大谷川のオオサンショウウオを守る署名を長浜市長に提出しました
7月27日、「滋賀のオオサンショウウオを守る会」と「古橋のオオサンショウウオを守る会」が、長浜市の浅見市長との対談の場で222名分の署名を手渡しました。対談には本学の齊藤修客員教授と水戸直研究員が「滋賀のオオサンショウウオを守る会」として同席し、専門的な立場から現状の報告と支援のお願いを行いました。
大谷川には、滋賀県で唯一の「純粋な日本のオオサンショウウオ」の大きな集団が暮らしています
長浜市を流れる大谷川では、2002年に生息が確認されて以来の調査で、150個体を超えるオオサンショウウオが見つかっています。これは全国的に見てもとても貴重なことです。
さらに、遺伝子を調べたところ、大谷川にいるオオサンショウウオはすべて純粋な日本固有の種であることがわかりました。実は最近、日本各地で外国由来のオオサンショウウオとの交雑(こうざつ)が進んでいて、「混じりけのない」個体はとても少なくなってきています。そんな中、大谷川は県内で唯一、卵や幼生(赤ちゃん)が毎年確認されている「子どもが生まれ続けている川」でもあり、これから先の世代に残していくべき、とても大切な場所なのです。
今、忍び寄っている「遺伝子汚染」という危機
一方で、日本のオオサンショウウオは今、これまでにない危機を迎えています。
京都などでは、もともと日本にいなかった中国産のオオサンショウウオが野生化し、日本の個体と交雑した個体が増えてきています。滋賀県内でも、琵琶湖の西側を流れる安曇川では、見つかった成体のおよそ5割がすでに交雑個体であることがわかりました。
さらに心配なのは、本来オオサンショウウオがいなかったはずの川で、突然交雑個体が見つかるケースがあることです。心ない人が川に放してしまうなど、人の手によって交雑個体が運ばれてしまっている可能性があります。もしこうした交雑個体が琵琶湖を通って大谷川に入り込んでしまうと、大谷川の貴重な「純粋な日本の集団」が失われてしまうおそれがあるのです。
長浜市へのお願い(3つのポイント)
対談の中で、齊藤教授らは浅見市長に対して、次の3つをお願いしました。
1つ目は、調査を続けるための支援です。
この貴重な集団を守り続けるためには、これからも継続的な調査が欠かせません。そのための人手や費用の支援をお願いしました。
2つ目は、保護の手順(マニュアル)を作り、みんなに知ってもらうことです。
市内でオオサンショウウオが見つかったときに、必ず一度保護して遺伝子検査を行う、という流れをきちんと決めて、関係する人たちにしっかり伝えてほしいとお願いしました。
3つ目は、遺伝子検査にかかる費用への支援です。
検査には1件あたり約1万円がかかりますが、交雑個体を早い段階で見つけて広がりを防ぐためには、見つかった個体すべてを検査することが欠かせません。そのための費用の支援をお願いしました。
浅見市長との対話――地域と大学が力を合わせて
浅見市長からは、オオサンショウウオを長浜市の大切な財産・文化財として大事にしていきたい、という考えが示されました。広報でみんなに知らせることやマニュアル作りなど、市としてすぐに始められることから取り組んでいきたいとのお話がありました。
また、交雑個体の問題は長浜市だけでなく滋賀県全体に関わる大きな課題であるため、市と「守る会」が力を合わせて、県にも働きかけていくことが確認されました。
対談では、本学の齊藤研究室が中心になって行っている遺伝子検査や、ICチップを使って個体を見分けて管理する取り組みについても話し合われ、大学の研究の力が地域の自然を守ることに直接役立っていることが改めて確認されました。
これからに向けて
今回の対談をきっかけに、長浜市と「守る会」、そして本学の連携は、新たな一歩を踏み出します。「生きた化石」とも呼ばれるオオサンショウウオを守ることは、地域の豊かな自然を未来につなぐ、とても大切な取り組みです。本学は、研究と地域貢献の両方の面から、これからもこの活動を応援していきます。