「藻類×AI」大学発ベンチャーが環境問題に挑戦
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研究の醍醐味
赤潮などの厄介者とされる藻の「爆発的に増えるパワー」に着目し、AI培養装置「Bloomo」による精密な制御で、環境浄化のプロへと進化させる「逆転の発想」とITの融合にあります。
研究の先に描く未来
火力発電所のCO2をエネルギーに変え、マイクロプラスチックを分解し、さらには高品質なエサとして「スマート養殖」を支えるなど、環境保全と食料問題を同時に解決する地球規模の循環を実現します。
微小な藻(も)とAIが地球を救う!?
長浜発、ミクロなヒーローの育て方
地球温暖化や海のごみ問題。ニュースで見聞きする大きすぎる課題に、私たちはどう立ち向かえばいいのでしょうか?
そのヒントは、実は水の中にいる1ミリにも満たない「微細藻類(びさいそうるい)」にありました。最新のIT技術と生き物の力を掛け合わせた、地球を救うワクワクするようなプロジェクトが、長浜バイオ大学から始まっています。
長浜市で試験養殖施設が稼働
厄介者を「地球を救うヒーロー」に
変える逆転の発想
海や湖を汚す「赤潮」を聞いたことがありますか? 水中の栄養分が増えすぎて、特定の藻類が爆発的に増えてしまう現象です。普通は環境を悪化させる厄介者ですが、小倉淳教授はこの「爆発的に増えるパワー」と「水中の栄養(窒素やリン)を吸収する力」に注目しました。
「この力をコントロールできれば、水を綺麗にしながら、二酸化炭素(CO2)をグングン吸収できるのではないか?」
これが「ABC技術」と呼ばれる逆転の発想です。藻の遺伝子を解析し、どんな環境なら一番元気よく増えてくれるのかを調べ上げ、ただの藻を「環境浄化のプロフェッショナル」へと進化させたのです。
試験養殖施設稼働の記者発表会
AIが生き物を育てる?
魔法の箱「Bloomo」
藻を育てるのはとても繊細で難しい作業です。光の強さ、温度、栄養のバランスなど、少しでも条件が狂うと上手く育ちません。そこで開発されたのが、AI(人工知能)とIoT(モノのインターネット)を搭載した魔法の培養装置「Bloomo(ブルーモ)」です。
Bloomoは、AIがセンサーで藻の様子を24時間監視し、「今はもう少し光が必要だな」「温度を少し下げよう」と、一番元気に育つ環境を自動で作ってくれます。これにより、専門家の勘や経験に頼らなくても、どこでも誰でも効率よく最高品質の藻を育てることができるようになりました。生物学と最新のIT技術がタッグを組んだ瞬間です。
海なし県の滋賀県でも養殖が可能
ミクロな藻が創る、
10年後の驚きの未来
この研究が進むと、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。
例えば、火力発電所の煙突から出る大量のCO2をエネルギーに変えたり、海の生き物を苦しめる「マイクロプラスチック」を藻の力で分解させたりする実証実験がすでに進んでいます。さらに、栄養たっぷりに育った藻をカキなどの二枚貝のエサにすることで、短期間で身を大きく育てる「スマート養殖」にも応用されています。環境を守りながら、食料問題も解決する。そんな夢のような未来が、長浜から現実になろうとしています。
関西みらいベンチャーアワードで優秀賞を受賞
●高校生の皆さんへ
「光合成」が、
未来につながる
かもしれない
高校の生物で習う「光合成」の知識が、最新テクノロジーと結びつくことで地球を救う武器になります。これからの理系の学びは、データを読み、環境を設計し生きものの力を引き出す。そんな関わり方も、現実の選択肢になっています。
小倉淳教授は、研究成果を社会に届けるため、大学発のベンチャー企業にも挑戦しています。
進路の1つとして「こんな道もあるんだ」と知ることは、いつかの選択を助けてくれるかもしれません。
長浜から始まった、この小さな研究。
その続きを、もう少し先で一緒に考える日が来るかもしれません。