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池内俊貴講師が第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞されました

 池内 俊貴先生は、朱雀門 出(すざくもん いづる)というペンネームでホラー小説「今昔奇怪録」を発表され、栄えある第16回日本ホラー小説大賞短編賞を受賞されました。
 同小説は、すでに角川ホラー文庫として、角川書店より刊行され、好評を博しております。同文庫本の紹介文には「新たな怪談の名手、ここに現る!」と書かれ、先生の今後の活躍に大いに期待が寄せられています。なお、小説の舞台として長浜市も登場し、親しみを覚える内容となっております。

2009.11.7  滋賀夕刊より
 「朱雀門出」のペンネームで活動する長浜バイオ大学講師の池内俊貴さん(41)が執筆した小説「今昔奇怪録」が第16回日本ホラー小説大賞の短編賞を受賞。文庫本として角川ホラー文庫から出版された。
 大賞には長編の部に235点、短編の部に448点が寄せられ、池内さんの作品を含む3点が入賞した。
 「今昔奇怪録」には、主人公の男性が町会館を清掃中に本棚で見つけた2冊の本を持ち帰ったところ、身の回りで奇怪な出来事が次々と起こる物語。「高田町」「十里町」「列見町」など、長浜の町名も登場する。
 大阪府高槻市出身の池内さんは、中学、高校時代から怪談やサスペンス、SF小説に親しみ、10年程前、雑誌に応募した怪談小説が入選したのを機に、本格的に執筆している。
 2003年のバイオ大学の開学に伴って愛知県内の研究施設から長浜に移り住み、環境生命科学コースの講師として活動。現在は、遺伝子組換え細胞を活用した水質汚染測定の研究に取り組み、その息抜きとして小説を書いている。
 池内さんは「今後も怪談をメインに書き続けたい」と話している。
 なお、文庫本には受賞作品をはじめ、大学研究室で起こる怪談など5編を収録。先月25日から全国の書店で発売している。540円。

 

2009年11月9日 毎夕新聞より
バイオ大講師 恐怖小説家の顔も 池内さん 日本ホラー小説大賞受賞

 今年五月、新人ホラー小説家の登竜門「日本ホラー小説大賞」(角川書店など主催)の短編賞を受賞した作家、朱雀門出(すざくもん・いずる)さんが、生物の内分泌かく乱の原因研究などに取り組む長浜バイオ大学の講師、池内俊貴(としたか)さん(41)=大阪府出身、長浜市田村町在住=とわかり、話題となっている。このほど池内さんが大学に受賞を報告してわかった。
 池内さんは、北海道大学大学院博士課程修了。水産学博士で、専門研究のかたわら、秘密裡に怪談小説の専門誌「幽」などに作品を発表し続け、第十六回日本ホラー小説大賞短編部門に作品「今昔奇怪録」(出品時タイトル「寅淡語怪録」)を出品。応募四百四十八編のトップに輝き、賞金二百万円を受けた。すでに作品は角川ホラー文庫から発売され、ち密な構成力、人間心理の機微を描く卓抜の筆力で多くのファンを獲得しているという。
 「今昔怪奇録」は、町会館の片隅に置かれた事件記録を読み始めた夫婦の周辺で、不可解な事件が連続する―といった標題作をはじめ、五編を収録した。他の作品は、豪商の娘が次々と天然痘で亡くなったうえ、墓が何者かに荒らされ、死肉をむさぼる妖怪の仕業とのうわさが立つ「疱瘡婆」、人間をモルモットにした研究実験を、被験者、観察者など立場の異なる四人のモノローグで描いた「狂覚(ポンドゥス・アニマエ)」など。
 いずれの短編も、怪談の定石に従いつつ、独創の語り口で、実話風、歴史秘話風、実験小説風とプロットを変化させ、他に類を見ない完成度という。直接的な暴力、グロテスク、残酷描写は避け、人物描写などで底知れない恐怖を描き出す手法も人気の秘密らしい。
 長浜バイオ大学での池内さんの専門分野は「環境分子応答学」「内分泌学」など。環境ホルモンと呼ばれる内分泌物かく乱要因を、魚の生殖機能から研究する学者。
 大学に勤務しながら小説を書いて人気作家となった人は、ミステリー作家の森博嗣さん(52)らがいる。本は五百四十円。