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市村薫研究員と山本章嗣教授の参加した共同研究が英雑誌に掲載

機能不明であった、小胞輸送関連タンパク質γ-SNAPがエンドソーム輸送に関与することを明らかにした研究論文が、英国科学誌『J. Cell Science』(6/22付)に掲載されました。この論文は、本学の市村薫研究員と山本章嗣教授が、東京薬科大学の多賀谷光男教授と井上弘樹講師との共同研究によるもので、大阪大学と長浜バイオ大学が参加しています。長浜バイオ大学では、エンドソームの超微形態の変化を免疫電子顕微鏡を用いて定量的に解析しました。

スネアータンパク質複合体は輸送小胞が特定の標的膜に融合する過程に必要であり、小胞による細胞内輸送に重要な役割を果たしています。融合を終えたスネアータンパク質複合体は、NSFとα-SNAPによって解体され、再利用されます。α-SNAPのアイソフォームとしてγ-SNAPが知られていますが、その機能は不明でした。

この論文により、γ-SNAPがエンドソーム系のスネアーであるシンタキシン7を含む複合体に結合する事、γ-SNAPの過剰発現とノックダウンによりエンドソームの形態と分布が大きく変化する事、γ-SNAPの欠損によりエンドソーム輸送が阻害される事が示されました。α-SNAPが小胞輸送全般に関与するのに対して、γ-SNAPはエンドソーム系に限って機能する点で、ユニークな小胞輸送タンパク質であると言えます。

今後、この知見により、エンドソーム系の輸送を制御する機構の解明が進むと期待されます。
Inoue H, Matsuzaki Y, Tanaka A, Hosoi K, Ichimura K, Arasaki K,Wakana Y, Asano K, Tanaka M, Okuzaki D,Yamamoto A, Tani K,Tagaya M.γ-SNAP stimulates disassembly of endosomal SNARE complexes and regulates endocytic trafficking pathways. J Cell Sci. 2015 Jun 22. pii: jcs.158634.