ゲノム編集研究所
所長挨拶・設立主旨
ゲノム編集は生命科学における革新的な技術として、医療・農業・環境など多岐にわたる分野で新たな可能性を切り拓きつつあります。本研究所は、世界トップレベルの研究者とともに、基礎研究から応用研究まで幅広く取り組み、次世代に向けた新たな価値を創造することを目的として、2019年に開設されました。ゲノム編集技術は多方面で画期的な進展を導く一方、その応用には、科学的な正確性と倫理的な責任を伴うことが不可欠です。
本研究所では、世界水準の研究を推進するとともに、次世代を担う学生や若手研究者の育成にも力を注いでいます。教育と研究の融合を図り、オープンで協働的な学術環境を整えることで、科学の進歩を社会へ還元することを目指しております。皆さまのご理解とご支援を賜りながら、ゲノム編集技術の健全な発展に引き続き貢献してまいります。

長浜バイオ大学 ゲノム編集研究所所長 中村 肇伸
長浜バイオ大学は、大学の付属研究所としては初となる「ゲノム編集研究所」を開設しました。
今、バイオサイエンス分野で起きている大きなイノベーションにより、私たちの社会や経済の構造のみならず、知識や価値の創造プロセスまでもが大きく変わろうとしています。とりわけ、生物の遺伝情報を効率的で自在に操作することを可能にするゲノム編集技術は、高い付加価値や新規形質をもつ動植物の作成などによる食糧生産や資源生産への応用に、また、疾患研究や医療への応用では難治性の病気治療や再生医療による新たな治療、新しい医薬品の開発などに大きく貢献するものと期待されています。
一方で、黎明期のゲノム編集の技術は確立されつつありますが、様々な生物種への適応、各分野の基礎研究や応用研究への適応、さらにはより効率的で有用なゲノム編集技術の開発などについては、これからの研究の進展が待たれている状況です。
本学は開学以来、高い水準のバイオサイエンス研究とそれを基盤にした質の高い教育を行うことで成長を遂げ、今日では3つの学科で構成されるバイオサイエンス学部と、博士課程前期課程と博士課程後期課程を有する大学院バイオサイエンス研究科を併せ持つ「バイオサイエンスの総合大学」へと発展してきました。
こうした中で、倫理的な基盤に立ってゲノム編集に関しての先端的研究を行い、その研究成果を社会に発信していくことは、バイオサイエンス分野の最先端を担う本学の重要な責務といえます。このような背景で開設に至ったのが、ゲノム編集研究所です。
研究所では、ゲノム編集技術を用いた基礎研究と応用研究、ゲノム編集技術を用いた研究成果の社会への発信、ゲノム編集などを用いた研究の受託、講演会や研究会の開催、研究成果の技術移転や導入、内外の研究機関との連携を進めていくことにしています。
組織・メンバー紹介

所長
中村 肇伸
アニマルバイオサイエンス学科教授

学位
博士(薬学)(大阪大学)
専門分野
生殖細胞学:哺乳類など
研究テーマ
ゲノム編集技術を用いて全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子を破壊したマウスの作製・解析を行っています。現在までに、胚性遺伝子の活性化に必須の遺伝子、母性RNAの分解に重要な遺伝子、最初の卵割に必要な遺伝子などを明らかにすることに成功しています。
動物部門研究員
小倉 淳
アニマルバイオサイエンス学科教授

学位
博士(理学)(総合研究大学院大学)
専門分野
ゲノム生物学、分子進化学:昆虫など
研究テーマ
ゲノム編集技術は、医療や食品にも用いられ、私たちの未来を大きく変えようとしています。その時に問題となるのが、オフターゲット効果と呼ばれる現象で、目的としていないゲノム領域が改編されてしまう現象です。我々は、このオフターゲット効果が、どのような形でどのくらいの割合で生じるのかを明らかにするとともに、ゲノム編集でオフターゲット効果が出ていないということを証明する安全性保証技術の開発に取り組んでいます。
齊藤 修
アニマルバイオサイエンス学科教授

学位
理学博士(東京大学)東京大学大学院理学研究科博士課程修了
専門分野
分子生物学、神経生物学、生化学
研究テーマ
水中に棲む魚類が持つ温度を感じる仕組みはどのようなもので、その後環境が大きく異なる陸上動物に進化する過程でどんな変化を獲得していったのかを研究しています。まずメダカをモデルに、温度を感じるセンサーを見つけ出し、その機能を明らかにし、更にゲノム編集により、そのセンサーが無くなったら、あるいは機能変化を導入したら、メダカの温度の感じ方がどう変化するか研究を進めています。
竹花 佑介
アニマルバイオサイエンス学科教授

学位
博士(理学)(新潟大学)
専門分野
発生生物学:魚類など
研究テーマ
メダカの近縁種を使って、個体のオス・メスが決まる仕組みを研究しています。例えば、ある「オス決定遺伝子」の有無で性別が決定されているとすれば、その遺伝子がゲノム編集技術によって取り除かれたら、メスに性転換することが予想されます。このような方法で、性決定遺伝子の機能を解明しようとしています。
中村 肇伸
アニマルバイオサイエンス学科教授

学位
博士(薬学)(大阪大学)
専門分野
生殖細胞学:哺乳類など
研究テーマ
ゲノム編集技術を用いて全能性を有する初期の着床前胚に特異的に発現する遺伝子を破壊したマウスの作製・解析を行っています。現在までに、胚性遺伝子の活性化に必須の遺伝子、母性RNAの分解に重要な遺伝子、最初の卵割に必要な遺伝子などを明らかにすることに成功しています。
齋藤 茂
アニマルバイオサイエンス学科准教授

学位
博士(理学)(東京都立大学)
専門分野
進化生理学、分子進化学、電気生理学:両生類、魚類など
研究テーマ
動物は温度を感じとり行動を通して環境の温度変化に対応する仕組みを進化の過程で発達させてきました。環境の温度受容に欠かせない「温度感覚」が進化の過程でどのような変化を遂げてきたのか、また、その変化を生み出したメカニズムを明らかにするため、さまざまな動物種を対象に野外調査から研究室での分子レベルの実験まで多様な手法を用いた研究を進めています。
石野 良純
客員教授

学位
薬学博士(北海道大学)
専門分野
分子生物学、極限環境微生物学:ゲノム科学など
研究テーマ
アーキア(古細菌)のDNA複製・修復・組換えからなる遺伝情報維持機構の解明に取り組んでいます。アーキアは原核生物でありながら、その遺伝情報システムは真核生物と共通の祖先から進化したと考えられます。さらに、超好熱アーキアの研究により100℃の極限環境での生命現象の理解が期待されます。これまでにアーキア特有のDNAポリメラーゼであるPolDやミスマッチ修復に関わるエンドヌクレアーゼEndoMSなどを発見し、アーキア研究の発展に貢献しました。現在もアーキアのレプリソーム複合体構成因子間の機能的相互作用の解明、複製起点に依存しない複製機構の研究、DNA修復のネットワーク機能解明などに力を入れて研究しています。また、新規のゲノム編集技術開発を目指して、種々の環境から採取したDNAからCRISPR-Cas系を単離同定して性質解析を行う研究も行なっています。
植物部門研究員
蔡 晃植
フロンティアバイオサイエンス学科教授

学位
農学博士(東京大学)
専門分野
植物生理学:植物全般
研究テーマ
植物による病原菌認識と免疫反応誘導の分子機構を調べるため、これまでの生理生化学的研究で明らかになった免疫反応誘導に関与する可能性のある遺伝子を、ゲノム編集技術で機能欠損させます。そして、このゲノム編集植物における病原菌認識と免疫反応誘導を調べることで、病原菌認識と免疫反応誘導における各遺伝子の機能を明らかにします。
今村 綾
フロンティアバイオサイエンス学科講師

学位
博士(農学)(名古屋大学)
専門分野
植物遺伝学:再分化系構築
研究テーマ
イネやウキクサを用いて「環境ストレス応答と植物ホルモンのはたらき」、「デンプン蓄積の制御」という現象に着目し、注目する遺伝子の機能を生化学および分子遺伝学を駆使してその分子メカニズム解明に取り組んでいます。さらに、アイスプラントの再分化系の構築を行い、ゲノム編集技術を用いた機能性向上アイスプラントの作出を目指します。
久保 健一
フロンティアバイオサイエンス学科助教

学位
博士(工学)(東北大学)
専門分野
植物生理学、分子生物学:植物全般
研究テーマ
「自家不和合性」は、植物が受粉時に近縁な個体との交配を避ける性質であり、種の多様性維持に重要な役割を果たします。一方、多くの作物はこの仕組みを失った「自家和合性」を示し、栽培種の進化において自家不和合性の打破が重要なプロセスとなっています。私の研究では、ナス科のペチュニアやアブラナ科植物を主な対象に、自家不和合性の分子機構と自家和合性の分子進化の解明を目指しています。また、これらの成果を新規な野菜の育種や有用植物の作出に応用することも目指しています。
事業内容
- 基礎研究と応用研究
- 研究成果の社会への発信
- 研究受託
- 他研究機関との連携
- 講演会及び研究会等開催
- 研究成果の技術移転や導入
- 紀要発行
研究業績
紀要
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2021.3発行 |
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2022.3発行 |
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2023.3発行 |
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| 2024.3発行 | 長浜バイオ大学ゲノム編集研究所紀要第4号 |
| 2025.3発行 | 長浜バイオ大学ゲノム編集研究所紀要第5号 |
| 2026.3発行 | 長浜バイオ大学ゲノム編集研究所紀要第6号 |