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中村肇伸准教授らの共同研究が『Nature communications』に掲載されました

卵細胞で高発現する遺伝子を使ってiPS細胞の質を改善することに成功!

 卵細胞で高発現する遺伝子を使ってiPS細胞の質を高めることに成功した研究論文が英科学誌『Nature communications』(1/23付)に掲載されました。この論文は、ドイツのゲッティンゲン大学、北里大学との共同研究によるもので、中村准教授がco-first authorとして重要な役割を果たしました。2006年にiPS細胞が報告されて以降、作製効率を高める研究が精力的になされてきましたが、iPS細胞の質を高める研究はほとんど行われていませんでした。本論文では、Dppa3(PGC7、Stella)という卵細胞で高発現する遺伝子を用いてiPS細胞を誘導すると、従来のiPS細胞よりも分化能が高いiPS細胞が作製できることを明らかにしました。最近、除核した卵細胞に体細胞核を移植することにより得られる核移植ES細胞がiPS細胞と比較して、ES細胞に近いメチル化状態、遺伝子発現を示すことが報告され、卵細胞で使われている遺伝子がリプログラミングに果たす役割が注目されていました。今回、卵細胞で高発現するDppa3がiPS細胞の質を高める働きがあることが明らかになったことで、卵細胞で高発現する他の遺伝子と組み合わせることで、将来さらに質の高いiPS細胞が作製できることが期待されます。

Dppa3 expression is critical for generation of fully reprogrammed iPS cells and maintenance of Dlk1-Dio3 imprinting.
http://www.nature.com/ncomms/2015/150123/ncomms7008/pdf/ncomms7008.pdf

【教員の紹介】 中村 肇伸