×

細菌の前進・後退を決めていたタンパク質の構造変化

大阪大学、名古屋大学、長浜バイオ大学の共同研究成果が米国科学誌に掲載されました。本学からは白井剛教授(フロンティアバイオサイエンス学科)、土方敦司講師(東京薬科大学、研究当時長浜バイオ大学プロジェクト特任講師)が参加しました。

研究グループは、細菌が持つ運動器官であるべん毛モーターを構成するタンパク質FliGの構造動態を核磁気共鳴法および分子動力学計算法を用いることで解明しました。FliG分子は、車の部品で例えるならギアのような役割をすることで、細菌が前進と後退することを可能にします。べん毛モーターは、細菌が後退するための時計回りと、前進するための反時計回りの両方向に回転します。本研究では、モーターが時計回りと反時計回りの時ではFliGの構造やその周囲に存在する水分子との相互作用が異なることが明らかとなり、この違いによって、細菌は環境変化に応答して瞬時に前進と後退を切り替えできることが分かりました。

この知見をもとに、生物がもつ極小分子モーターの回転方向制御機構が解き明かされれば、自由自在に回転を制御する人工的なナノマシンを設計することができるようになり、医療や人工生命設計など、様々な分野に応用できることが期待されます。

今回の成果は、2023年7月18日(火)0:00(日本時間)に米国科学誌「iScience」(オンライン)に掲載されました。

詳しくは共同プレスリリースをご覧下さい。