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病気になりにくい農地の秘密に迫る ―滋賀県の有機農地でタンパク質性有機物に応答して増える細菌を発見―

本学の神波誠治プロジェクト特任准教授、石川聖人准教授を中心とした研究グループと島本微生物工業株式会社(滋賀県甲賀市)の共同研究成果が、学術誌「Journal of Bioscience and Bioengineering」に掲載されました。

有機農業では、化学農薬の使用が制限されるため、植物病害の防除が大きな課題となっています。一方、特別な防除を行わなくても土壌病害が起こりにくい農地が世界各地に存在することが知られています。このような土壌では、土壌中に生息する微生物が病原菌の増殖を抑えていると考えられています。

本研究では、島本微生物工業株式会社が管理する有機農地において、50年以上にわたり土壌病害がほとんど問題になっていないことに着目し、農地に生息する土壌微生物を調査しました。その結果、米ぬかなどの有機肥料やタンパク質性有機物を土壌に加えると、植物病原菌を抑える働きが知られているLysobacter属細菌の割合が大きく増えることを明らかにしました。

さらに、滋賀県を中心とするさまざまな農地の土壌を調べたところ、タンパク質性有機物を加えた際のLysobacter属細菌の増え方は、その農地が有機農地であるか慣行農地であるかという違いだけでは説明できませんでした。土壌にもともと生息している微生物群集や、土壌の環境条件も重要であることが示されました。

これらの結果は、病害抑制に関わる可能性のある微生物を増やすためには、有機肥料を加えるだけでなく、それぞれの農地が持つ微生物群集や土壌環境を理解することが重要であることを示しています。将来的には、一般の農地においても、有用な土壌微生物が増えやすい環境を整える技術につながることが期待されます。

本研究は、地域の農地に生息する微生物の力を生かし、農薬だけに頼らない持続可能な農業を実現するための基礎的な手がかりとなる成果です。

論文情報

Enrichment of Lysobacter in a long-term organically managed agricultural field with low soilborne disease incidence
著者:Seiji Kamba, Motomu Kuroki, Ikuyo Takemura, Hiromasa Tabata, Ryuhei Minei, Mitsuhisa Shimamoto, Atsushi Ogura, Makoto Hasegawa, and Masahito Ishikawa

DOI

DOI:10.1016/j.jbiosc.2026.07.002
論文URL:https://doi.org/10.1016/j.jbiosc.2026.07.002

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