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耐熱性システイン合成酵素を用いて S-アリルシステインなどの有用物質を生成

中村 卓先生(バイオサイエンス学科)

システインとは、医療や美容、食品などあらゆる分野で利用される汎用性の極めて高いアミノ酸として知られていますが、酵素を介して有用物質の生産に取り組む中村卓先生は、超好熱性古細菌由来の耐熱性システイン合成酵素を用いて、S -アリルシステインなどの有用物質を効率よく合成できることを証明しました。

S -アリルシステインはニンニクなどに多く含まれ、抗酸化ストレス作用や神経保護作用に優れることから、医薬品や健康食品への応用が大いに期待される物質です。中村先生は耐熱性システイン合成酵素を利用して、システインよりも1.5倍効率よくS-アリルシステインを合成できただけでなく、抗HIV薬の部分構造となるS -フェニル-l-システインや去痰薬のカルボシステインといった複数の機能性物質を生み出すことに成功しました。

この研究で、本来システインを合成する耐熱性システイン合成酵素が多様な有用物質を生産できることを実証したほか、80度以上の熱を加えても死活しない超好熱性古細菌由来の酵素を活用することで、有用アミノ酸生産に関わる産業の効率化が見込まれると考えられています。

中村先生の研究成果は、日本化学会発行の学術論文誌『Chemistry Letters』(2017年,vol.46)に掲載されました。