有尾両生類の冷感センサーTRPM8の機能喪失を解明 ~強い低温耐性を支える分子進化のメカニズムを特定~
本学大学院の修士課程修了生2名(沢尾 忠宏さん、小林 大樹さん)が共に筆頭著者となり、堀 翔悟助教と齊藤 修客員教授が責任著者を務めた研究グループの研究成果が、学術誌「FEBS OPEN BIO」に掲載されました。
本研究では、サンショウウオなどの有尾両生類が持つ「冷たさ」への応答性を解析しました。その結果、有尾両生類はヒトやカエルと比較しても顕著に反応を示さず、極めて強い低温耐性を持つことが示唆されました。この仕組みを解明するため、動物の主要な低温センサーとして機能する分子「TRPM8」をクローニングし、その機能を詳細に解析しました。
解析の結果、調査した有尾両生類4種すべてのTRPM8において低温反応性が消失しており、機能喪失が起きていることが明らかになりました。さらに、これら4種に共通して、低温応答の欠失を導く「8個のアミノ酸変異」がN末端側の特定の部位(MHR3)に存在することを突き止めました。この分子レベルでの変化が、有尾両生類という動物群の環境適応に大きく貢献してきたと考えられます。
今後は、これらの特定のアミノ酸変異がどのようなメカニズムで低温感受性の喪失を引き起こすのか、その詳細な構造的・機能的要因の解明が期待されます。
論文情報
Decreased cold-sensing function of the transient receptor potential channel TRPM8 from tailed amphibians.
著者:Tadahiro Sawao, Daiki Kobayashi, Shogo Hori, Osamu Saitoh
DOI:https://doi.org/10.1002/2211-5463.70227(オープンアクセス)

イメージは生成AIにて作成