身近な「なぜ?」から大学の学びへ―大垣西高校で4つの出張模擬講義を実施
2026年9月28日(月)、岐阜県立大垣西高等学校で、1年生を対象に出張模擬講義を実施しました。本学の教員4名が講師を務め、計72名の生徒のみなさんが受講しました。
本学と同校は、9月17日に、高校と大学が協力して学びの機会を広げる「高大連携協定」を締結しました。
今回のテーマは、まちづくり、臨床検査、ゲノム編集、突然変異の4つ。身近な自然や食べ物から、医療を支える仕事、体の中で起こる小さな変化まで。体験や具体例を交えながら、大学で学ぶ分野の広がりに触れる時間となりました。
自然共生社会に向けたまちづくり活動/木村 道徳 教授(バイオデータサイエンス学科)
「自然を守る」とは、手を加えずに残すことだけでしょうか。琵琶湖や滋賀県の森林を題材に、自然の恵みと私たちの暮らしのつながりを考えました。
キーワードは、失われつつある自然を回復させ、豊かにしていく「ネイチャーポジティブ」。湖岸の環境を整える活動や、企業が希少な植物を守る取り組み、森の木を資源として活用する事例を紹介しました。地域の人々や研究者、企業が力を合わせる大切さとともに、身近な自然に目を向けることや環境活動への参加など、高校生にもできる一歩を伝えました。
医者の“決断”を支える仕事 -臨床検査技師とは?/山本 哲志 准教授(フロンティアバイオサイエンス学科 臨床検査学コース)
体の中を画像で見たり、心臓の音を聴いたり。実際の検査につながる体験を交えながら、医師の診断を支える臨床検査技師の仕事を紹介しました。
超音波(エコー)で体の内部を見る体験や、聴診器で心臓の音を聴く体験を通して、体の状態を調べる方法に触れました。さらに、血液中の細胞と病気との関わりを取り上げ、検査が病気の発見や診断にどう役立つのかを解説。資格取得や就職、大学での学習支援も紹介し、体験と進路の両面から、医療に関わる仕事への理解を深める内容となりました。
ゲノム編集が拓く未来/中村 肇伸 教授(アニマルバイオサイエンス学科)
肉厚のマダイや、GABAという成分を多く含むトマト。こうした食品の開発にも使われているのが「ゲノム編集」です。
講義では、生物が持つ遺伝情報の全体を指す「ゲノム」の基本から、その情報の狙った部分を変える技術のしくみまでを解説しました。食品の開発に加え、研究用マウスやiPS細胞を使った病気の研究、医療への応用も紹介。一方で、狙った場所以外にも変化が起こる可能性などの課題にも触れ、暮らしの未来を変える可能性と、活用するうえで考えるべき点を伝えました。
突然変異が起こるしくみ/大橋 英治 准教授(フロンティアバイオサイエンス学科)
遺伝情報を持つDNAは、細胞の中でどのようにコピーされるのでしょうか。講義では、DNAの基本的な構造から、コピーの間違いが突然変異につながるしくみをひもときました。
細胞には、コピーの間違いを見つけて直したり、紫外線などで傷ついたDNAを修復したりする働きがあります。こうした遺伝情報を守るしくみを紹介し、「DNAをコピーする酵素が、傷ついた場所に出合ったらどうする?」という問いも投げかけました。目には見えない細胞の中の動きを考えながら、生命のしくみに迫る講義となりました。
身近な疑問を掘り下げると、環境を守る活動や医療、新しい技術につながっていきます。今回の4つの講義が、生徒のみなさんにとって「もっと知りたい」と思えるテーマや、将来学んでみたい分野を見つけるきっかけになれば幸いです。
本学は今回の協定締結を機に、大垣西高等学校との高大連携事業をさらに進めていきます。高校生のみなさんの好奇心を育み、進路選択につながる学びの機会を、同校とともに充実させていきます。
受講された生徒のみなさん、ご協力いただいた大垣西高等学校の先生方、ありがとうございました。