科の小笠原裕太さん、山本章嗣教授を中心とする研究グループ(本学と東京大学)は、不飽脂肪酸の合成がオートファジーに重要であることを明らかにしました。
 真核細胞は、オートファジーと呼ばれるユニークな細胞内分解システムを備えています。例えば、細胞は栄養飢餓におかれても、オートファジーが亢進することで、細胞の一部を分解して必要な栄養素を得て生き延びることができます。それに加えて、オートファジーは、異常タンパク質や異常オルガネラ、細菌などの分解にも関与し、神経変性疾患、感染症、糖尿病、心臓病、癌など様々な疾病を予防していることも明らかになっています。
 本研究では、オレイン酸などの不飽和脂肪酸を合成するステアロイルCoA 不飽和化酵素1 (SCD1)活性がオートファジー初期過程において必要であることを世界で初めて明らかにしました。SCD1は肥満や糖尿病に関与することが注目されてきましたが、オートファジーへの関与についてはほとんど報告がありませんでした。オートファジーにおけるSCD1の意義を分子レベルでさらに明らかにし、オートファジーを利用した新しい治療法の開発に役立てたいと思います。

 本研究成果は2014年7月14日に米国科学誌『Journal of Biological Chemistry』にpaper in press として公開されました。

Stearoyl-CoA desaturase 1 activity is required for autophagosome formation J. Biol. Chem. doi:10.1074/jbc.M114.591065
http://www.jbc.org/content/early/2014/07/14/jbc.M114.591065.full.pdf+html?sid=6ff860a0-6c5d-4d2c-9721-c543d813d767

 また、小笠原さんは、本年4月の第66回日本細胞生物学会大会でこの成果を発表し、「若手優秀発表賞」を受賞しました。